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53.6年半後の未来を信じて
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華江が立ち上がった。
「嫌よ、嫌!!
私はこの子とは少しの間だって、もう一緒にいたくない!! お願いあなた、類を今すぐに私たちの目の届かないどこか遠くに連れて行って!!」
「華江、何を言うんだ。類は私たちの大切な子供だ。間違った道に進んだ子供を正しい道に導いてやるのも、私たち親の役目だろう」
間違った、道……
類との愛を両親に理解してもらおうとは思っていないが、一方的に間違っていると言われ、再び美羽の心が重く沈んだ。
「母さんが僕の顔を見たくないって言うんなら、僕たちが高校やめてふたりでどこか遠くで暮らせば一番それがいいんじゃないの?」
類は華江の自分たちに対する嫌悪感を逆手にとって、乗り出した。だが、宏典は厳しい顔で首を横に振った。
「だめだ。類、お前は社会の厳しさをまったく分かっていない。お前達はまだ俺たちの庇護下にあるんだ。高校を卒業して、ちゃんと大学まで出るんだ。
それに、これはふたりの思いが本物かどうかを確かめるための試練でもある。お前たちが本当に愛し合っているというのなら、6年半など、短いものだろう?」
6年半……それは、15歳の美羽にとってまるで永遠のように長い時間に感じた。
6年半も顔を合わせなければ、ふたりの関係はどうなってしまうのだろう。類は、心変わりしないだろうか。
それでも……
「分かりました。
6年半……類に会えなくても、耐えます」
「ミュー、何言ってるの!? こんなの嘘に決まってるじゃん! 僕たちを別れさせるための罠だよ!! 僕は絶対にミューから離れない!! ね、お願いだから僕とここを出ようよ!!」
悲痛な声を上げ、類が美羽の両腕を掴んで揺さぶる。美羽を見つめる漆黒の瞳が、大きく揺れていた。
美羽は胸を抉られるような痛みを感じつつ、悲愴な思いで類を見つめ返した。
類が好き、大好き。
愛してる……
だからこそ、言わなくちゃいけない。
「お願い、類。分かって……
これから一生類と一緒にいられる為の6年半だから、寂しくてもお互いがんばろう?
会えなくても私はずっと、類を大好きだから。類だって、そうでしょう?
未成年で高校生の私たちにとって……今は、こうするしかないの。
大人になったら、必ず一緒になろう?
だから、お願い……類……耐え、て……ッグ」
私だって、胸が引き裂かれるぐらいに辛いけど、類にもお父さんにもお母さんにも見捨てられたくない私には、これしか道はないんだ。
この先に、幸せなふたりの未来があると信じて……
「嫌よ、嫌!!
私はこの子とは少しの間だって、もう一緒にいたくない!! お願いあなた、類を今すぐに私たちの目の届かないどこか遠くに連れて行って!!」
「華江、何を言うんだ。類は私たちの大切な子供だ。間違った道に進んだ子供を正しい道に導いてやるのも、私たち親の役目だろう」
間違った、道……
類との愛を両親に理解してもらおうとは思っていないが、一方的に間違っていると言われ、再び美羽の心が重く沈んだ。
「母さんが僕の顔を見たくないって言うんなら、僕たちが高校やめてふたりでどこか遠くで暮らせば一番それがいいんじゃないの?」
類は華江の自分たちに対する嫌悪感を逆手にとって、乗り出した。だが、宏典は厳しい顔で首を横に振った。
「だめだ。類、お前は社会の厳しさをまったく分かっていない。お前達はまだ俺たちの庇護下にあるんだ。高校を卒業して、ちゃんと大学まで出るんだ。
それに、これはふたりの思いが本物かどうかを確かめるための試練でもある。お前たちが本当に愛し合っているというのなら、6年半など、短いものだろう?」
6年半……それは、15歳の美羽にとってまるで永遠のように長い時間に感じた。
6年半も顔を合わせなければ、ふたりの関係はどうなってしまうのだろう。類は、心変わりしないだろうか。
それでも……
「分かりました。
6年半……類に会えなくても、耐えます」
「ミュー、何言ってるの!? こんなの嘘に決まってるじゃん! 僕たちを別れさせるための罠だよ!! 僕は絶対にミューから離れない!! ね、お願いだから僕とここを出ようよ!!」
悲痛な声を上げ、類が美羽の両腕を掴んで揺さぶる。美羽を見つめる漆黒の瞳が、大きく揺れていた。
美羽は胸を抉られるような痛みを感じつつ、悲愴な思いで類を見つめ返した。
類が好き、大好き。
愛してる……
だからこそ、言わなくちゃいけない。
「お願い、類。分かって……
これから一生類と一緒にいられる為の6年半だから、寂しくてもお互いがんばろう?
会えなくても私はずっと、類を大好きだから。類だって、そうでしょう?
未成年で高校生の私たちにとって……今は、こうするしかないの。
大人になったら、必ず一緒になろう?
だから、お願い……類……耐え、て……ッグ」
私だって、胸が引き裂かれるぐらいに辛いけど、類にもお父さんにもお母さんにも見捨てられたくない私には、これしか道はないんだ。
この先に、幸せなふたりの未来があると信じて……
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