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悪魔を召喚して邪魔なキャラを悪役令嬢に蹴落として、攻略キャラをゲットした結果……
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『ハナ……ハナ。目覚めるのです』
なに、この声は。
誰が、私を呼んでいるの……?
『ハナ、貴女は転生したのですよ』
転生? いったい、なんのこと……?
ゆっくりと目を開けると、私は白い世界の中にいた。
「ここ、は?」
目の前には、眩いばかりの女神が立っていた。
『貴女はこれから、乙女ゲームの世界に転生し、主人公のハナとなるのです』
私が、乙ゲーのヒロインに!?
転生前、私はかなり乙ゲーにハマり、ありとあらゆる乙ゲーに手を出していた。学園もの、プリンセスもの、戦国もの、アイドルもの、記憶消失もの、ファンタジーもの……
何をしててもゲームのことが頭から離れず、常にゲームを手にしてプレイしていた。その結果、ゲームしながら歩いててトラックにはねられ、死んだのだった。
そんな私が乙ゲーのヒロインになるなんて、夢みたい!! これまでの経験を生かして、今までにないほど面白く、そして確実に攻略キャラをおとしてみせるわ。
鼻息を荒くする私に、女神が転生先の情報を教えてくれた。
舞台は19世紀の英国ということになってるけど、そこはゲームの世界。なぜか貴族の子息令嬢が通える学園があり、そこに私は庶民からの特待生として入学する。そこで出会ったイケメン貴族たちと恋におちるという、よくある王道乙ゲーだ。
正直、その手のゲームは飽きるほどやりきったのよね。
続いて女神が攻略キャラを紹介する。王道のドS溺愛の俺様キャラ、甘やかしてくれるお兄さんキャラ、可愛く甘えてくる弟キャラ、真面目な優等生キャラ、悪ぶってるけどほんとは純情なヤンチャキャラ……
どれもこれも、やり尽くしててつまんない。
『あとは、見た目はいまいちだけれど、心優しいモブキャラのような素朴な青年キャラというのもあります』
女神に紹介され、指をパチンと鳴らす。
「それだわ!」
『けれど、この素朴な青年キャラであるアンソニーは主要キャラではないため、かなり難易度が高くなっています。彼には婚約者であるビアンカがいて、彼女を大切にしており、両親の政略によって婚約を結ばされているため、たとえアンソニーを落としたとしても、婚約破棄をさせるのは難しいのです』
それを聞き、余計に興味が湧いた。
いいじゃない、いいじゃない!
落とすのが難しければ難しいほど、ゲームは面白くなるってものだわ!
私の目の前に、女神がカードを3枚差し出した。
『これは、攻略キャラを落とすためのアイテムカードです。1枚だけ、貴女に差し上げましょう。
1枚目は、貴女の魅力度をアップするアイテムカードです。これによって、貴女がキャラを落とせる確率が上がります。
2枚目は、攻略キャラと会える確率を上げるアイテムカードです。攻略キャラと会う回数が多くなるほど、相手の好感度を上げるチャンスが訪れます。
3枚目は……』
女神は説明するのを躊躇った。
「3枚目は、なんなんですか!?」
『3枚目は……悪魔を召喚するアイテムカードです。これは、ネガティブな願いに対して使うことができます。
使い方によっては、恐ろしい結果を招くことになりますので、私はお勧めしません。これを選ぶのであれば、慎重に考えて使わなければなりません』
女神の言葉を聞き、興奮で胸が昂った。
悪魔召喚カード? 悪魔と恋に落ちるゲームならやったことあるけど、悪魔を召喚して邪魔なキャラを消すことができるなんて、聞いたことないわ!!
「3枚目の、悪魔召喚カードにするわ」
女神がビクッとし、私を見つめた。
『本気、なのですか?』
「えぇ、本気よ。この悪魔召喚カードを使って、モブキャラの婚約者を蹴落として、私が新たな婚約者となってみせるわ!」
『ハナ、モブキャラではなく、素朴青年キャラのアンソニーですよ』
「そんなの、どっちでもいいわ」
女神は不安そうな表情をしながらも、悪魔召喚アイテムカードを渡した。
『くれぐれも、使い方にはご注意くださいね……』
女神の姿が消えると同時に白い世界も消失し、私は乙ゲー世界と思われる、部屋の中にいた。
なに、この声は。
誰が、私を呼んでいるの……?
『ハナ、貴女は転生したのですよ』
転生? いったい、なんのこと……?
ゆっくりと目を開けると、私は白い世界の中にいた。
「ここ、は?」
目の前には、眩いばかりの女神が立っていた。
『貴女はこれから、乙女ゲームの世界に転生し、主人公のハナとなるのです』
私が、乙ゲーのヒロインに!?
転生前、私はかなり乙ゲーにハマり、ありとあらゆる乙ゲーに手を出していた。学園もの、プリンセスもの、戦国もの、アイドルもの、記憶消失もの、ファンタジーもの……
何をしててもゲームのことが頭から離れず、常にゲームを手にしてプレイしていた。その結果、ゲームしながら歩いててトラックにはねられ、死んだのだった。
そんな私が乙ゲーのヒロインになるなんて、夢みたい!! これまでの経験を生かして、今までにないほど面白く、そして確実に攻略キャラをおとしてみせるわ。
鼻息を荒くする私に、女神が転生先の情報を教えてくれた。
舞台は19世紀の英国ということになってるけど、そこはゲームの世界。なぜか貴族の子息令嬢が通える学園があり、そこに私は庶民からの特待生として入学する。そこで出会ったイケメン貴族たちと恋におちるという、よくある王道乙ゲーだ。
正直、その手のゲームは飽きるほどやりきったのよね。
続いて女神が攻略キャラを紹介する。王道のドS溺愛の俺様キャラ、甘やかしてくれるお兄さんキャラ、可愛く甘えてくる弟キャラ、真面目な優等生キャラ、悪ぶってるけどほんとは純情なヤンチャキャラ……
どれもこれも、やり尽くしててつまんない。
『あとは、見た目はいまいちだけれど、心優しいモブキャラのような素朴な青年キャラというのもあります』
女神に紹介され、指をパチンと鳴らす。
「それだわ!」
『けれど、この素朴な青年キャラであるアンソニーは主要キャラではないため、かなり難易度が高くなっています。彼には婚約者であるビアンカがいて、彼女を大切にしており、両親の政略によって婚約を結ばされているため、たとえアンソニーを落としたとしても、婚約破棄をさせるのは難しいのです』
それを聞き、余計に興味が湧いた。
いいじゃない、いいじゃない!
落とすのが難しければ難しいほど、ゲームは面白くなるってものだわ!
私の目の前に、女神がカードを3枚差し出した。
『これは、攻略キャラを落とすためのアイテムカードです。1枚だけ、貴女に差し上げましょう。
1枚目は、貴女の魅力度をアップするアイテムカードです。これによって、貴女がキャラを落とせる確率が上がります。
2枚目は、攻略キャラと会える確率を上げるアイテムカードです。攻略キャラと会う回数が多くなるほど、相手の好感度を上げるチャンスが訪れます。
3枚目は……』
女神は説明するのを躊躇った。
「3枚目は、なんなんですか!?」
『3枚目は……悪魔を召喚するアイテムカードです。これは、ネガティブな願いに対して使うことができます。
使い方によっては、恐ろしい結果を招くことになりますので、私はお勧めしません。これを選ぶのであれば、慎重に考えて使わなければなりません』
女神の言葉を聞き、興奮で胸が昂った。
悪魔召喚カード? 悪魔と恋に落ちるゲームならやったことあるけど、悪魔を召喚して邪魔なキャラを消すことができるなんて、聞いたことないわ!!
「3枚目の、悪魔召喚カードにするわ」
女神がビクッとし、私を見つめた。
『本気、なのですか?』
「えぇ、本気よ。この悪魔召喚カードを使って、モブキャラの婚約者を蹴落として、私が新たな婚約者となってみせるわ!」
『ハナ、モブキャラではなく、素朴青年キャラのアンソニーですよ』
「そんなの、どっちでもいいわ」
女神は不安そうな表情をしながらも、悪魔召喚アイテムカードを渡した。
『くれぐれも、使い方にはご注意くださいね……』
女神の姿が消えると同時に白い世界も消失し、私は乙ゲー世界と思われる、部屋の中にいた。
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