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328.香織の詮索
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あまりにも真剣に迫る美羽に、香織はたじたじとなった。
「ぇえっ!? いや……まだ、分からないけど。でも、類くんって最初さ、優しくて柔らかい印象だから頼りないのかなって思ってたけど、今回のことで凄くしっかりしてて頼りになるってことが分かって、見方が変わったのは事実、かな」
「そ、そう……」
どう、しよう。もし、かおりんが類を好きになったら。
類の気持ちがかおりんに向くことはないだろうけど、それでも……
かおりんに、類を好きになって欲しくない。
葛藤する美羽の顔を、香織がおずおずと覗き込んだ。
「ねぇ……美羽は、私に類くんを好きになって欲しくないって思ってる?」
ッグ。
熱い石を詰められたように、美羽の喉が詰まった。
もちろん、香織に類を好きになんてなって欲しくない。
けれど、そうだと正直に話せば、ペンションでの一件もあり、自分と類が恋人同士であると疑われかねない。
香織がじっと美羽の顔を見つめる。
「あの時……美羽が隼斗さんと一緒にいるって聞いた時の類くんの態度。普通じゃなかったもんね」
美羽の心臓がビクンッと縮み上がる。
だ。だめ……このままじゃ、疑われちゃう。
香織の追求の手は止まない。
「考えてみれば、おかしいよね。類くんは立派な大人なのに、美羽のところにずっと同居してるなんて。バイトの身とはいえ、普通姉夫婦のところに同居なんて居づらいんじゃない?
それに、よっしーが抜けて人手が足らなくなって困ってた時に、類くんがアメリカから来たばかりで働く先探してたからってバイトに入ってくれたけどさ、類くんの経歴からしたら、一流企業に就職するのだって難しくなさそうじゃん?
もちろん私たちは類くんが来てくれて助かってるけど、ほんとに類くんって飲食業の仕事したいのかな? だって、今までやってた仕事とは全然業種が違うでしょ。
もしかして……類くんて、美羽と一緒にいたいために同居したり、同じ職場で働いているんじゃない? 美羽に、姉以上の気持ちを寄せてるんじゃないの?
それに、美羽も気づいてるんじゃない?」
お願い。どうか、詮索しないで。
私たちの関係を、見破らないで!!
「そんなわけないでしょ!! る、類は昔、から……シスコンで。それが、10年も離れてたから、余計に離れたく、ないっていうだけで!!
私、結婚してるんだよ? 弟が姉に、恋愛感情なんてもつはずないじゃない!! やめてよっっ!!」
美羽は必死に弁解した。
香織には、香織にだけは、こんな乱れた関係を知られたくない。
「ご、ごめん……そうだよねっ。まさか、双子の男女で恋愛とか、リアルであるはずないよね。美羽と類くんがあまりにも美男美女だし、仲良いからそんな想像しちゃって……ごめん!!
私、親友に対してこんなこと言うなんて、最低だね……」
香織が俯き、テーブルに置かれた手をグッと握りしめて震わせている。
「ううんっ!! 私、こそ……感情的になっちゃって。ごめん、ね……」
お互いに謝り、表向きには香織の誤解が解けた形にはなったものの、ぎこちない空気が消えることはなかった。
「ぇえっ!? いや……まだ、分からないけど。でも、類くんって最初さ、優しくて柔らかい印象だから頼りないのかなって思ってたけど、今回のことで凄くしっかりしてて頼りになるってことが分かって、見方が変わったのは事実、かな」
「そ、そう……」
どう、しよう。もし、かおりんが類を好きになったら。
類の気持ちがかおりんに向くことはないだろうけど、それでも……
かおりんに、類を好きになって欲しくない。
葛藤する美羽の顔を、香織がおずおずと覗き込んだ。
「ねぇ……美羽は、私に類くんを好きになって欲しくないって思ってる?」
ッグ。
熱い石を詰められたように、美羽の喉が詰まった。
もちろん、香織に類を好きになんてなって欲しくない。
けれど、そうだと正直に話せば、ペンションでの一件もあり、自分と類が恋人同士であると疑われかねない。
香織がじっと美羽の顔を見つめる。
「あの時……美羽が隼斗さんと一緒にいるって聞いた時の類くんの態度。普通じゃなかったもんね」
美羽の心臓がビクンッと縮み上がる。
だ。だめ……このままじゃ、疑われちゃう。
香織の追求の手は止まない。
「考えてみれば、おかしいよね。類くんは立派な大人なのに、美羽のところにずっと同居してるなんて。バイトの身とはいえ、普通姉夫婦のところに同居なんて居づらいんじゃない?
それに、よっしーが抜けて人手が足らなくなって困ってた時に、類くんがアメリカから来たばかりで働く先探してたからってバイトに入ってくれたけどさ、類くんの経歴からしたら、一流企業に就職するのだって難しくなさそうじゃん?
もちろん私たちは類くんが来てくれて助かってるけど、ほんとに類くんって飲食業の仕事したいのかな? だって、今までやってた仕事とは全然業種が違うでしょ。
もしかして……類くんて、美羽と一緒にいたいために同居したり、同じ職場で働いているんじゃない? 美羽に、姉以上の気持ちを寄せてるんじゃないの?
それに、美羽も気づいてるんじゃない?」
お願い。どうか、詮索しないで。
私たちの関係を、見破らないで!!
「そんなわけないでしょ!! る、類は昔、から……シスコンで。それが、10年も離れてたから、余計に離れたく、ないっていうだけで!!
私、結婚してるんだよ? 弟が姉に、恋愛感情なんてもつはずないじゃない!! やめてよっっ!!」
美羽は必死に弁解した。
香織には、香織にだけは、こんな乱れた関係を知られたくない。
「ご、ごめん……そうだよねっ。まさか、双子の男女で恋愛とか、リアルであるはずないよね。美羽と類くんがあまりにも美男美女だし、仲良いからそんな想像しちゃって……ごめん!!
私、親友に対してこんなこと言うなんて、最低だね……」
香織が俯き、テーブルに置かれた手をグッと握りしめて震わせている。
「ううんっ!! 私、こそ……感情的になっちゃって。ごめん、ね……」
お互いに謝り、表向きには香織の誤解が解けた形にはなったものの、ぎこちない空気が消えることはなかった。
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