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女の子同士の恋愛って難しいけど、女性としてやよいのこと愛したい
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いつもなら土曜日は昼過ぎまで寝てるけど、今日は朝早くからやよいの家の前の扉に立っていた。
今朝起きた時にやよいからLINE来てるかもって期待したけど、まだ既読ついてない。
緊張するけど、ちゃんと私の気持ちを話そう。
ギュッと拳を握りしめてからインターホンに指を当てた。
ピンポーン♪
やよい、出てくれないな。
トン、トン
軽くノックをしてみる。
「やよいー?」
声をかけてみる。
「……」
前にも、やよいに避けられてたことあったな。
あの時は、やよいに突然キスされて……戸惑ってるうちに逃げられて。それからずっと、避けられてたんだっけ。
やよいは……私のことを避けながらも、ちゃんと私のこと考えてくれてた。お弁当作って、ドアノブに掛けといて……私のことを心配してくれてた。
あの時、私はやよいに避けられて辛い、寂しいって思ってたはずなのに、その私がやよいに同じことしちゃったんだよね。
しかも私は、やよいに何もやってあげてない。
やよいに、何の言葉も伝えられてない。
そんなんじゃ、だめだよね。
避けてばっかりじゃ、何も解決しないよね……
LINEで電話したけど、とってくれない。
やよい、傷ついてるのかな。
もう私と、話したくもないの?
そう考えてると、カチャッと扉が開いた。
「やよい……」
「今日、は……早いんですね」
低くて暗い、やよいの声。言葉の裏に、いつも感じない刺を感じる。私がいつも昼過ぎまでグダグダ寝てて、会いに行こうとしないことに対する嫌味。
そう思ったら、やよいに会うまでは一番に謝ろうって思ってたはずなのに、そのチクチクした刺に刺激されて、イラッとしてしまった。
「……ねぇ、言いたいことがあるなら、はっきり言ってくれないかな。私、単純だから気持ち読み取るとか、無理なんだけど」
「別に、ないです」
やよいは俯いて答えた。ノブに掛けたままの手が、私を拒絶しているように思えて傷つく。
「そんな表情しておきながら、そんなわけないじゃん!」
腕をグイと引くと、やよいの顔が引き上げられた。溢れそうなほどの大きな魅力的な瞳がみるみるうちにゆらゆらと揺れたかと思うと、ぼろぼろと大きな涙の粒が零れた。
「な、い……ですからぁ!! お願い……ック離してッ、くださ……ッグ」
必死に涙が零れないように堪えながら崩れてく泣き顔に、心臓がギュンと鷲掴みにされた。
「ほっといて……ッグ私、のこと……なんてウグッ……もう、どうでも……ウッ、ウッ……いいんです、よね」
どうしてそうなるのよ!
「そんなわけないでしょ!!」
やよいにグッと迫る。
「毎日インターンのことで忙しくて、土日も大学の課題とか家事とかやってるうちに終わっちゃって。
やよいのことは考えてるけど、いっぱいいっぱいなの!! かまってあげられないのは悪いけど、わかってよ!!」
やよいは目を逸らし、睫毛を伏せた。
「で、も……男の、人と……あぁやって、会う時間はあるんですね」
「あれは、インターンの仲間だって言ってるじゃん!!
そんなこと言うなら、やよいだってどうなの!? なんで全然連絡してこないの? やよいの方こそ、私のこと、もうどうでもいいんじゃないの?」
ぁ、言っちゃった……そんなことないって、分かってるのに。私、サイテーだ。
こんなつもりじゃなかったのに。仲直りするつもりで来たのに、なんでケンカになってんのよ……
やよいがショックを受けたように口に手を当て、涙目で見上げた。
「そ、んな……わけ、ないじゃないですか。私が、どれだけ毎日、毎時間、毎分、毎秒……いつだって、美来さんのことを考えてるか、知らないんですね。
それ、でも美来さんが忙しいから、迷惑になっちゃいけないからって、こちらから連絡せずに、待ってたのに……」
胸がチクチク痛む。やよいを傷つけてるのは私の方だって分かってる。
なのに、素直に謝れない。
「だったら言ってよ! 言ってもらわないと、わかんないよ!!」
今朝起きた時にやよいからLINE来てるかもって期待したけど、まだ既読ついてない。
緊張するけど、ちゃんと私の気持ちを話そう。
ギュッと拳を握りしめてからインターホンに指を当てた。
ピンポーン♪
やよい、出てくれないな。
トン、トン
軽くノックをしてみる。
「やよいー?」
声をかけてみる。
「……」
前にも、やよいに避けられてたことあったな。
あの時は、やよいに突然キスされて……戸惑ってるうちに逃げられて。それからずっと、避けられてたんだっけ。
やよいは……私のことを避けながらも、ちゃんと私のこと考えてくれてた。お弁当作って、ドアノブに掛けといて……私のことを心配してくれてた。
あの時、私はやよいに避けられて辛い、寂しいって思ってたはずなのに、その私がやよいに同じことしちゃったんだよね。
しかも私は、やよいに何もやってあげてない。
やよいに、何の言葉も伝えられてない。
そんなんじゃ、だめだよね。
避けてばっかりじゃ、何も解決しないよね……
LINEで電話したけど、とってくれない。
やよい、傷ついてるのかな。
もう私と、話したくもないの?
そう考えてると、カチャッと扉が開いた。
「やよい……」
「今日、は……早いんですね」
低くて暗い、やよいの声。言葉の裏に、いつも感じない刺を感じる。私がいつも昼過ぎまでグダグダ寝てて、会いに行こうとしないことに対する嫌味。
そう思ったら、やよいに会うまでは一番に謝ろうって思ってたはずなのに、そのチクチクした刺に刺激されて、イラッとしてしまった。
「……ねぇ、言いたいことがあるなら、はっきり言ってくれないかな。私、単純だから気持ち読み取るとか、無理なんだけど」
「別に、ないです」
やよいは俯いて答えた。ノブに掛けたままの手が、私を拒絶しているように思えて傷つく。
「そんな表情しておきながら、そんなわけないじゃん!」
腕をグイと引くと、やよいの顔が引き上げられた。溢れそうなほどの大きな魅力的な瞳がみるみるうちにゆらゆらと揺れたかと思うと、ぼろぼろと大きな涙の粒が零れた。
「な、い……ですからぁ!! お願い……ック離してッ、くださ……ッグ」
必死に涙が零れないように堪えながら崩れてく泣き顔に、心臓がギュンと鷲掴みにされた。
「ほっといて……ッグ私、のこと……なんてウグッ……もう、どうでも……ウッ、ウッ……いいんです、よね」
どうしてそうなるのよ!
「そんなわけないでしょ!!」
やよいにグッと迫る。
「毎日インターンのことで忙しくて、土日も大学の課題とか家事とかやってるうちに終わっちゃって。
やよいのことは考えてるけど、いっぱいいっぱいなの!! かまってあげられないのは悪いけど、わかってよ!!」
やよいは目を逸らし、睫毛を伏せた。
「で、も……男の、人と……あぁやって、会う時間はあるんですね」
「あれは、インターンの仲間だって言ってるじゃん!!
そんなこと言うなら、やよいだってどうなの!? なんで全然連絡してこないの? やよいの方こそ、私のこと、もうどうでもいいんじゃないの?」
ぁ、言っちゃった……そんなことないって、分かってるのに。私、サイテーだ。
こんなつもりじゃなかったのに。仲直りするつもりで来たのに、なんでケンカになってんのよ……
やよいがショックを受けたように口に手を当て、涙目で見上げた。
「そ、んな……わけ、ないじゃないですか。私が、どれだけ毎日、毎時間、毎分、毎秒……いつだって、美来さんのことを考えてるか、知らないんですね。
それ、でも美来さんが忙しいから、迷惑になっちゃいけないからって、こちらから連絡せずに、待ってたのに……」
胸がチクチク痛む。やよいを傷つけてるのは私の方だって分かってる。
なのに、素直に謝れない。
「だったら言ってよ! 言ってもらわないと、わかんないよ!!」
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