上 下
24 / 498

23.双子の繋がり

しおりを挟む
 冷蔵庫を開けると食材は殆ど入っておらず、スカスカだった。置かれているのは調味料と飲み物、そしてケーキとゼリーだけだ。いつも類はどんな食生活をしているのか、心配になってしまった。

「はい。これでいい?」
「うん、ありがとう」

 類は卵を割ると箸で掻き混ぜた。白く細い女性のような華奢な手が掻き混ぜるその動きが妙に淫らに感じてしまい、美羽は思わず目を反らした。

「私は何をすればいい?」
「じゃ、その棚に入ってる薄力粉とベーキングパウダー取って」
「うん」

 戸棚を開けると、二段目に薄力粉とベーキングパウダーが入っている。踵を上げて手を伸ばそうとしたけれど、届かない。すると、背後から類の手が伸びてきて、思わず手を引っ込めた美羽はバランスを崩して類の胸に倒れこんでしまった。

「ごめん。びっくりさせちゃった?」
「う、うん……」

 体勢を戻した美羽は、鼓動が速まっていることに気づかれたくなくて俯いた。

「ミューがこんなに小さいの、忘れてた。ハハッ」

 揶揄うように類が美羽の頭をポンポンと撫で、薄力粉とベーキングパウダーを棚から下ろす。

 小学生までは同じ身長だったのに、中学から少しずつ身長差が出てきて、類と離れ離れになった高1の時には10センチの差がついていた。けれど今は、それよりも随分類の身長は高くなっている。30センチ差近くはあるだろうか。小学生で身長が止まってしまった自分とは、随分差をつけられてしまった。

「踏み台があれば、自分で取れるのに……」

 子供扱いされたかのようで不満に思った美羽が口を尖らせると、類は優しく目を細めて笑みを見せた。



「無理しないで。来たんでしょ、あれ・・



 あれが生理のことを指していることに気づいた美羽は、顔を赤らめた。

「な、なんで……」
「だってミュー、さっき抱き締めた時に昨日と匂いが違ったから……それに、なんとなく分かるんだ。双子だから、かな」

 匂いが違う、だなんて……私、今、どんな匂いをしてるの? 
 凄く、恥ずかしい……

 羞恥心が更に高まる。なんでもない顔をしてそんなことを言ってくる類が、恨めしく思えてくる。義昭には一度だって、そんなことを言い当てられたこともなければ、生理だと告げたことで気遣われることもなかった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。

猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。 『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』 一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

社長の奴隷

星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)

処理中です...