【R１８】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

４４１.誘惑

　僕と、どこか誰も知らない世界で住むことは考えられないの？
　ふたりきりの、世界で……
　


　類の哀しみと切なさの入り混じった瞳で見つめられ、美羽の胸がきつく締め付けられる。

「グゴッ」

　いきなり大きな鼻を鳴らす音が響き、音のあった方に視線を向けると、義昭が酔い潰れて座卓に突っ伏していびきをかいて寝ていた。

　類が拳を握り、震わせた。

「こ、んな……一緒にいても、なんの価値もない男に振り回されて……ミューは、どれだけ傷ついてきたの？　長い間、ずっと我慢してきたよね。
　この男の本性、見たでしょ？　気持ち悪いって、一緒にいたくないって嫌悪してるのに……どうして、ミューはっっ！！」

　類は、唇を噛み締め、美羽から顔を背けた。

「ごめん……そんなミューごと、受け止めるって決めたのに。全て受け入れて、愛するって……それ、なのに。許せなく、なる。ミューの何もかも、僕のものにしたくて、どうしようもなくなる。
　
　たとえ戸籍だけの夫婦関係であっても、その絆さえ、断ち切りたくなるんだ」

　類……

　美羽の今まで抑えてきた思いが、溢れ出す。

「私、だって……！　離婚、できるものなら離婚したいよ！！　類と一緒にいられるなら、一生を添い遂げられるなら、どこかへ逃げたい。新たな地でやり直したい……

　でも、ｯｸ……無理、なの。私たちは、どうしたって一緒になれない。双子である私たちが恋人になんて、なれないんだよ……どこにいても、世間の目が追いかけてくる。私たちを、疑いの目で見てくるの。
　さっきだって……！　エレベーターで私たちに向けられた視線、言葉、覚えているでしょう？　

　私たちが恋人として一緒にいるということは、好奇の目に晒されながら、陰口を囁かれながら、蔑まれながら、一生を過ごしていかないといけないってことなの。

　そんなこと、私……耐え、られない。無理、無理だよ、類……ｯｯ」

　美羽は、震える睫毛を伏せた。


　本当は分かってる。義昭さんと離婚して、類からも離れて、ひとりで暮らしていくべきだって。

　自分の人生を、未来を築いていくべきだって、分かってる……



　類が、美羽を強く抱き締める。

「そんなこと、絶対にさせない。
　ミューが僕の前からいなくなったら……耐えられない。地の果てまで、地獄の底へだって、追いかけるから……」

　鬼気迫る類の声が耳に響き、美羽はビクッと震えた。

「るぅぅぅぃぃぃ」

　義昭の声に耳を震わせ、そちらを盗み見たが、どうやら寝言だったようだ。

「大丈夫。ぐっすり寝てるよ」

　そう言いながら、類の手が美羽の腰に触れて太腿へと下り、スカートを捲る。

「類ｯｯ」

　やめ、て。義昭さんが、いるのに。

「起きてこないし、美羽が声を出さなければ見えないから分からないよ」

　ぁ……や、やめて……お願い、類。

　細くてしなやかな指が内腿へと周り、パンティーのラインを辿り、クラッチの中心に圧をかける。ジュワッと蜜が溢れ出してくるのを感じる。類の指を、濡らしてしまっている。

「あったかくて、湿ってる……」

　類に耳元で囁かれ、一気に躰が熱くなる。

　彼の人差し指がパンティーを引っ掛けて引き上げ、中指が中へと押し入ろうとする。

「ｯｯｸ、ダメッ！！」

　なんとか理性を取り戻して美羽が類の手を払い除けると、類は蠱惑的な笑みを見せた。

「ほんとは、欲しいくせに」
「そ、なこと……ない」