【R１８】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

１３４.リョウからのメッセージ

　ルイは、大学の時に僕の想いに気づいていたが、応えることが出来ないから、その代わりに遠回しに姉である美羽を紹介したっていうこと、なのか？

　いや、それはないだろう。

　ルイにとって美羽は大切な姉というより、それ以上の存在だ。それどころか、恋心すら抱いているかもしれない。

　そんなルイが、僕に美羽を紹介して結婚させるなんてありえないだろう。

　分からない……分からない。分からない……

　ルイ、いったい何が目的なんだ。

　類に直接聞くことが、一番手っ取り早い方法だとは分かっている。だが、義昭にはそれが最も難しかった。

　見当違いな推理かもしれないし、何より類に嫌われたくない。

　まだジャージャーと勢いよく流れていた蛇口に気づき、捻って止めた。スラックスのヒップポケットからアイロンのきいたハンカチを取り出して丁寧に顔を拭くと、先ほどより幾分か気分が落ち着いた。

　だいぶ長居してしまった。
　トモに怪しまれないといいが……

　その時、胸元が振動し、義昭はサイドポケットからスマホを取り出した。

　誰だ？

　画面を見つめて、眉を顰める。知らない番号からのメッセージだった。

　恐る恐る開いてみる。

『ルイは姉の美羽と恋人だった。

　　　　　　　　　　　　　　リョウ』

　なに！？

　心臓がバクンと飛び出しそうな勢いで跳ね、手からスマホが滑り落ちそうになって慌てて掴み直した。

　な、なんだ……これは。

　一気に気持ち悪い汗が全身から吹き出してきて、動悸が激しくなる。

　類が美羽を好きだという疑問は確信に変わりつつあったが、良識があって大人しい美羽が類と恋人だったとは、信じがたい事実だった。

『リョウ』って、あのリョウなのか？
　どうしてこんなメッセージを送ってきたんだ？
　それより、どうやって僕の番号を知ったんだ！？

　これも……ルイの、差し金なのか！？
　それとも、リョウが僕を何かの罠に嵌めようと企んでいるのか！？　

　これを読ませて、いったい僕をどうしようという気だ！

　身を震わせていると扉から誰か出てくる気配を感じ、義昭は逃げるように男子トイレを出て行った。