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ピアノの貴公子は深窓の令嬢である姪への愛に目覚め、欲情を覚える

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 それからサラは郊外のパブリックスクールに入学し、寮生活となったため、顔を合わせることは滅多になくなり、安堵した。

 サラは長期休暇毎に実家に帰っていたが、私は家族そろってのイベントには参加したが、仕事が多忙なこともあったが、意識してサラとあまり顔を合わせないようにしていた。

 そんな私の理性を打ち崩す出来事が起こった。

 サマーホリデーでサラが帰ってきていたので、兄様からディナーの招待を受けた。

 和やかに食卓を囲んでいたのだが、急遽連絡があり、兄様と秘書である姉様は仕事へと戻らなければならなくなった。

「すまない、ステファン。せっかく来てくれたのに」
「いえ、仕事でしたら仕方ありませんので」

 そう兄様に答えながらも、心の中で動揺していた。既に通いの家政婦は帰っており、家にはサラとふたりきりになってしまう。

「では、私も失礼します」

 そう言って席を立とうとすると、兄様が制した。

「別に、お前まで一緒に帰ることはないだろう」
「ですが……」

 すると、サラが立ち上がった。

「まだデザートを食べていませんわ。せっかくステファン叔父様のために作ったので、ぜひ食べていってください」
「そうだそうだ、サラが張り切ってお前のためにデザートを作ったんだ。ゆっくりしていってくれ。
 じゃ、私たちは行くよ」
「ごめんなさいね、ステファン。お構いできなくて」

 サラに引き止められ、兄様と姉様にもそう言われてはすぐに帰るわけにもいかなかった。

 デザートを食べ終えると、サラに告げた。

「申し訳ないのですが……明日の演奏会の準備がありますので、もう帰らなくてはなりません」

 玄関先で、サラが寂しそうな表情を見せる。

「もう、帰ってしまうのですね……今度は、いつステファン叔父様にお会いできるのですか?」

 問いかけとも呟きともつかない寂しさを伴ったサラの響きに胸が苦しくなる。心の奥底の思いをひた隠し、平静を装い、優しく語りかける。

「それは……分かりませんが、また会いにきますよ」
「今日は私、久しぶりにステファン叔父様に会えるのをとても楽しみにしていましたのよ。それなのに……こんなに早くに帰ってしまうなんて。もっと、一緒に過ごしたいですのに……」

 サラの言葉に耐えられず、背を向けた。

 これ以上、言わないで下さい。貴女に何をするか、自分でも分からない……

「ステファン叔父様……私っっ!!」

 いけないっ……

 サラの思い詰めた口調を振り払うように、言葉を重ねる。

「急ぎますので……」

 扉に手を掛け、サラの家を出た。

 危ないところでしたね……

 最近はお互いの想いが昂まりすぎて、溢れてしまいそうになっていた。今まで以上にサラを避けて過ごすようになっている自分に、憤りを感じる。

「っく……早く、大人になって下さい、サラ……」

 サラが18歳になるまでの辛抱だ。彼女が18歳になった暁には私の想いを告げる。

 私たちの運命は、そこで決まるのです……
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