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愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

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 アンジェリーナと共に朝食の席につき、食事をしながらいつものように宰相であるジルベールが今日のスケジュールの確認をする。

 ジルベールはアンジェリーナが生まれる前から前国王に仕えているため、結構な年齢のはずだが、まるで歳を取らず、ずっと容姿が変わらない。長い髪を後ろでひとつに纏め、女性と見紛うばかりの中世的な顔立ち、溢れんばかりの色香が漂っている。にも関わらず、騎士隊長のアデラールでさえ負かしてしまうほどの剣術の持ち主。一方で、賢いうえに戦術にも優れており、政治的な能力にも長けている。人々は影でジルベールのことを、魔力があるのではと噂するほどだった。

「国内外の王族、貴族からたくさんの贈り物が届いておりますが、どうされますか」

 アンジェリーナがそれに答える。

「全ての贈り物に目を通させて下さい、礼状を書きたいので」
「ですが、全ての贈り物に対して手書きで礼状を書くとなると、大変時間がかかりますが。こちらで形式を用意致しますので、署名だけされてはいかがですか」

 ジルベールの提案に、アンジェリーナは一考してから毅然と答えた。

「いえ、やはり全ての礼状を書かせて下さい。せっかく誕生日のお祝いに頂いたものですから」

 ふたりのやりとりを見て、ルノーは微笑んだ。

 普通は贈り物をもらって礼状を出すといっても本人は署名のみ、ひどい時には署名すら下の者に任せることだってあるのに……

 そんなアンジェリーナの律儀で他人を思い遣る優しさに触れ、ますます彼女への愛情が高まっていく。

 君を知るたび……俺はどんどん君の魅力に嵌っていく。

「俺も手伝うよ」

 ルノーがアンジェリーナに言うと、慌てたように両手を振った。

「えっ! ルノーは国王としての仕事と公爵の仕事で毎日忙しいでしょ、そんなこと頼めないよ」

 つい先日、戴冠式をもって国王となったルノーだったが、ソノワール公爵としての仕事も兼任している状態であり、多忙な日々を過ごしていた。早く自分の領地を引き継がせたいが、誰でもいいというわけにはいかない。今まで自分を信頼し、支えてくれた領民を安心して任せられる臣下でなければと思うと、なかなか簡単にはいかなかった。

 だが、今日はアンジェリーナの誕生日だ。この特別な日を、少しでも長く一緒に過ごしたかった。

「俺が、少しでもアンジェと過ごす時間が欲しいんだ」

 ルノーがそう答えると、アンジェリーナが少し困ったように、でも嬉しさを隠すように俯きながら言った。

「うん、分かった……でも、無理はしないでね」

 そこへジルベールが来て、美しく包装された箱をアンジェリーナに渡した。

「プリンセス、これは私からの誕生日プレゼントですよ」

 アンジェリーナが王女だった頃には彼女の教育係として仕えていたジルベールは、未だに彼女のことを『プリンセス』と呼んでおり、それがルノーには面白くなかった。

 ジルベールからプレゼントをもらえると思っていなかったアンジェリーナは、驚きながらも喜びで声を弾ませた。

「ジル、ありがとうございます」
「どうぞ、開けてみて下さい」
「えっ、いいんですか? じゃあ……」

 アンジェリーナが包装紙を丁寧に剥がし、箱を開けると、そこには美しい刺繍がほどこされ、ビーズと宝石の散りばめられたコルセットがあらわれた。

 ハッと顔を引き攣らせるルノー、そして隣には顔を赤らめるアンジェリーナの姿があった。

「最近、プリンセスの胸の辺りが窮屈そうなので、コルセットがあっていないのではないかと思って、手配致しました。私はプリンセスの教育係でしたから、プリンセスの少しの変化にも気づくのは当然のことですよ」

 ジルベールが、優美な笑顔で説明する。その笑顔には、どこかルノーに対して挑発を感じた。

 ジル……俺のアンジェのどこを見てるんだ。

「そ、そうですか……」

 恥ずかしそうに俯いて答えるアンジェリーナに愛しさを募らせるものの、他の男が選んだ下着など当然着せるつもりなどない。

 アンジェには、絶対にあのコルセットはつけさせない……

 ひっそりと誓うルノーであった。
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