【R１８】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

２７４.抗えない快感

　額からじわりと汗が噴き出してくる。美羽の性感帯を知り尽くしている類の攻撃に、耐えられるはずない。

　迫り来る絶頂を目の前にして、手を伸ばしたくて堪らなくなる。もう何もかも忘れ、手放して、ただ欲望だけに忠実に従いたくなる。脳に霧がかかり、熱に浮かされるように、ぼぉっとしてくる。

　あぁ、気持ちいぃ……欲しい。欲しい……
　もっと、もっと強く激しい快楽が欲しい。
　イきたい、イかせて欲しい……

　欲望がぐるぐると渦を巻く。

　全てのシナプスが記憶を伝って五感と繋がり、脳へと結ばれる。類のぬくもりが、匂いが、手触りがリアルに蘇ってくる。彼の熱い肌に、抱かれているかのように感じてしまう。

『ミューに、快感を与えられるのは誰？』

　類の問いかけとともに、与えられていた刺激がピタッと止む。途端に、届きそうだった絶頂の波が一気に引いていく。

　ゃ、やだ……あと、少しだったのに！

　本能が叫んだ。

　だが、理性を掻き集め、本能を必死に抑えこむ。

　類、やめて！！
　こんなこと、間違ってる！！

『ねぇ、ミューに快感を与えられるのは誰！』

　苛立ちを含んだ類の声が、胸の中に響く。一旦止められた刺激が、再び与えられる。花芽が勃ち上がり、花芯が熱くなってくる。

「……ｯｯ！！」

　上昇する快感に打ち勝てず、美羽は俯せになって枕を顔に押し付けた。マットレスに下半身を押し付けたくなる誘惑に、必死に耐える。隣から隼斗の寝息がスーッと聞こえ、美羽は唇を強く噛んだ。
　
　起きないで、隼斗兄さん。
　絶対に、聞かれたくない。

　ダメ……こ、んな……

　ドクンッと花芽が痙攣し、美羽は枕の縁を両手で強く掴んだ。中心が燃えるように熱い。脈動の感覚が短く、力強くなり、絶頂に向かって猛進する。全身が小刻みに震え、チカチカと電光が脳髄で弾けた。

「ｯｶﾊ！」

　爪が枕に深く沈むほど、強く握り締める。

『愛してる……』

　絶頂に向かう最中さなか、囁くように告げられた類からの愛の言葉に、鳥肌が立つ。鼓膜に溶けていく媚薬に脳内のアドレナリンが急上昇し、火花となって爆ぜる。理性が激しく揺さぶられ、強い快感に身をくねらせる。

『愛、してるんだよぉ……ｯｸ……ミュー！！』

　胸を引き裂かんばかりの、泣き叫ぶような声。類の不安定な感情が強大な荒波となって轟々と押し寄せる。性感帯に与えられる物理的な刺激と、与えられる狂気的な愛情によって生み出された心理的な刺激が絡まり、混成される。絶頂という名の化け物が大きな口を開け、あと少しで呑み込まれるところまで迫っている。

『ｯｸﾞ、ｯｸﾞ……僕だけって、言ってよ。僕だけ、愛してるって……』

　激しく切ない類の叫びに、胸を強く掻き乱される。膣内が熱くトロトロに柔らかくなり、雄を誘うように収縮し、蠢く。

　もう、抑えきれないっっ……！！

　限界を超えて理性が粉々に散り砕かれ、残ったのは快楽に呑まれたいという本能のみだった。

「ﾝｯ……」

　美羽はブルブルッと全身を震わせ、オーガズムに達した。理性も本能も、全ての思考が押し流され、真っ白に塗り潰された。

「ｯｸ……ﾊｧｯ、ﾊｧｯ……」

　快感の余韻に包まれながら、遠く離れた意識がゆっくりと躰に還ってくる。美羽は、枕に殊更強く顔を押し付けた。涙が急速に、布地に吸い込まれていく。

　堪え、られなかった……