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可愛い彼女の本心は……
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ある日のバイトからの帰り道、湊が家まで送ってくれた。
湊は私が生きてきて初めて出来た彼氏だ。同じ居酒屋で働くようになって何度かグループで遊びに行くうちに親しくなった。切なく思い合う恋心の末、というよりは友達の延長上の付き合いというノリのような感じで始まった交際だった。
とは言え、湊といるといつもすごく楽しいし、喧嘩をすることもなく、私たちの付き合いはごくごく順調だ。
「な、明日ふたりともバイト休みだし、大学の講義も午後からなんだろ? だったら今日泊まってってもいい? 俺も明日午前中はなんも予定ないし」
突然の湊の言葉に戸惑いつつも、嬉しい気持ちになる。居酒屋で毎日のように顔を合わせているとはいえ、カテキョのバイトもしている別大学の湊とはなかなか一緒に過ごせる時間がない。
「うん……」
私は『泊まる』という言葉に敏感に反応してしまい、恥ずかしくて小さな声で俯いた。
ずっと女子校だったし、バスケ一筋で合コンすら大学に入るまで行ったことなかった私は、男に対して免疫がない。キスもその先も湊が初めてで、付き合って1年経っても未だにキスすら慣れない。
湊を部屋に入れるのはこれが2回目だった。
なんか、緊張する。今日泊まるってことは、つまり、その……そういうつもり、なんだよね。
実を言うと、私は男女のそういう行為がとっても苦手だ。あんな恥ずかしい行為、なんでしなくちゃいけないんだろうぐらいに思っている。
でも湊は彼氏だし、湊は彼女とそういうことがしたいんだよね……?
「適当に座ってて。ビールとおつまみ用意するから」
一人用ソファに座るように湊を促す。
冷蔵庫を開け、湊の好きなビールと自分の好きなビールを出した。
湊は勝手にテレビをつけ、もう自分の家にいるかのようにくつろいでいる。そんな自然体な湊だから、好きなんだよね。
枝豆を茹で、豆腐サラダと煮豆の簡単なおつまみをテーブルに置き、湊の隣に座った。
ビールで乾杯した後、おつまみを口にしながらテレビを観て、たわいもないことで盛り上がる。湊といるといつも楽しいし、リラックス出来る。
しばらくして観ていたバラエティ番組が終わると、湊がリモコンを手に持ち、テレビの電源を消した。
「え……」
驚く間もなく、湊の腕が私の躰を引き寄せ、唇が重なった。
わ、わ、わっっ! ちょっ、ちょっと待って……も、もう始めちゃうの!?
パニック状態になりながらも、居酒屋で働いた後に染み付いた汗と油の染み込んだこの匂いを消さなくてはという思いが浮かび上がり、湊を全力で引き剥がしにかかった。
「ギャーーーーッッ! ちょっ! ちょちょちょちょ……待って待って!!」
女らしからぬ大声が出た後、今度は小声で言った。
「お、おねが……シャワーだけでも浴びさせて!」
すると湊はニヤリと笑った。
「んなこと気にすんなって。俺もおんなじ匂いだから」
気にするわーーーーーーーーーーっっ!!
湊はそんな私に構わず、続きに入ろうとした。
ピンポーン♪
湊は私が生きてきて初めて出来た彼氏だ。同じ居酒屋で働くようになって何度かグループで遊びに行くうちに親しくなった。切なく思い合う恋心の末、というよりは友達の延長上の付き合いというノリのような感じで始まった交際だった。
とは言え、湊といるといつもすごく楽しいし、喧嘩をすることもなく、私たちの付き合いはごくごく順調だ。
「な、明日ふたりともバイト休みだし、大学の講義も午後からなんだろ? だったら今日泊まってってもいい? 俺も明日午前中はなんも予定ないし」
突然の湊の言葉に戸惑いつつも、嬉しい気持ちになる。居酒屋で毎日のように顔を合わせているとはいえ、カテキョのバイトもしている別大学の湊とはなかなか一緒に過ごせる時間がない。
「うん……」
私は『泊まる』という言葉に敏感に反応してしまい、恥ずかしくて小さな声で俯いた。
ずっと女子校だったし、バスケ一筋で合コンすら大学に入るまで行ったことなかった私は、男に対して免疫がない。キスもその先も湊が初めてで、付き合って1年経っても未だにキスすら慣れない。
湊を部屋に入れるのはこれが2回目だった。
なんか、緊張する。今日泊まるってことは、つまり、その……そういうつもり、なんだよね。
実を言うと、私は男女のそういう行為がとっても苦手だ。あんな恥ずかしい行為、なんでしなくちゃいけないんだろうぐらいに思っている。
でも湊は彼氏だし、湊は彼女とそういうことがしたいんだよね……?
「適当に座ってて。ビールとおつまみ用意するから」
一人用ソファに座るように湊を促す。
冷蔵庫を開け、湊の好きなビールと自分の好きなビールを出した。
湊は勝手にテレビをつけ、もう自分の家にいるかのようにくつろいでいる。そんな自然体な湊だから、好きなんだよね。
枝豆を茹で、豆腐サラダと煮豆の簡単なおつまみをテーブルに置き、湊の隣に座った。
ビールで乾杯した後、おつまみを口にしながらテレビを観て、たわいもないことで盛り上がる。湊といるといつも楽しいし、リラックス出来る。
しばらくして観ていたバラエティ番組が終わると、湊がリモコンを手に持ち、テレビの電源を消した。
「え……」
驚く間もなく、湊の腕が私の躰を引き寄せ、唇が重なった。
わ、わ、わっっ! ちょっ、ちょっと待って……も、もう始めちゃうの!?
パニック状態になりながらも、居酒屋で働いた後に染み付いた汗と油の染み込んだこの匂いを消さなくてはという思いが浮かび上がり、湊を全力で引き剥がしにかかった。
「ギャーーーーッッ! ちょっ! ちょちょちょちょ……待って待って!!」
女らしからぬ大声が出た後、今度は小声で言った。
「お、おねが……シャワーだけでも浴びさせて!」
すると湊はニヤリと笑った。
「んなこと気にすんなって。俺もおんなじ匂いだから」
気にするわーーーーーーーーーーっっ!!
湊はそんな私に構わず、続きに入ろうとした。
ピンポーン♪
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