【R18】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

奏音 美都

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431.類の提案

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 まだ異物を入れられているような余韻をそこに感じ、現実が急激に迫ってきた。もう、取り返しがつかない。

「ッッ」

 耐え切れないほどの罪悪感が、のしかかってくる。胃がキリキリと絞られ、息が次第に上がってくる。額から冷や汗がジワリジワリと湧いてきて、心臓が嫌な音をたてて急速にスピードを上げていく。

 かおりんも、義昭さんも、お母さんも、お父さんも、隼斗兄さんも、デタントのみんなも、お客さんも、近所の人も……みんな、みんな欺いて……わたし、は……

「ハァッ、ハァッ、ハァッ……ハッ、ハッ、ハッ」

 美羽の異常事態に気付いた類の睫毛が震え、目を開けた。隣で過呼吸を起こしている美羽を抱き起こし、きつく抱き締める。

「ミュー、落ち着いて! 息を、息をゆっくり吐き出して。
 何も、何も考えないで……罪に囚われちゃ、ダメだ!!」
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……」
「誰の命令で、僕たちはこうなったの?」
「ハッ、ハッ……ッッ」
「応えて!!」

 類が必死に呼びかける。

「る、ぃ……ハァッ、ハァッ」
「そう、僕だ。僕なんだ!
 ミューは、脅されてるだけ。そうでしょ?」
「ハァッ、ハァッ……脅、されて……ハァッ、ハァッ」
「そこに……そこに、ミューの意思なんて、ない!!」
「ハァッ、ハァッ……」
「全部、僕が悪いんだから……ック自分を、責めないで……ミューッッ!!」

 美羽を抱き締める類の腕が、震えている。美羽の瞳から大粒の涙がポロリと零れ落ちた。

 美羽の呼吸が安定しても、類はまだ美羽を抱き締めていた。

「寝ちゃってたね」
「うん……」

 先ほどまでのことなどなかったかのように、類が話しかけた。

 ふたりの間に、昨日まではなかった甘さが漂っている。今までのふたりとは違う空気が、そこに流れていた。

 背徳を感じながらも、諦めに似た感情も湧き上がる。

 終わりのない後悔という迷路に迷い込む前に、美羽は考えを放棄した。

 何も考えなければ、心を持たなければ、傷つくことも、罪悪感に苛まれることもない。

 今、何時だろ……

 類の腕の中で躰を少し起こして目覚まし時計を確認すると、もう8時だった。

「いけないっ! 夕飯作らないと……」

 義昭さん、9時には帰って来るはず。

 美羽が起き上がろうとすると、類の腕で躰を引き寄せられた。

「しなくていい」
「で、も……」

 背中から首筋に唇が当たり、ゾクッとする。また欲情を焚きつけられてしまう。



「僕に、提案があるんだ」



 意味深な笑みを浮かべて、類が美羽の首筋を甘噛みした。
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