【R18】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

奏音 美都

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411.受け入れたくない感触

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 また、定休日が来てしまった。最も長い、1日が。

 義昭を見送ってから部屋に戻り、どこかへ行く気力もなく、美羽はベッドに横になっていた。

 時計の秒針が、耳を騒つかせる。少しずつ空腹感が広がっていくのを感じつつ、起き上がれない。

 あの日、類は帰りが遅い自分のことを心配して、誰と会っているのかと問い詰め、嫉妬に悩まされたはずなのに。

 類は香織と別れることなく、今まで通り付き合いを続けている。

 切ない吐息が落ちていく。

 結局、私たちは双子……似た物同士、なんだよね。

 私が類に仕返しして、類が更に仕返しして……負のループから、抜け出せない。
 お互い、苦しむだけなのに。誰にとっても、いいことなんてないのに。傷つけ合わずにいられない。

 どうして私たちは、こんな風にしか互いを愛せないの? 愛することを、やめられないの?

 類は今日、かおりんとデートするのかな……

 視界に入れなければ、声が聞こえなければ、家にいても外にいても同じだ。

 そう思っていたはずなのに、玄関の扉が開いた音にビクッとする。

 かおりんが、来たんだ。

 ふたりの声は聞こえてこないのに、楽しそうな姿が、声が、表情が、脳裏に勝手に浮かび上がってくる。自身の想像に苦しめられる。

 やめて!!

 美羽は枕で頭を塞ぎ、俯せになった。

 ふたりがこのまま家で過ごすなら、出て行きたい。けれど、起き上がる気力が湧いてこなかった。

 このまま眠れたら、楽になれるのに……

 ずっと、寝不足が続いている。

 仕事への集中力も欠き、隼斗にまで注意されるありさまだ。

 どこにいても、類と香織の方へと視線が向いてしまう。ふたりが会話を始めた途端、全神経が耳となり、全身が針のように硬くなる。泣き出したくて、叫びたくて、心が悲鳴をあげる。

 苦しくて苦しくて……仕方ない。

「ウッ、ウッ……ッグ」

 もぅ……嫌、だ。

 美羽はマットレスに口を当て、声を押し殺して噎せいだ。

 その時突然、誰かに頬を触れられたかのような違和感が走り、美羽は背筋を震わせた。



 今、の……まさか!?



 疑問が、やがて確信へと変わっていく。

 顎の輪郭をツーっとなぞられる。温かくて柔らかく、しっとりと吸い付くような感触が唇に押し付けられる。

 深い絶望と、これから自分の身に降りかかる恐怖に、全身が竦んだ。

 それが、どこからきているのか……受け入れたく、ない。

 振り払うように必死に枕に顔を押し付け、与えられた感触を消し去るため、何度も唇を強く擦りつける。

「ッグ」

 けれど、その支配からは逃れられない。

 唇を塞がれ、舌が入り込んでくる。熱く、ねっとりとした感触が、歯の1本1本を確かめるように伝っていき、歯の裏が、歯茎が、口内の粘膜が探られ、舐められ、甚振られる。

「ック! ハァ、ハァ……ッッ!!」

 いくら頭で否定しても、躰が覚えている……この、感触を。与えられる、愛撫を。

 類とキスをしている錯覚に、囚われていく。彼の熱が、吐息が、記憶を通じて伝わってくる。

 蜜壺が微熱を帯び、情欲が掻き立てられ、厭らしい愛蜜が深奥からドクドクと産み出される。



 やめ、やめて……類ぃぃっっ!!


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