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教室の戸を開けたら、そこには......

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 今度こそ、ちゃんと自分の想いを伝える......
 そう決意して迎えたバレンタイン。

 お菓子作りが好きな私はそれを封印し、自転車で15分ほど離れたショッピングセンターのバレンタインコーナーへと出向いた。

 高級過ぎず、かと言って安っぽく見えないチョコレートを慎重に選ぶ。好みがあるかもしれないから、小さい仕切りに色々な味が入った8個入りのチョコレート。黒い包装紙に赤いリボンでラッピングした。

 多恵ちゃんの『手作りは重い』という教訓は、私の胸に深く突き刺さっていた。
 
 前日に多恵ちゃんにお願いして、溝端くんに翌朝早くに教室に来てもらうようにお願いした。

「多恵ちゃん......あの...溝端くんに、明日渡したいものがあるから、早朝に教室に来てくれるように伝えてもらっていいかな」
「いいけどさぁ、もうそろそろお互い直接やり取りした方がいいんじゃない?」
「...うん」

 それが出来れば苦労しない。
 私も多恵ちゃんみたいに明るくて積極的な女の子だったら良かったのに......

 すると、私たちの話を聞いていたらしいクラスの女子たちが、会話に入ってきた。

「えっ、水澤さん、本気で溝端と付き合ってると思ってんの?」
「ないないないない!!!......てか、二人が教室で喋ってるとことか見たことないし」
「そんなん、付き合ってるとか言わないでしょ」
「てか、なんで水澤さんなの?ありえなーい」

 一緒にいた多恵ちゃんは怒って否定してくれたけど、私は黙って俯いていただけだった。

 だって、彼女たちの言ってること、間違ってない。

 私たちは、一体なんなんだろう......
 恋人なんて呼べない。友達よりも、遠い関係。
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