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251.隼斗の報告
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「じゃあ、どうして私を呼び出したの?」
「突然でお祝いの言葉も言えてなかったから、改めておめでとうって言おうと思ってな。仕事場じゃ、そんな話は出来ないから」
全然めでたくないよ……
美羽は脱力した。
「隼斗兄さん……
私、福岡に行きたくない一心で、今日告白された人の名刺を使って恋人がいるってお母さんに嘘ついちゃったの。それで……困ってるの。
これからどうしたらいいんだろうって」
隼斗は再び缶コーヒーを手に取り、グイと飲み干すと息を吐いた。
「そうだったのか」
「もし福岡に行けば……今まで以上に、私には自由がなくなる。軟禁生活になるのは分かるから。
どうしても、避けたいの。
だからって、好きでもない人と結婚するのは嫌……咄嗟にあんな嘘ついちゃって、後悔してる」
「その客には、なんの感情もないのか?」
隼斗に聞かれ、美羽は少し考えてみた。
「嫌な感情は、ないよ。いいお客さんだし、ちょっと可愛いなって思うときもあるし……でも、恋愛感情ではないの。
あの人にも、申し訳ない気持ちになってる。知らないところで巻き込んじゃってるから……」
「そう、か……」
そう言ったきり、隼斗は黙り込んだ。
それから、ポツリと呟く。
「すまない。やっぱり俺には、恋愛の相談は無理だ」
「そう、だよね……ごめんなさい、隼斗兄さんにこんなこと相談しちゃって」
私が、自分自身で解決しないといけない問題なのに。隼斗兄さんに頼ろうとするなんて、ダメだよね。
さっきまで美羽の髪を揺らしていた風が遮られた。俯きかけた美羽の華奢な肩が、隼斗の大きな手に包まれる。
「香織になら、話せるか?」
「え、かおりん?」
香織は美羽にとって親友だが、今までこういった類の相談をしたことがない。
でも……きっと、かおりんなら親身になって聞いてくれるはず。
「う、ん……話せると、思う」
「実は、もうひとつ美羽に話があるんだ」
「えっ、なに?」
隼斗は改まったような表情で、美羽を見つめた。
「先日オーナーから話をされて……店の権利を、買い取ろうかと思ってるんだ」
「うわーっ、そうなんだ! じゃあ、隼斗兄さんがカフェのオーナーになるってこと?」
「あぁ、そうだ」
隼斗の力強い頷きに、美羽が笑顔で応える。
「おめでとう! いつか店を持ちたいっていう、隼斗兄さんの夢が叶ったね!」
「まだ譲渡についての話を詰めていく段階だから、他の従業員たちには完全に決まってから伝えるつもりだ。だが、美羽には伝えておこうと思ってな」
隼斗はほんの少し頬を上気させ、頭を掻いた。普段は表情の変化が乏しい隼斗が、こんな顔を見せるなんてよほどのことだ。
「ほんとに良かったね! 絵麻さんは、もちろん知ってるんだよね?」
「あぁ、知ってる」
オーナーが隼斗兄さんに店を任せるってことは、娘である絵麻さんとの交際を認めてて、将来的に夫婦になることを見越してのことだろうから、きっとふたりはこれから結婚に向けて動き出すんだ……
そう確信した美羽は、これからのふたりの未来を思い、気分が高揚した。
「突然でお祝いの言葉も言えてなかったから、改めておめでとうって言おうと思ってな。仕事場じゃ、そんな話は出来ないから」
全然めでたくないよ……
美羽は脱力した。
「隼斗兄さん……
私、福岡に行きたくない一心で、今日告白された人の名刺を使って恋人がいるってお母さんに嘘ついちゃったの。それで……困ってるの。
これからどうしたらいいんだろうって」
隼斗は再び缶コーヒーを手に取り、グイと飲み干すと息を吐いた。
「そうだったのか」
「もし福岡に行けば……今まで以上に、私には自由がなくなる。軟禁生活になるのは分かるから。
どうしても、避けたいの。
だからって、好きでもない人と結婚するのは嫌……咄嗟にあんな嘘ついちゃって、後悔してる」
「その客には、なんの感情もないのか?」
隼斗に聞かれ、美羽は少し考えてみた。
「嫌な感情は、ないよ。いいお客さんだし、ちょっと可愛いなって思うときもあるし……でも、恋愛感情ではないの。
あの人にも、申し訳ない気持ちになってる。知らないところで巻き込んじゃってるから……」
「そう、か……」
そう言ったきり、隼斗は黙り込んだ。
それから、ポツリと呟く。
「すまない。やっぱり俺には、恋愛の相談は無理だ」
「そう、だよね……ごめんなさい、隼斗兄さんにこんなこと相談しちゃって」
私が、自分自身で解決しないといけない問題なのに。隼斗兄さんに頼ろうとするなんて、ダメだよね。
さっきまで美羽の髪を揺らしていた風が遮られた。俯きかけた美羽の華奢な肩が、隼斗の大きな手に包まれる。
「香織になら、話せるか?」
「え、かおりん?」
香織は美羽にとって親友だが、今までこういった類の相談をしたことがない。
でも……きっと、かおりんなら親身になって聞いてくれるはず。
「う、ん……話せると、思う」
「実は、もうひとつ美羽に話があるんだ」
「えっ、なに?」
隼斗は改まったような表情で、美羽を見つめた。
「先日オーナーから話をされて……店の権利を、買い取ろうかと思ってるんだ」
「うわーっ、そうなんだ! じゃあ、隼斗兄さんがカフェのオーナーになるってこと?」
「あぁ、そうだ」
隼斗の力強い頷きに、美羽が笑顔で応える。
「おめでとう! いつか店を持ちたいっていう、隼斗兄さんの夢が叶ったね!」
「まだ譲渡についての話を詰めていく段階だから、他の従業員たちには完全に決まってから伝えるつもりだ。だが、美羽には伝えておこうと思ってな」
隼斗はほんの少し頬を上気させ、頭を掻いた。普段は表情の変化が乏しい隼斗が、こんな顔を見せるなんてよほどのことだ。
「ほんとに良かったね! 絵麻さんは、もちろん知ってるんだよね?」
「あぁ、知ってる」
オーナーが隼斗兄さんに店を任せるってことは、娘である絵麻さんとの交際を認めてて、将来的に夫婦になることを見越してのことだろうから、きっとふたりはこれから結婚に向けて動き出すんだ……
そう確信した美羽は、これからのふたりの未来を思い、気分が高揚した。
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