【R１８】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

４８８. 饗宴の終わり

「Excuse me」



　後ろから急に声をかけられ、義昭はビクリと肩を震わせた。慌ててビデオカメラをポケットに入れ、振り返る。

　義昭の目の前には、セキュリティの者と思われる大男が立っていた。彼の視線は出しっぱなしになっていて勃起しているそれではなく、義昭の手が突っ込まれたポケットの中にあった。

「What are you hiding in your pocket? Get it out right away!
（ポケットに隠してるものはなんだ？　すぐに出せ！） 」

　威圧的な態度で言われ、義昭の興奮が一気に萎み、それに伴って自身も萎えた。

　カメラを没収されたら、せっかく撮ったルイの映像が見られなくなってしまう……

　義昭は顔を青褪めさせながらも、なんとかSDカードを回収しようとカメラの端子カバーを起こしながら、セキュリティーの男に愛想笑いを浮かべた。

「What do you mean?
（なんのことでしょう？）」
「No cheat! You put the camera in there!!
（ごまかすんじゃねぇ！そこにカメラが入ってんだろうが！！）」

　カメラだと、バレてたのか……

　義昭はビクビクしながらも、頭を出したSDカードを指先で押し込み、引き上がったカードを抜き取ると端子カバーを戻した。

　その瞬間、男の手が義昭の手首を掴み、ポケットから引き抜いた。義昭の手には、SDカードが引き抜かれたビデオカメラがあった。

「Hey, stop messing around.
（おい、ふざけてんじゃねぇぞ）」

　男は義昭の手からビデオカメラを奪い取ると、顔を思い切り殴りつけた。

「Fuck off!
（失せやがれ！）」

　これ以上ここにいては危険だし、もしビデオカメラからSDカードを抜き取ったことがバレたらただでは済まされない。

　義昭は預けた携帯を受け取ることもなく、慌てて会場を立ち去った。