1 / 2
乙ゲーやったことない私が乙ゲー逆ハーの世界に飛ばされ、攻略キャラがイタいやつばっかだと気づいた件
しおりを挟む
信じられない、というか信じたくない話だが、どうやら私は乙女ゲームの世界に飛ばされ、その主人公になったらしい……
そう説明してくれたのは、このゲームで主人公を手助けしてくれるうさぎのぬいぐるみ、ぴょん吉だ。うさぎのぬいぐるみが喋った時点で、ここが普通の世界じゃないってことだけは、よーく分かった。
だけど……なんで私が乙ゲー(乙女ゲームのことを、そう呼ぶらしい)の世界に飛ばされちゃったわけ? 私、それまで一度もプレイしたことないし、なんの知識もないのに。
「乙ゲーの世界とはいえ、主人公のさやかは高校2年生で君と同じ名前、同じ学年だし、魔力も妖術もない普通の学校の設定だから、転校したと思って楽しんでくれればいいよ。家族構成は父、母、兄、弟で、両親は海外赴任中で不在だよ」
え、高校生の子供置いて普通に親、海外赴任するか!? 無責任じゃね?
「兄は涼真26歳、さやかの学校の保険医で、弟の爽真は1個下の15歳で同じ高校にの1年生だよ。両親の単身赴任を機に3人で引越して、今日から新しい街での生活が始まる設定なんだ」
いやいや、どんだけ狭い街に住んでんのよ。弟が同じ高校はまだしも、兄が同じ高校の保険医とか、奇跡でしかなくない?
あー、なんなの。困るんだけど、元の世界に戻ることもできないし、とにかくここでの生活を始めるしかないのだ。
「とにかく、明日の朝からゲームスタートだから、今夜はゆっくり休んで」
ゆっくり眠れるわけねー。
「ん……」
眠れないままずっと横になってたけど、いつのまにかウトウトして眠ってたみたい。
あれ……なんか、いつもと布団の感触が違う……そっか、私。乙ゲーの世界に飛ばされたんだった。
起き上がろうとしてもぞもぞ体を動かすと、何か別の感触が……
横になって目を開けた途端、私の目の前で超絶可愛い男の子がにっこりと微笑んだ。
「さやたん、おはよ♪ よく眠れたぁ?」
「ギャーッッ!!」
叫んでベッドから降りようとすると、飛びつかれた。
「えーっ、なんでさやたん逃げるのぉ!!」
すると、ドターンと扉が開けられた。
「爽真! お前、またさやかのベッドに入り込んだのか!?」
入ってきたのは、大人なイケメンの男性だった。良かった、この人はまともそう……
「さやかと一緒に寝ていいのは、俺だけだ!」
あ、こいつもイタい奴だった。
涼真に作ってもらった朝ごはんを食べ終え、3人で高校に向かう。
「あの、お兄ちゃんも今日が仕事初日でしょ。早く行かなくていいの?」
「何言ってんだ。悪い男にからかまれないようにさやかを守るのが、俺の役目だ」
「もうっ、涼にぃ! 僕がいるんだから大丈夫だってば! せっかくのさやたんとのふたりきりの時間、邪魔しないでよね」
こらこら、腕を組むな、腕を!!
学校初日、転校生ってことで先生に紹介された。
「花井さやかです。どうぞよろしくお願いします」
「花井さんは鈴川くんの隣に座って」
鈴川くんは茶髪にピアス、ブレザーを着崩してて、チャラいけど顔立ちが綺麗でモテそうだ。
「花井さやかちゃんかぁ、名前の通り可愛い人だね。フフッ、どうぞよろしくね」
さ、さぶっっ。いやいやリアルでそんなこと言う奴いねーし!!
鳥肌たったわ。
朝のホームルームが終わると、かなり遠くからクラスメートの男が呼びかけてくる。
「おい! おい、お前!!」
明らかに私を呼んでるのはわかるけど、いきなり「お前」呼ばわりされる覚えはない。無視してたら、ずんずんやってきて、おでこをデコピンされた。
「いたっ!!」
「おい、俺様が呼んだらすぐに返事しろ! 俺様はな、この学園の理事長の孫、西園寺恭介だ。この学園で俺様に逆らうと痛い目みるぜ」
は? 俺様って、いったい何様ですか!?
「バッカじゃないの! 『お前』なんて呼ばれて返事する気にならないし、俺様なんていうイタい奴と関わりたくないし、おじいちゃんの権力振りかざして偉そうにするなんて最低!」
「なっ……!」
男は明らかに動揺した後、なぜか赤面した。なんでだー!!
「お、お前みたいな奴は、初めてだ……お前、面白い女だな」
面白くねー。もう一度言うが、ぜんっぜん面白くねーわ。
なに、ドSかと見せかけてのドMなの? 罵倒してほしいわけ?
なんかもう、疲れた……
肩を落として廊下を歩いていたら、誰かとぶつかった。
「ぁ、すみません」
すると、氷よりも冷たい声が上から響いてきた。見上げると、眼鏡に髪をきっちりセットした厳しい顔つきのクールビューティーって感じの男子だった。
「すみませんで済むなら、警察はいらないだろう」
おいおいおい、またヤバイ奴にあたっちゃったよー。
「別に、ちょっとぶつかっただけでしょ。大袈裟だなー」
「なんだ、その口の利き方は。学校の風紀を乱すものは、この生徒会副会長である大和理一が許さない!
2年1組花井さやか、生徒会に入ることを言い渡す」
いやいやいや、意味わかんねーし!! てか、なんで私の名前知ってんのよ!!
「いやです」
「お前に断る権限などない」
嫌だと言ってるのに、生徒会室に連れて行かれた。
生徒会室に入ると、そこにいたのはうちはブレザーの制服にもかかわらず、全身黒ずくめの私服を身に纏った妖艶な雰囲気の男性だった。机に長い脚をかけ、流し目で私を見つめてくる。
「君か……全校生徒が憧れる生徒会メンバーに入るのを拒否した女は。実に、興味深い……
お前、生徒会長であるこの私、九条琴音の女にしてやろう」
もう、こんなイタいやつばっかの世界いやーーー!!
誰か、ここから連れ出してーー!!
そう説明してくれたのは、このゲームで主人公を手助けしてくれるうさぎのぬいぐるみ、ぴょん吉だ。うさぎのぬいぐるみが喋った時点で、ここが普通の世界じゃないってことだけは、よーく分かった。
だけど……なんで私が乙ゲー(乙女ゲームのことを、そう呼ぶらしい)の世界に飛ばされちゃったわけ? 私、それまで一度もプレイしたことないし、なんの知識もないのに。
「乙ゲーの世界とはいえ、主人公のさやかは高校2年生で君と同じ名前、同じ学年だし、魔力も妖術もない普通の学校の設定だから、転校したと思って楽しんでくれればいいよ。家族構成は父、母、兄、弟で、両親は海外赴任中で不在だよ」
え、高校生の子供置いて普通に親、海外赴任するか!? 無責任じゃね?
「兄は涼真26歳、さやかの学校の保険医で、弟の爽真は1個下の15歳で同じ高校にの1年生だよ。両親の単身赴任を機に3人で引越して、今日から新しい街での生活が始まる設定なんだ」
いやいや、どんだけ狭い街に住んでんのよ。弟が同じ高校はまだしも、兄が同じ高校の保険医とか、奇跡でしかなくない?
あー、なんなの。困るんだけど、元の世界に戻ることもできないし、とにかくここでの生活を始めるしかないのだ。
「とにかく、明日の朝からゲームスタートだから、今夜はゆっくり休んで」
ゆっくり眠れるわけねー。
「ん……」
眠れないままずっと横になってたけど、いつのまにかウトウトして眠ってたみたい。
あれ……なんか、いつもと布団の感触が違う……そっか、私。乙ゲーの世界に飛ばされたんだった。
起き上がろうとしてもぞもぞ体を動かすと、何か別の感触が……
横になって目を開けた途端、私の目の前で超絶可愛い男の子がにっこりと微笑んだ。
「さやたん、おはよ♪ よく眠れたぁ?」
「ギャーッッ!!」
叫んでベッドから降りようとすると、飛びつかれた。
「えーっ、なんでさやたん逃げるのぉ!!」
すると、ドターンと扉が開けられた。
「爽真! お前、またさやかのベッドに入り込んだのか!?」
入ってきたのは、大人なイケメンの男性だった。良かった、この人はまともそう……
「さやかと一緒に寝ていいのは、俺だけだ!」
あ、こいつもイタい奴だった。
涼真に作ってもらった朝ごはんを食べ終え、3人で高校に向かう。
「あの、お兄ちゃんも今日が仕事初日でしょ。早く行かなくていいの?」
「何言ってんだ。悪い男にからかまれないようにさやかを守るのが、俺の役目だ」
「もうっ、涼にぃ! 僕がいるんだから大丈夫だってば! せっかくのさやたんとのふたりきりの時間、邪魔しないでよね」
こらこら、腕を組むな、腕を!!
学校初日、転校生ってことで先生に紹介された。
「花井さやかです。どうぞよろしくお願いします」
「花井さんは鈴川くんの隣に座って」
鈴川くんは茶髪にピアス、ブレザーを着崩してて、チャラいけど顔立ちが綺麗でモテそうだ。
「花井さやかちゃんかぁ、名前の通り可愛い人だね。フフッ、どうぞよろしくね」
さ、さぶっっ。いやいやリアルでそんなこと言う奴いねーし!!
鳥肌たったわ。
朝のホームルームが終わると、かなり遠くからクラスメートの男が呼びかけてくる。
「おい! おい、お前!!」
明らかに私を呼んでるのはわかるけど、いきなり「お前」呼ばわりされる覚えはない。無視してたら、ずんずんやってきて、おでこをデコピンされた。
「いたっ!!」
「おい、俺様が呼んだらすぐに返事しろ! 俺様はな、この学園の理事長の孫、西園寺恭介だ。この学園で俺様に逆らうと痛い目みるぜ」
は? 俺様って、いったい何様ですか!?
「バッカじゃないの! 『お前』なんて呼ばれて返事する気にならないし、俺様なんていうイタい奴と関わりたくないし、おじいちゃんの権力振りかざして偉そうにするなんて最低!」
「なっ……!」
男は明らかに動揺した後、なぜか赤面した。なんでだー!!
「お、お前みたいな奴は、初めてだ……お前、面白い女だな」
面白くねー。もう一度言うが、ぜんっぜん面白くねーわ。
なに、ドSかと見せかけてのドMなの? 罵倒してほしいわけ?
なんかもう、疲れた……
肩を落として廊下を歩いていたら、誰かとぶつかった。
「ぁ、すみません」
すると、氷よりも冷たい声が上から響いてきた。見上げると、眼鏡に髪をきっちりセットした厳しい顔つきのクールビューティーって感じの男子だった。
「すみませんで済むなら、警察はいらないだろう」
おいおいおい、またヤバイ奴にあたっちゃったよー。
「別に、ちょっとぶつかっただけでしょ。大袈裟だなー」
「なんだ、その口の利き方は。学校の風紀を乱すものは、この生徒会副会長である大和理一が許さない!
2年1組花井さやか、生徒会に入ることを言い渡す」
いやいやいや、意味わかんねーし!! てか、なんで私の名前知ってんのよ!!
「いやです」
「お前に断る権限などない」
嫌だと言ってるのに、生徒会室に連れて行かれた。
生徒会室に入ると、そこにいたのはうちはブレザーの制服にもかかわらず、全身黒ずくめの私服を身に纏った妖艶な雰囲気の男性だった。机に長い脚をかけ、流し目で私を見つめてくる。
「君か……全校生徒が憧れる生徒会メンバーに入るのを拒否した女は。実に、興味深い……
お前、生徒会長であるこの私、九条琴音の女にしてやろう」
もう、こんなイタいやつばっかの世界いやーーー!!
誰か、ここから連れ出してーー!!
1
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

乙ゲーのメイドとなって落胆してた腐女子の私ですが、推しカプの登場により毎日ハッピーに過ごせます!
奏音 美都
恋愛
転生した先が乙ゲーだったんだが、乙ゲーなんて興味ないし、女が男に群がる逆ハーなんて、面白くもなんともない。
わ、わしは男と男の絡みが見たいんやーーっっ!!
BがLする世界、カモーーンヌ!!
そう心で叫んでみても、視界に映るのは私がメイドを勤めてる先の坊っちゃん、ウィリアード子爵子息であるトレアーノ様と婚約者であるジョセフィーヌ様の仲睦まじいお姿。
チッ。面白くもなんともねー。
そんなある日、療養先からウィリアード子爵の二番目のお坊っちゃまが帰られて……私の生活が一変しそう!!

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?

女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪
奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」
「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」
AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。
そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。
でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ!
全員美味しくいただいちゃいまーす。



美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる