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美姫への想い ー大和過去編ー

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 それが、今日……

 美姫の誕生日プレゼントとして買ったピアスが在庫がなかった為に当日受け取りに行くことになった。

 宝石店で無事プレゼントを受け取り、そこからレストランまでは離れていなかったので歩くことにした。人の多い大通りを避け、裏通りを歩いていくと、そこに真っ赤なアルファ・ロメオが停まっているのが見えた。

 誰だよ、あんなキザな車乗ってるやつ……

 好奇心から、車内へと視線を移した。

 あれ?あいつって......

 サイドミラー越しに、一瞬、来栖秀一と目が合った。

 来栖秀一はフッと不敵な笑みを浮かべ、その直後……助手席にいた女の頬にキスをした。

 み、き……!!!

 助手席に座っていた女は美姫だった。

 な...どうゆうことだよ!? え?え?え?まままま、待ってくれ......

 頭が追いつかないまま、俺の視界には車のリアガラス越しに突然頬にキスをされて焦った美姫とそれを愛おしそうに見つめる来栖秀一の姿が映し出される。

 な、んでだよ……

 ふたりの声は聞こえることはないが、表情や仕草から分かる……明らかに恋人同士のやり取りだった。

 どうして、そうなっちまったんだよ!?
 あいつ......どんな手で美姫を嵌めたんだ。叔父と姪って分かってんのに、手ぇ出すとか、ありえねぇだろっっ!!!

 俺は立ち止まり、抑えきれない怒りに身を震わせていた。
 
 すると、扉に手を掛けた美姫と、今度はサイドミラー越しに目が合った。

 どう、する?

 俺の内心は来栖秀一への怒りでいっぱいだったが、美姫の誕生日の集まりをここでふいにするわけにはいかない。

 俺は美姫に笑顔を向け、手を振った。すると、今度は来栖秀一が車から出ようとしていた美姫の腕を引き寄せるのが見えた。

 くそっ......つくづく胸クソ悪い真似、しやがって......

 つい、心の中で悪態をついちまう。来栖秀一は俺の怒りのポイントを確実に突いてくる。

 ......そっちがその気なら、宣戦布告に受けて立ってやる。
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