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359.憤る気持ち
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芳子のテンションが更に加速する。
「へぇっ、そうなのそうなの!?
キャーッ、なにそれ!! デタントに恋の季節ねぇ❤️ あー、私もまたデタントで働きたいなぁ。でも、裕樹をまだ保育園に預けてまで働こうって気にはならないし。
あれっ……ちょっと待って。香織ぃ、あんた不倫してたんじゃなかったっけ? その人とは切れたの?」
ひとり置いてきぼりをくらっているようだと気付いた芳子は、最新情報に追いつこうと躍起になった。
藤岡のことを指摘された香織は、ばつが悪そうな表情を浮かべた。
「まぁ、ぶっちゃけると……奥さんにバレて、あえなく破局ってとこかな。実は、 その嫌がらせってのも奥さんからで、デタントにまで押し掛けられて、そこを助けてくれたのが類くんだったんだよね」
「うわぁ、なにそれっ! ちょっとした昼ドラじゃないのぉ!! あーっもうっ、その現場見たかったわぁ!!」
芳子は悔しそうに両拳をブンブン振った。そんな芳子に、香織が眉を顰める。
「もぉ、やめてよぉ、思い出したくもない!!
私はあんな男忘れて、これからは新しい恋に生きるんだから!!」
高らかに宣言した香織に、萌が目を細めてニヤリと笑みを浮かべ、人差し指をリズミカルに動かした。
「そぉ・れぇ・がぁ、類たんたーん❤️」
「ちょっ、萌っっ!!」
香織が焦ったような声を上げる。
先ほどまでの楽しくドキドキした時間が嘘だったかのように、美羽の心が急激に冷え切り、轟々と吹き荒んでいた。
「美羽たん美羽たん、かおたんが類たんと付き合って恋人になったらどうするたーん? もしかして、かおたんが義妹とかぁ? キャーッ、いいかもぉ!! 類たんと美羽たんに囲まれて生活なんて、夢みたぁい❤️❤️」
ひとりで盛り上がる萌に、苛々が募っていく。そんなこと、想像すらしたくない。
そんな中、香織の顔から焦りの表情が消え、真剣な眼差しを美羽に向けた。
「美羽……もし、もしもよ……私が、類くんのことを好きだって言ったら。バレンタインに告白しようって考えてるって言ったら、どうする?」
何!? 何を、言わせたいわけ!?
美羽は唇をキュッと噛み、それから香織にそっぽを向けた。
「そんなの、どうして私に聞くの? それはかおりんと類の問題でしょ。私には、関係ない!!」
「美、羽……」
思いの外、強い口調で答えてしまい、香織を傷つけてしまったのではと胸がズクッと痛んだ。萌と芳子もあまりにも刺々しい美羽の態度に驚いた視線を投げかけているのを感じ、針の筵に座る思いだった。
けれどもう、取り返せない。
せっかく今日は久々にみんなで会って、楽しい時間を過ごすはずだったのに、自分のせいでそれを壊してしまったと思うと居た堪れなかった。
どう、して……こんなことに。
感情が溢れ出して胸が熱くなり、瞳の奥が潤んでくる。
その時、美羽のハンドバッグから着信音が聞こえてきた。差し伸べられた救いに縋るようにハンドバッグを引き寄せ、スマホを手にする。
「へぇっ、そうなのそうなの!?
キャーッ、なにそれ!! デタントに恋の季節ねぇ❤️ あー、私もまたデタントで働きたいなぁ。でも、裕樹をまだ保育園に預けてまで働こうって気にはならないし。
あれっ……ちょっと待って。香織ぃ、あんた不倫してたんじゃなかったっけ? その人とは切れたの?」
ひとり置いてきぼりをくらっているようだと気付いた芳子は、最新情報に追いつこうと躍起になった。
藤岡のことを指摘された香織は、ばつが悪そうな表情を浮かべた。
「まぁ、ぶっちゃけると……奥さんにバレて、あえなく破局ってとこかな。実は、 その嫌がらせってのも奥さんからで、デタントにまで押し掛けられて、そこを助けてくれたのが類くんだったんだよね」
「うわぁ、なにそれっ! ちょっとした昼ドラじゃないのぉ!! あーっもうっ、その現場見たかったわぁ!!」
芳子は悔しそうに両拳をブンブン振った。そんな芳子に、香織が眉を顰める。
「もぉ、やめてよぉ、思い出したくもない!!
私はあんな男忘れて、これからは新しい恋に生きるんだから!!」
高らかに宣言した香織に、萌が目を細めてニヤリと笑みを浮かべ、人差し指をリズミカルに動かした。
「そぉ・れぇ・がぁ、類たんたーん❤️」
「ちょっ、萌っっ!!」
香織が焦ったような声を上げる。
先ほどまでの楽しくドキドキした時間が嘘だったかのように、美羽の心が急激に冷え切り、轟々と吹き荒んでいた。
「美羽たん美羽たん、かおたんが類たんと付き合って恋人になったらどうするたーん? もしかして、かおたんが義妹とかぁ? キャーッ、いいかもぉ!! 類たんと美羽たんに囲まれて生活なんて、夢みたぁい❤️❤️」
ひとりで盛り上がる萌に、苛々が募っていく。そんなこと、想像すらしたくない。
そんな中、香織の顔から焦りの表情が消え、真剣な眼差しを美羽に向けた。
「美羽……もし、もしもよ……私が、類くんのことを好きだって言ったら。バレンタインに告白しようって考えてるって言ったら、どうする?」
何!? 何を、言わせたいわけ!?
美羽は唇をキュッと噛み、それから香織にそっぽを向けた。
「そんなの、どうして私に聞くの? それはかおりんと類の問題でしょ。私には、関係ない!!」
「美、羽……」
思いの外、強い口調で答えてしまい、香織を傷つけてしまったのではと胸がズクッと痛んだ。萌と芳子もあまりにも刺々しい美羽の態度に驚いた視線を投げかけているのを感じ、針の筵に座る思いだった。
けれどもう、取り返せない。
せっかく今日は久々にみんなで会って、楽しい時間を過ごすはずだったのに、自分のせいでそれを壊してしまったと思うと居た堪れなかった。
どう、して……こんなことに。
感情が溢れ出して胸が熱くなり、瞳の奥が潤んでくる。
その時、美羽のハンドバッグから着信音が聞こえてきた。差し伸べられた救いに縋るようにハンドバッグを引き寄せ、スマホを手にする。
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