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女の子同士の恋愛って難しいけど、女性としてやよいのこと愛したい
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ただ問題なのは、仲良くなるとプライベートに踏み込んだ質問をされることだ。仕事中はみんないっぱいいっぱいだけど、昼休みにランチ食べながらとか、ちょっとした休憩時間なんかに、仕事の話から外れて大学やバイトだけでなく、私生活についての話題になる。
特に由美は恋バナ大好きで、チーム全員の恋愛事情について聞いてくる。
例外なく、私も聞かれた。
「美来さんってぇ、彼氏いるんですかぁ?」
聞かれて、微妙な間を空けてしまった。まずい……っっ。
彼氏はいないけど、彼女ならいるよ……なんて、答えられるわけない。自分がレズビアンだということに対して未だに戸惑う気持ちもあったし、レズビアンだと知って好奇の目を向けられたくないって気持ちもあった。それに、この子たちとこれから先付き合いがあるわけじゃないんだから、プライベートの深い部分まで話す必要はないんじゃないかって思えた。
「うん、まぁ、付き合ってる人はいるよ」
とはいえ、『彼氏がいる』とか『彼氏がいない』とか『彼女がいる』とか嘘がつけない私は、嘘をつかずにすむ言葉選びをし、なんとかその場を切り抜けようとした。
「えぇーっ、美来さん彼氏いるんだー!」
だからぁ、私、『彼氏』って言ってないよね?
そう思うけど、そこで否定することもできない。
「もういいじゃん、私のことは」
話を終わらせようとしても、由美は食い下がってくる。それに、一緒にいた同じチームの中野くんと西田くんも最初は興味なさそうだったくせに、私に恋人がいると知った途端、
「いいじゃん、話せよー」
「このぉ、リア充爆発しろ!」
とか言ってくるし。
由美が瞳を輝かせて迫ってくる。
「年上? 年下? それとも、タメ? どこで会ったの? どこを好きになったの? どっちから告ったの? 」
マシンガンのような質問を、交わしきれない。
「あー、年下で、家の近くに引っ越してきたのがきっかけで……向こうから告白した、ことになるのかな」
私の頭の中ではやよいが浮かび上がってるけど、話を聞いてるみんなの頭の中では彼氏として受け止められている事だろう。
「えぇー、いいなぁ。彼氏ってどんな人? かっこいい?」
彼氏、じゃないんだけどなぁ……
「私より背が低くて、可愛らしくて、優しくて、料理とか家事が得意な子かな」
「えー、年下の可愛い系!! 美来さんならありかも!!
男で家事できて料理がうまくて優しいとか、最高じゃん! めちゃめちゃポイント高ーい!!」
な、なに……この嘘に嘘を重ねてるような罪悪感。
「今までみんなで恋バナしてても美来さんって興味なさそうな顔してたから、彼氏いないんだと思ってたー」
「ハハッ」
もう、笑うしかないわ。
それは、私に話を振ってほしくなかったから、興味なさそうにしてたんだけどね。ほんとは私だって人の恋バナ聞きたいし、自分の可愛い彼女の自慢だってしたいよ。
「付き合ってる人はいない」って言っとけばよかったかなって後悔しかけたけど、そう答えた西田くんは由美から強引に飲み会のセッティングされてた。私も、「いない」って言ってたらそのメンバーに加えられたに違いない。それはそれで、めんどくさいなぁ。
女性同士の恋愛って常に一緒に行動してても仲いいんだぁって思われるだけだし、ちょっとぐらいスキンシップが多くてもそんなに疑問に思われないから良かったーなんて思ってたけど、やっぱりさ、異性の恋愛とは違うんだよね。
やよいのことを好きな気持ちに偽りはないけど、それをオープンにできるのかって言ったら別の話で……
この先も私は、こういうモヤモヤをずっと抱えたまま過ごしていかないといけないのかなぁ。
やよいは、『彼氏いるの?』って聞かれること、私より多いよね。やよいはどう答えてるんだろう。私みたいに、彼氏がいるような感じで答えてるのかな。
やよいは男を好きになったことがないって言ってたってことは、ずっとレズビアンとして生きてきたわけで。
今まで、女性を好きって気持ちを誰にも言えず、心を押し殺して他の人たちと会話をして、本当の自分を隠してきたのかな……
特に由美は恋バナ大好きで、チーム全員の恋愛事情について聞いてくる。
例外なく、私も聞かれた。
「美来さんってぇ、彼氏いるんですかぁ?」
聞かれて、微妙な間を空けてしまった。まずい……っっ。
彼氏はいないけど、彼女ならいるよ……なんて、答えられるわけない。自分がレズビアンだということに対して未だに戸惑う気持ちもあったし、レズビアンだと知って好奇の目を向けられたくないって気持ちもあった。それに、この子たちとこれから先付き合いがあるわけじゃないんだから、プライベートの深い部分まで話す必要はないんじゃないかって思えた。
「うん、まぁ、付き合ってる人はいるよ」
とはいえ、『彼氏がいる』とか『彼氏がいない』とか『彼女がいる』とか嘘がつけない私は、嘘をつかずにすむ言葉選びをし、なんとかその場を切り抜けようとした。
「えぇーっ、美来さん彼氏いるんだー!」
だからぁ、私、『彼氏』って言ってないよね?
そう思うけど、そこで否定することもできない。
「もういいじゃん、私のことは」
話を終わらせようとしても、由美は食い下がってくる。それに、一緒にいた同じチームの中野くんと西田くんも最初は興味なさそうだったくせに、私に恋人がいると知った途端、
「いいじゃん、話せよー」
「このぉ、リア充爆発しろ!」
とか言ってくるし。
由美が瞳を輝かせて迫ってくる。
「年上? 年下? それとも、タメ? どこで会ったの? どこを好きになったの? どっちから告ったの? 」
マシンガンのような質問を、交わしきれない。
「あー、年下で、家の近くに引っ越してきたのがきっかけで……向こうから告白した、ことになるのかな」
私の頭の中ではやよいが浮かび上がってるけど、話を聞いてるみんなの頭の中では彼氏として受け止められている事だろう。
「えぇー、いいなぁ。彼氏ってどんな人? かっこいい?」
彼氏、じゃないんだけどなぁ……
「私より背が低くて、可愛らしくて、優しくて、料理とか家事が得意な子かな」
「えー、年下の可愛い系!! 美来さんならありかも!!
男で家事できて料理がうまくて優しいとか、最高じゃん! めちゃめちゃポイント高ーい!!」
な、なに……この嘘に嘘を重ねてるような罪悪感。
「今までみんなで恋バナしてても美来さんって興味なさそうな顔してたから、彼氏いないんだと思ってたー」
「ハハッ」
もう、笑うしかないわ。
それは、私に話を振ってほしくなかったから、興味なさそうにしてたんだけどね。ほんとは私だって人の恋バナ聞きたいし、自分の可愛い彼女の自慢だってしたいよ。
「付き合ってる人はいない」って言っとけばよかったかなって後悔しかけたけど、そう答えた西田くんは由美から強引に飲み会のセッティングされてた。私も、「いない」って言ってたらそのメンバーに加えられたに違いない。それはそれで、めんどくさいなぁ。
女性同士の恋愛って常に一緒に行動してても仲いいんだぁって思われるだけだし、ちょっとぐらいスキンシップが多くてもそんなに疑問に思われないから良かったーなんて思ってたけど、やっぱりさ、異性の恋愛とは違うんだよね。
やよいのことを好きな気持ちに偽りはないけど、それをオープンにできるのかって言ったら別の話で……
この先も私は、こういうモヤモヤをずっと抱えたまま過ごしていかないといけないのかなぁ。
やよいは、『彼氏いるの?』って聞かれること、私より多いよね。やよいはどう答えてるんだろう。私みたいに、彼氏がいるような感じで答えてるのかな。
やよいは男を好きになったことがないって言ってたってことは、ずっとレズビアンとして生きてきたわけで。
今まで、女性を好きって気持ちを誰にも言えず、心を押し殺して他の人たちと会話をして、本当の自分を隠してきたのかな……
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