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女の子同士の恋愛って難しいけど、女性としてやよいのこと愛したい
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シャワーを浴び終えると、浴衣を着て浴室を出た。
「美来さん、早いですね!」
ドライヤーで髪を乾かしてたやよいは、ドレッサーの鏡越しに私を見て驚いたように言った。
「ご、ごめんなさい。もうすぐ、終わりますからっっ」
「あ、ゆっくりでいい!」
やよいも緊張してるみたいで、互いの緊張が伝わって増幅してくる。
冷蔵庫に行き、ウォーターボトルを2本手に取ると、1本をやよいの目の前に置いた。
「はい」
「ありがとうございます」
やよいが私を見上げ、にっこりと笑顔を見せる。もうそれだけで、心臓にスピーカーが内臓されてるんじゃないかってぐらいドクンドクンと私の躰でビートを打ってる。
蓋を開けると一気に水を流し込む。
ドライヤーの音がやむと、やよいが私を手招きした。
「美来さんの髪も、乾かしますよ」
「ぁ、うん……」
今までに何度も髪を乾かしてもらったことはあるのに、照れ臭い。ちょこんと椅子に座り、改まってるとやよいにくすりと笑われた。
「美来さん、可愛い」
「なっ、なに……言ってんの!?」
ちょ、もう心臓限界なんだから、やめてよー。それ以上のこと、言わないで……
やよいの小さくて細い指が私の髪に絡まりながら、温風を当てていく。いつもは眠っちゃいそうなほど気持ちよくなるのに、今日はその手つきが妙に厭らしく、エロく思えてしまって、目が冴えてくる。
「はい、終わりましたよ」
「ありがと」
ふたりで顔を見合わせ、無言になる。
やっぱ、ここは私から行くべきだよね……
「ぁ、あの……ベッド、行こうか」
「は、はい……」
うわっ、なに、この誘い方。全然スマートじゃないわ。どうやって誘えばいいのかも、ちゃんと光に聞いとけば良かった……
寝室に行くと、やよいは布団の中に入らず、ベッドに座った。私もどうしていいか分からず、やよいの隣に腰掛ける。
やよいが頬を染め、チラチラっとこちらを窺いながら聞いてきた。
「ぁ、の……美来さん……女の子同士の、やり方……勉強したんですか?」
「ぇえっとぉ……実はまだ、よく分かんなくて。それに、私にそんなテクニックもないし」
『テクニック』と聞いて、やよいは益々赤くなった。
「やよいを満足させてあげられなかったら、ごめん……でも、やよいに気持ちよくなってもらえるよう、精一杯頑張るから! それに、光がテクニックは実践あるのみって言ってたから、これから経験を重ねていけば上達するはずだし!!」
私の力説にやよいが喜んでくれるかと思ったけど、なんだか浮かない顔をしてる。
「美来さん……光さんって、誰……ですか? そんな深い話をする仲なんですか?」
「え。光は同校のバスケ仲間だよー。覚えてない? 吉澤光。たまに会って、一緒に飲んだりしてるの」
やよいが知ってるかもしれない光のことを話すと彼女がビアンってことを暴露しちゃうかもしれないし、私がやよいのことを色々思い悩んで相談してたのを知られたくないってプライドもあって、今まで彼女のことを話さずにいた。
やよいの雰囲気が一気に暗くなる。
「吉澤光さん、もちろん覚えてますよ。花校の二大アイドルで、美来さんと光さんの絡み合う姿は私たちの注目の的で、そういう目で見てる人もたくさんいましたから……」
「そういう、目って?」
やよいがプゥと膨れた。
「ふたりが……恋人同士ってことです」
ぇ。えぇっっ!? な、なんで!?
「美来さん、早いですね!」
ドライヤーで髪を乾かしてたやよいは、ドレッサーの鏡越しに私を見て驚いたように言った。
「ご、ごめんなさい。もうすぐ、終わりますからっっ」
「あ、ゆっくりでいい!」
やよいも緊張してるみたいで、互いの緊張が伝わって増幅してくる。
冷蔵庫に行き、ウォーターボトルを2本手に取ると、1本をやよいの目の前に置いた。
「はい」
「ありがとうございます」
やよいが私を見上げ、にっこりと笑顔を見せる。もうそれだけで、心臓にスピーカーが内臓されてるんじゃないかってぐらいドクンドクンと私の躰でビートを打ってる。
蓋を開けると一気に水を流し込む。
ドライヤーの音がやむと、やよいが私を手招きした。
「美来さんの髪も、乾かしますよ」
「ぁ、うん……」
今までに何度も髪を乾かしてもらったことはあるのに、照れ臭い。ちょこんと椅子に座り、改まってるとやよいにくすりと笑われた。
「美来さん、可愛い」
「なっ、なに……言ってんの!?」
ちょ、もう心臓限界なんだから、やめてよー。それ以上のこと、言わないで……
やよいの小さくて細い指が私の髪に絡まりながら、温風を当てていく。いつもは眠っちゃいそうなほど気持ちよくなるのに、今日はその手つきが妙に厭らしく、エロく思えてしまって、目が冴えてくる。
「はい、終わりましたよ」
「ありがと」
ふたりで顔を見合わせ、無言になる。
やっぱ、ここは私から行くべきだよね……
「ぁ、あの……ベッド、行こうか」
「は、はい……」
うわっ、なに、この誘い方。全然スマートじゃないわ。どうやって誘えばいいのかも、ちゃんと光に聞いとけば良かった……
寝室に行くと、やよいは布団の中に入らず、ベッドに座った。私もどうしていいか分からず、やよいの隣に腰掛ける。
やよいが頬を染め、チラチラっとこちらを窺いながら聞いてきた。
「ぁ、の……美来さん……女の子同士の、やり方……勉強したんですか?」
「ぇえっとぉ……実はまだ、よく分かんなくて。それに、私にそんなテクニックもないし」
『テクニック』と聞いて、やよいは益々赤くなった。
「やよいを満足させてあげられなかったら、ごめん……でも、やよいに気持ちよくなってもらえるよう、精一杯頑張るから! それに、光がテクニックは実践あるのみって言ってたから、これから経験を重ねていけば上達するはずだし!!」
私の力説にやよいが喜んでくれるかと思ったけど、なんだか浮かない顔をしてる。
「美来さん……光さんって、誰……ですか? そんな深い話をする仲なんですか?」
「え。光は同校のバスケ仲間だよー。覚えてない? 吉澤光。たまに会って、一緒に飲んだりしてるの」
やよいが知ってるかもしれない光のことを話すと彼女がビアンってことを暴露しちゃうかもしれないし、私がやよいのことを色々思い悩んで相談してたのを知られたくないってプライドもあって、今まで彼女のことを話さずにいた。
やよいの雰囲気が一気に暗くなる。
「吉澤光さん、もちろん覚えてますよ。花校の二大アイドルで、美来さんと光さんの絡み合う姿は私たちの注目の的で、そういう目で見てる人もたくさんいましたから……」
「そういう、目って?」
やよいがプゥと膨れた。
「ふたりが……恋人同士ってことです」
ぇ。えぇっっ!? な、なんで!?
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