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可愛い彼女の本心は……
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その音にふたりでビクリと躰を震わせた。
こんな時間に、誰?
時計はもう1時を指している。
「俺、出るわ」
湊が立ち上がり、扉へと向かう。私も湊について行った。
ピンポーン♪ ピンポーン♪
続けざまに響くインターホンの音を聞きながら、湊が扉を開けた。
すると、扉の前に立っていたのは……
「やよ、い!?」
やよいが今にも泣き出しそうな顔で、目の前に包丁を震える手で握りしめ、膝をガクガクさせて立っていた。
「えっ、強姦に襲われてると勘違いしたの!?」
やよいは私の部屋のリビングルームに座り、ことの事情を話した。
「ごっ、ごめんなさいっっ!!
美来さんの部屋から『ギャーッッ』っていう叫び声がしたから、気が動転しちゃって……気がついたら、包丁持って美來さんの家の前に立ってました……」
「ハハッ。てか、強姦も襲うならぜってぇ美來じゃなくて、やよいちゃんにするでしょ? 美來から隣にめちゃめちゃ可愛い子が引っ越してきたって聞いてたけど、マジ可愛くてビックリした」
「えっ? い、いえ、そ、そんな……こと、ないで、す……」
やよいは、その言葉に縮こまって全身を赤くさせた。
ピクッ
まぁさ、事実だけど……普通、彼女目の前にして言うか? そのセリフ……
やよいって、湊の好みのどストライクなんだよね。
湊と付き合う前にいいって騒いでた女の子たち、みんなこんなタイプだったもんなぁ。
なんで湊は私と付き合うことにしたんだろ。
気楽だから? たまたま側にいたから? 暇つぶし?
かなり疑問だ。
「あ、あのぁ……おふたりは、同じバイト先で知り合ったんですよね?」
「そうそう」
「いいですね……そういうの、憧れます。私も、バイト始めようかな……」
「じゃさ、俺らんとこ来たら?今ちょうどバイト募集かけてるし」
「えぇっ! いいんですか!?」
「やよいちゃんみたいな可愛い子がバイト入ったら、みんな超やる気でるって。帰りは美來が送ってくから遅くなっても心配いらねーし」
はいはい、私の帰りの心配はしてないってことね。
「あ、あの……美來さん、は……私が同じバイト先になったら、嫌、ですか?」
やよいは恐る恐る私の顔を窺った。まるで小動物のようだ。そんな表情で聞かれて、嫌だと答えられる人がいたら見てみたい。
「嫌なわけ、ないじゃない。もちろん、大丈夫だよ」
湊はすっかり浮かれていた。
暫く話をした後、「ご迷惑をおかけしました……」とやよいはお辞儀をして帰って行き、私たちはキスの続きをすることはなかった。
こんな時間に、誰?
時計はもう1時を指している。
「俺、出るわ」
湊が立ち上がり、扉へと向かう。私も湊について行った。
ピンポーン♪ ピンポーン♪
続けざまに響くインターホンの音を聞きながら、湊が扉を開けた。
すると、扉の前に立っていたのは……
「やよ、い!?」
やよいが今にも泣き出しそうな顔で、目の前に包丁を震える手で握りしめ、膝をガクガクさせて立っていた。
「えっ、強姦に襲われてると勘違いしたの!?」
やよいは私の部屋のリビングルームに座り、ことの事情を話した。
「ごっ、ごめんなさいっっ!!
美来さんの部屋から『ギャーッッ』っていう叫び声がしたから、気が動転しちゃって……気がついたら、包丁持って美來さんの家の前に立ってました……」
「ハハッ。てか、強姦も襲うならぜってぇ美來じゃなくて、やよいちゃんにするでしょ? 美來から隣にめちゃめちゃ可愛い子が引っ越してきたって聞いてたけど、マジ可愛くてビックリした」
「えっ? い、いえ、そ、そんな……こと、ないで、す……」
やよいは、その言葉に縮こまって全身を赤くさせた。
ピクッ
まぁさ、事実だけど……普通、彼女目の前にして言うか? そのセリフ……
やよいって、湊の好みのどストライクなんだよね。
湊と付き合う前にいいって騒いでた女の子たち、みんなこんなタイプだったもんなぁ。
なんで湊は私と付き合うことにしたんだろ。
気楽だから? たまたま側にいたから? 暇つぶし?
かなり疑問だ。
「あ、あのぁ……おふたりは、同じバイト先で知り合ったんですよね?」
「そうそう」
「いいですね……そういうの、憧れます。私も、バイト始めようかな……」
「じゃさ、俺らんとこ来たら?今ちょうどバイト募集かけてるし」
「えぇっ! いいんですか!?」
「やよいちゃんみたいな可愛い子がバイト入ったら、みんな超やる気でるって。帰りは美來が送ってくから遅くなっても心配いらねーし」
はいはい、私の帰りの心配はしてないってことね。
「あ、あの……美來さん、は……私が同じバイト先になったら、嫌、ですか?」
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「嫌なわけ、ないじゃない。もちろん、大丈夫だよ」
湊はすっかり浮かれていた。
暫く話をした後、「ご迷惑をおかけしました……」とやよいはお辞儀をして帰って行き、私たちはキスの続きをすることはなかった。
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