【R１８】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

１３５.謎の男

　明るめのプラチナアッシュにアシンメトリーの長めの髪を揺らし、黒のタートルネックに黒革のスキニーパンツにショートブーツを履いた男が個室から出てきた。バイオレットブラックのカラコンが入った瞳を出入口に向けてから、神経質に手を洗う。

　丁寧に水気をふき取ると、窮屈そうに入っているヒップポケットのスマホを取り出した。

　スライドして着信履歴から電話を掛ける。呼出音を聞く男の顔は陰鬱な雰囲気だったが、相手が出た気配を感じた途端、表情が一気に明るくなった。

「もしもしルイ様ですか？
　今、朝野義昭は黒田智之と会っています……

　えぇ。メッセージは既に送信しました。

　……はい、分かりました。では、次の作戦に参ります」

　男は通話の切れた画面を見下ろしてから、そっと薄い唇に寄せた。