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30.あの日の過ちー2

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 美羽の肩に類の唇がちょうど当たり、以前との感覚の違いに戸惑いを覚える。

 類、また背が伸びた……中学の時に比べて、体格もどんどん男っぽくなってる。

 美羽の胸に過る心情は複雑だった。類が男らしくなっていくことが嬉しくも感じ、また自分と異なっていくことに寂しさも感じる。

 こんなに近くにいるのに、将来的には私たちは別々の道を歩むことになるのかな。お互いにそれぞれの相手を見つけ、結婚して、子供を産んで……

 想像、したくない。

 胸が締め付けられて、涙が込み上がりそうになる。

「ミュー……またなんか、変なこと考えてる?」

 類には隠しきれない。いつだって、考えを読まれてしまう。それは、自分たちが双子だからなのだろうか。けれど、美羽には類の考えを読むことは出来なかった。

 顔を上げた類の吐息がフッと耳にかかり、美羽は艶を帯びた声を出してしまった。

「ンフ……」
「誘ってるの?」

 エプロンが解かれて床に落ち、腰に回った手が背中をなぞり、制服のシャツがスカートから抜かれると類の細くて長い指が入り込む。

「ぁ、ダメ……類。まだ、終わってない……」

 後ろから前に回ってきた手を押さえるけれど、手ごと持ち上げられてしまう。力だってもう、美羽とは比べものにならないぐらい強くなっている。

「あとは煮込むだけでしょ」

 類の舌が美羽の耳殻に吐息をかけながらゆっくりとなぞり、ビクンと美羽の肩が震える。弱い箇所を知ってる類に抵抗なんて無駄だと分かっていながらも、美羽は必死に喉から声をあげた。

「ック……だって、サラダ作ってないし」
「いらない。それよりも今は、ミューが欲しい」

 有無を言わせない類の返事に、美羽の気持ちは萎えるどころか興奮してしまう。こんな風に征服されていくことに、いつしか悦びを覚えるようになっていた。

 類の長い腕が伸び、器用にガスコンロの火を最弱へと切り替えた。

 ピチャピチャと水音が鼓膜を濡らし、小動物のように震える美羽に「可愛い」と類が囁けば、もう堕ちてしまう。欲しくて、堪らなくなる。

「類ぃ……」
「分かってるよ、ミュー。ミューの欲しいもの、全部あげる」

 甘えるような美羽の声音に大きな猫目の黒曜石の類の瞳が細められ、首筋に軽くキスが落とされる。そんな柔い刺激でさえも甘い快感となって、胸がキュンと締め付けられる。

「お、願い……ベッドに、連れてって……」

 涙目で美羽は振り返って類に乞うものの、その願いが聞き入れられることはなかった。悪戯っぽくウィンクした類の指がセーラー服のシャツを胸の膨らみの上までグイッと捲り上げると、豊かな胸の膨らみに圧迫されてそこで止まり、真ん中の真っ赤なリボンの先が乳房の間に垂れ下がり、その下に隠れていた水色のレースのブラジャーが露わになる。

「ダメ。いつも出来ないことをしたいから」
「あ、セーラー服が皺になっちゃう……」
「もう1枚あるでしょ」

 類の人差し指がブラジャーをずり下ろし、右胸がプルンと晒され、続いて左胸も下ろされる。

「ゃ……類、恥ずか、しいよ……」

 慌てて手で隠そうとするものの、簡単に類の手に捕らえられた。

「ダーメ」
「これ、凄い恥ずかしいから……ねぇ、ブラジャー外させて?」

 ブラジャーをつけた状態で曝け出された胸は、酷く卑猥に見える。ホックに手を回そうと背中に伸びかけた手は、けれど類に阻まれてしまった。

「フフッ、ダメ。だって、ミューの恥ずかしがってる顔が見たいから」
「いじ、わる……」

 軽く睨みつけたところで、類は嬉しそうに笑みを浮かべるだけだ。そんな表情は美羽にしか見せないと分かっているからこそ、ドキドキしてしまう。
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