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22.拘束と甘受
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皆、争うかのようにビールを開けていき、冷蔵庫いっぱいに入っていた瓶や缶がみるみるうちになくなっていく。ツリーの下に置かれたプレゼントを開けることになると、お互いが選んだプレゼントに歓喜したり、文句を言ったりしながら、更に盛り上がりは加速した。
冷蔵庫のビールを全て飲み尽くすと、今度はテキーラの瓶をヘルベンが持ってきた。
「ショットしようぜ」
「で、その後はクラブね」
お金のない大学生たちは、家や寮で思いっきり飲んでから、街に繰り出してクラブで遊ぶのが定番だ。
ハリーがショットグラスを6つ用意し、そのうちの1つをサラに差し出した。
「はい、これはサラに」
「わ、私は……いいです」
「サラ、なに言ってんの、全員強制参加よ!」
アイーシャがハリーからショットグラスを奪い、サラに渡す。
「クリスマスパーティーなんだから、いいこちゃん通さずに今日ぐらい付き合えよ、サラ」
ヘルベンにも押され、サラは頷いた。
せっかく誘って頂いてるのに、お断りするわけにはいきませんよね……
「5、4、3、2、1、0……Cheers!!」
皆でカウントダウンして、一気にテキーラのショットを空ける。
喉が熱く焼けつき、胃がカッカと燃えてくる。サラは強烈な刺激に、頭までフラフラした。そんな様子を見て、ハリーがサラの頬を撫でた。
「サラ、ほっぺまで真っ赤になってる。フフッ、可愛いなぁ」
「ちょ、ちょっと……ハリー、揶揄わないでくださいっ」
サラは、ハリーの手を押し除けた。
「その反応まで可愛い」
「確かに、アイーシャとは大違いだな」
ヘルベンの言葉を聞き、アイーシャが立ち上がった。
「ヘルベン、あんたがこれ以上減らず口叩けないようにしてやろうか?」
「うわっ、こわっっ!!」
その時、サラのスマホに着信が入った。画面を確認すると、ステファンからだ。
「すみません、失礼します」
騒がしいリビングルームを離れ、キッチンを通り過ぎて廊下に出て、電話をとる。
それでも、まだ5人の声が煩すぎてステファンの声がまったく聞き取れなかった。
「少しお待ちいただけますか」
サラは急いで自室へ向かうと、扉を閉めた。まだ皆の声が聞こえるが、先ほどよりは遠くなった。
「申し訳ありません」
『もう寝ているかと心配していましたが……随分と賑やかですね』
「えぇ……今、寮の友人とクリスマスパーティーをしているんです」
『そうですか。あまり飲みすぎないように気をつけて下さいね』
とてもステファンには、ビールをたくさん飲んだ上にテキーラまでショットで飲んだとは言えなかった。
「は、はい……気をつけます。
ステファンは、何をしていましたの?」
『私はリサイタルが終わってから、打ち合げを兼ねて休み明けのスケジュールについて打ち合わせをしていたところです。暫く、英国を離れることになりますからね。
まだ話が終わりそうもないので、隙を見てサラに電話をしたのですよ』
「打ち合わせ中でしたのに、すみません……」
多忙な中、ステファンに気を遣わせてしまったことに申し訳なさをサラは覚えた。
『多忙だからこそ……サラの声が聞けて嬉しいのですよ。これでまた、仕事に集中することが出来ます』
ステファンの優しい声音が耳に響き、サラは幸せに胸が震えた。
「ステファン……」
明後日にはステファンと旅行に行き、会えると分かっていても……ステファンの声を聞いていると、どうしようもなく会いたくなってしまいます。会いたくて、会いたくて、仕方ない……
『サラ……寂しい時は、寂しい、と言っていいのですよ?』
「ステファン……さみ、しい……会いたい、会いたい、です……今すぐ……会い、たいです……」
『ふふっ、よく出来ましたね。
ところで、クリスマスパーティーは、何時までの予定ですか?』
部屋の時計を見るともう既に11時近くだったが、あの盛り上がりからいって、すぐに終わりそうには思えなかった。それに、飲んでからはクラブに行こうと盛り上がっていたし、もしかしたら明け方までになるかもしれない。
先ほどまでは、せっかくのクリスマスパーティーだから皆に付き合ってクラブも行こうかと考えていたサラだったが、もしそうすればステファンを心配させてしまうことを思い、考えを変えた。
「えっと……皆様はこの後、クラブに行くつもりみたいですが、私はそういう場所は行ったことがなくて恐いですし、部屋に戻ろうかと思っているんです」
『そうですか、では部屋に戻ったらWhatsappの方にメッセージを入れておいてください』
「はい」
離れていてさえもステファンは、サラを甘い縄で拘束し、サラはそれを悦びとして甘受する。
『……サラ?』
「は、はいっ」
私……何か、ステファンを怒らせてしまったのでしょうか……
不安な気持ちでいると、ステファンの声が囁かれた。
『愛して、いますよ……』
ステファンの甘く艶やかな声が、まるで耳元で本当に囁かれたかのように感じて、ゾクリとサラの背中が粟立ち、躰の中心が熱くなる。
「わ、私も……愛しています」
『では、また……』
余韻を残すようにして、電話が切れた。
ステファンの息がかかったかのように……まだ耳が、熱い。
サラは火照りがおさまらないまま、皆のいるリビングルームへと戻った。
冷蔵庫のビールを全て飲み尽くすと、今度はテキーラの瓶をヘルベンが持ってきた。
「ショットしようぜ」
「で、その後はクラブね」
お金のない大学生たちは、家や寮で思いっきり飲んでから、街に繰り出してクラブで遊ぶのが定番だ。
ハリーがショットグラスを6つ用意し、そのうちの1つをサラに差し出した。
「はい、これはサラに」
「わ、私は……いいです」
「サラ、なに言ってんの、全員強制参加よ!」
アイーシャがハリーからショットグラスを奪い、サラに渡す。
「クリスマスパーティーなんだから、いいこちゃん通さずに今日ぐらい付き合えよ、サラ」
ヘルベンにも押され、サラは頷いた。
せっかく誘って頂いてるのに、お断りするわけにはいきませんよね……
「5、4、3、2、1、0……Cheers!!」
皆でカウントダウンして、一気にテキーラのショットを空ける。
喉が熱く焼けつき、胃がカッカと燃えてくる。サラは強烈な刺激に、頭までフラフラした。そんな様子を見て、ハリーがサラの頬を撫でた。
「サラ、ほっぺまで真っ赤になってる。フフッ、可愛いなぁ」
「ちょ、ちょっと……ハリー、揶揄わないでくださいっ」
サラは、ハリーの手を押し除けた。
「その反応まで可愛い」
「確かに、アイーシャとは大違いだな」
ヘルベンの言葉を聞き、アイーシャが立ち上がった。
「ヘルベン、あんたがこれ以上減らず口叩けないようにしてやろうか?」
「うわっ、こわっっ!!」
その時、サラのスマホに着信が入った。画面を確認すると、ステファンからだ。
「すみません、失礼します」
騒がしいリビングルームを離れ、キッチンを通り過ぎて廊下に出て、電話をとる。
それでも、まだ5人の声が煩すぎてステファンの声がまったく聞き取れなかった。
「少しお待ちいただけますか」
サラは急いで自室へ向かうと、扉を閉めた。まだ皆の声が聞こえるが、先ほどよりは遠くなった。
「申し訳ありません」
『もう寝ているかと心配していましたが……随分と賑やかですね』
「えぇ……今、寮の友人とクリスマスパーティーをしているんです」
『そうですか。あまり飲みすぎないように気をつけて下さいね』
とてもステファンには、ビールをたくさん飲んだ上にテキーラまでショットで飲んだとは言えなかった。
「は、はい……気をつけます。
ステファンは、何をしていましたの?」
『私はリサイタルが終わってから、打ち合げを兼ねて休み明けのスケジュールについて打ち合わせをしていたところです。暫く、英国を離れることになりますからね。
まだ話が終わりそうもないので、隙を見てサラに電話をしたのですよ』
「打ち合わせ中でしたのに、すみません……」
多忙な中、ステファンに気を遣わせてしまったことに申し訳なさをサラは覚えた。
『多忙だからこそ……サラの声が聞けて嬉しいのですよ。これでまた、仕事に集中することが出来ます』
ステファンの優しい声音が耳に響き、サラは幸せに胸が震えた。
「ステファン……」
明後日にはステファンと旅行に行き、会えると分かっていても……ステファンの声を聞いていると、どうしようもなく会いたくなってしまいます。会いたくて、会いたくて、仕方ない……
『サラ……寂しい時は、寂しい、と言っていいのですよ?』
「ステファン……さみ、しい……会いたい、会いたい、です……今すぐ……会い、たいです……」
『ふふっ、よく出来ましたね。
ところで、クリスマスパーティーは、何時までの予定ですか?』
部屋の時計を見るともう既に11時近くだったが、あの盛り上がりからいって、すぐに終わりそうには思えなかった。それに、飲んでからはクラブに行こうと盛り上がっていたし、もしかしたら明け方までになるかもしれない。
先ほどまでは、せっかくのクリスマスパーティーだから皆に付き合ってクラブも行こうかと考えていたサラだったが、もしそうすればステファンを心配させてしまうことを思い、考えを変えた。
「えっと……皆様はこの後、クラブに行くつもりみたいですが、私はそういう場所は行ったことがなくて恐いですし、部屋に戻ろうかと思っているんです」
『そうですか、では部屋に戻ったらWhatsappの方にメッセージを入れておいてください』
「はい」
離れていてさえもステファンは、サラを甘い縄で拘束し、サラはそれを悦びとして甘受する。
『……サラ?』
「は、はいっ」
私……何か、ステファンを怒らせてしまったのでしょうか……
不安な気持ちでいると、ステファンの声が囁かれた。
『愛して、いますよ……』
ステファンの甘く艶やかな声が、まるで耳元で本当に囁かれたかのように感じて、ゾクリとサラの背中が粟立ち、躰の中心が熱くなる。
「わ、私も……愛しています」
『では、また……』
余韻を残すようにして、電話が切れた。
ステファンの息がかかったかのように……まだ耳が、熱い。
サラは火照りがおさまらないまま、皆のいるリビングルームへと戻った。
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