2 / 498
2.記憶の中の愛しい人
しおりを挟む
カタンと扉が閉まる音を確認すると、美羽は寝室のサイドテーブルの引き出しを慎重に開けた。ジュエリーボックスが置かれたその奥にしまってあるものを取り出す。
小型の電気マッサージ器。もし義昭に見つかってしまっても、言い訳出来るようにと購入したものだった。
事が済んだ義昭は、決して美羽の寝室に戻ってくることはない。
そう分かっていても、鍵をかけていない状況に、不安と怖さが募っていく。けれど、そのスリルもまた、興奮の材料の一部となっていた。
中断されてしまった妄想の続きに思いを馳せる。
類の女性のような細くて白い指、滑らかな指遣い、ぴったりと吸い付き合う肌の感触を思い出すだけで、砂漠のように乾ききった井戸から泉のように愛蜜が溢れ出す。
『ミュー……僕の愛しいミュー。大好きだよ』
記憶の中の声が、呼び掛ける。
あぁ、類。好き……大好き……私を、愛して……
シーツの隙間から、掌に収まるぐらいの小さな玩具をするりと滑り込ませる。妄想の中ではいつだって、これは類の手となり指となる。
電源を押すと、緩く細かな振動が手に伝わってきた。
全身をゆっくり愛撫したい欲に駆られつつも、美羽は少し開いた脚の間へとそれを近づける。くぐもったブブブ……という音が花芽に当てられることにより、消えた。代わりに、「クッ……」と美羽の喉の奥が鳴る音が静かな部屋に落とされた。
確実に押し当てられ、一定に揺らされる振動。揺さぶられる衝動。波が、少しずつ押し寄せて高まってくる。そう、これは類の指遣い。
あぁ、ダメ……く、くる……あぁ、類……!!
脚が引き攣り、指の先まで緊張する。脳髄が熱くなり、真っ白に塗り潰されていく。
『フフッ……ミュー、いいよ。イって……』
「ッカハ!! ハァッ、ッックゥ……」
きつく噛み締めた歯の隙間から漏れる声。ビクビクと痙攣する花芽に当たる振動が、絶頂に達してもなお、更なる快感を引き寄せようと手招く。
だが、美羽は電源を押してスイッチを切り、躰を弛緩させた。
また……しちゃった。
絶頂の余韻にふんわりと包まれながらも、罪悪感が黒雲のように心を覆い尽くしていく。
どうして、私は……
突き上がってくる胸の衝動に耐えきれず、俯せになると枕に顔を埋めた。まだ美羽の花芽が、満たされない欲を求めてドクドクと蠢いていた。
小型の電気マッサージ器。もし義昭に見つかってしまっても、言い訳出来るようにと購入したものだった。
事が済んだ義昭は、決して美羽の寝室に戻ってくることはない。
そう分かっていても、鍵をかけていない状況に、不安と怖さが募っていく。けれど、そのスリルもまた、興奮の材料の一部となっていた。
中断されてしまった妄想の続きに思いを馳せる。
類の女性のような細くて白い指、滑らかな指遣い、ぴったりと吸い付き合う肌の感触を思い出すだけで、砂漠のように乾ききった井戸から泉のように愛蜜が溢れ出す。
『ミュー……僕の愛しいミュー。大好きだよ』
記憶の中の声が、呼び掛ける。
あぁ、類。好き……大好き……私を、愛して……
シーツの隙間から、掌に収まるぐらいの小さな玩具をするりと滑り込ませる。妄想の中ではいつだって、これは類の手となり指となる。
電源を押すと、緩く細かな振動が手に伝わってきた。
全身をゆっくり愛撫したい欲に駆られつつも、美羽は少し開いた脚の間へとそれを近づける。くぐもったブブブ……という音が花芽に当てられることにより、消えた。代わりに、「クッ……」と美羽の喉の奥が鳴る音が静かな部屋に落とされた。
確実に押し当てられ、一定に揺らされる振動。揺さぶられる衝動。波が、少しずつ押し寄せて高まってくる。そう、これは類の指遣い。
あぁ、ダメ……く、くる……あぁ、類……!!
脚が引き攣り、指の先まで緊張する。脳髄が熱くなり、真っ白に塗り潰されていく。
『フフッ……ミュー、いいよ。イって……』
「ッカハ!! ハァッ、ッックゥ……」
きつく噛み締めた歯の隙間から漏れる声。ビクビクと痙攣する花芽に当たる振動が、絶頂に達してもなお、更なる快感を引き寄せようと手招く。
だが、美羽は電源を押してスイッチを切り、躰を弛緩させた。
また……しちゃった。
絶頂の余韻にふんわりと包まれながらも、罪悪感が黒雲のように心を覆い尽くしていく。
どうして、私は……
突き上がってくる胸の衝動に耐えきれず、俯せになると枕に顔を埋めた。まだ美羽の花芽が、満たされない欲を求めてドクドクと蠢いていた。
0
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【R18】仲のいいバイト仲間だと思ってたら、いきなり襲われちゃいました!
奏音 美都
恋愛
ファミレスのバイト仲間の豪。
ノリがよくて、いい友達だと思ってたんだけど……いきなり、襲われちゃった。
ダメだって思うのに、なんで拒否れないのー!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪
奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」
「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」
AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。
そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。
でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ!
全員美味しくいただいちゃいまーす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる