198 / 498
192.嫌がらせ
しおりを挟む
テーブルに置いてあるスマホから、人気バンドの着メロが流れてきた。
「あ、やっべ! 音消すの忘れてた!!」
慌てて浩平がスマホを取り、電話に出ると控え室を出て行った。浩平の背中を見送ってから、美羽は香織に向き直った。
「そういえば、かおりんにかかってきてた間違い電話、どうなったの?」
先ほどの香織の態度が気にかかっていたこともあり、美羽がそう尋ねると、ハァ……と香織は大きく息を吐いた。
「それがさ……今度は、変なメールが送られてくるようになったんだよね」
香織はエプロンのポケットからスマホを取り出してスクロールすると、画面を見せた。そこには、怪しげな出会い系サイトやアダルト系サイトの宣伝メールなんかが送られている。
「送り先がひとつだったらブロックすればそれで済むんだけど、色んなところから送られてくるからブロックしても意味なくて。しかも家のポストにまでこういう怪しいチラシが入ってたりして、なんか気味悪いんだよね」
「えぇっ、それって家まで知られてるってことだよね!?
かおりん、大丈夫なの?」
「うん……帰りにあとをつけられたり、誰かに見られたりっていうのは感じないし、直接的な被害はないけど憂鬱でさ。だから、家にいるより外に出た方がいいのかなーってこともあって、浩平たちとスノボ行くことにしたんだよね」
そうだったんだ……
先ほど、香織がスノボに行くことに対して後ろ暗い気持ちになっていた美羽は、申し訳なく思った。
「……お店のお客様かもしれないし、気をつけてね」
そう言いながらも、心のどこかで藤岡の妻に浮気が発覚して、香織が嫌がらせを受けているのではという思いもあった。ただの間違い電話や悪戯電話ならここまですることはないし、香織の自宅まで把握しているはずなどない。
だがそんなこと、香織に面と向かって言えなかった。香織だって藤岡と不倫関係にある以上、その可能性を考えているはずだ。そんな彼女の不安を煽るようなことはしたくない。
「うん、大丈夫。美羽、ごめんね心配かけて」
申し訳なさそうに眉を下げた香織に、美羽は大きく頭を振った。
「何言ってるの! なにかあったら、絶対に連絡してね!!」
「うん、分かった」
香織は美羽に笑顔で頷いた。
「あ、やっべ! 音消すの忘れてた!!」
慌てて浩平がスマホを取り、電話に出ると控え室を出て行った。浩平の背中を見送ってから、美羽は香織に向き直った。
「そういえば、かおりんにかかってきてた間違い電話、どうなったの?」
先ほどの香織の態度が気にかかっていたこともあり、美羽がそう尋ねると、ハァ……と香織は大きく息を吐いた。
「それがさ……今度は、変なメールが送られてくるようになったんだよね」
香織はエプロンのポケットからスマホを取り出してスクロールすると、画面を見せた。そこには、怪しげな出会い系サイトやアダルト系サイトの宣伝メールなんかが送られている。
「送り先がひとつだったらブロックすればそれで済むんだけど、色んなところから送られてくるからブロックしても意味なくて。しかも家のポストにまでこういう怪しいチラシが入ってたりして、なんか気味悪いんだよね」
「えぇっ、それって家まで知られてるってことだよね!?
かおりん、大丈夫なの?」
「うん……帰りにあとをつけられたり、誰かに見られたりっていうのは感じないし、直接的な被害はないけど憂鬱でさ。だから、家にいるより外に出た方がいいのかなーってこともあって、浩平たちとスノボ行くことにしたんだよね」
そうだったんだ……
先ほど、香織がスノボに行くことに対して後ろ暗い気持ちになっていた美羽は、申し訳なく思った。
「……お店のお客様かもしれないし、気をつけてね」
そう言いながらも、心のどこかで藤岡の妻に浮気が発覚して、香織が嫌がらせを受けているのではという思いもあった。ただの間違い電話や悪戯電話ならここまですることはないし、香織の自宅まで把握しているはずなどない。
だがそんなこと、香織に面と向かって言えなかった。香織だって藤岡と不倫関係にある以上、その可能性を考えているはずだ。そんな彼女の不安を煽るようなことはしたくない。
「うん、大丈夫。美羽、ごめんね心配かけて」
申し訳なさそうに眉を下げた香織に、美羽は大きく頭を振った。
「何言ってるの! なにかあったら、絶対に連絡してね!!」
「うん、分かった」
香織は美羽に笑顔で頷いた。
0
お気に入りに追加
224
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる