4 / 20
愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる
4
しおりを挟む
アンジェリーナと共に朝食の席につき、食事をしながらいつものように宰相であるジルベールが今日のスケジュールの確認をする。
ジルベールはアンジェリーナが生まれる前から前国王に仕えているため、結構な年齢のはずだが、まるで歳を取らず、ずっと容姿が変わらない。長い髪を後ろでひとつに纏め、女性と見紛うばかりの中世的な顔立ち、溢れんばかりの色香が漂っている。にも関わらず、騎士隊長のアデラールでさえ負かしてしまうほどの剣術の持ち主。一方で、賢いうえに戦術にも優れており、政治的な能力にも長けている。人々は影でジルベールのことを、魔力があるのではと噂するほどだった。
「国内外の王族、貴族からたくさんの贈り物が届いておりますが、どうされますか」
アンジェリーナがそれに答える。
「全ての贈り物に目を通させて下さい、礼状を書きたいので」
「ですが、全ての贈り物に対して手書きで礼状を書くとなると、大変時間がかかりますが。こちらで形式を用意致しますので、署名だけされてはいかがですか」
ジルベールの提案に、アンジェリーナは一考してから毅然と答えた。
「いえ、やはり全ての礼状を書かせて下さい。せっかく誕生日のお祝いに頂いたものですから」
ふたりのやりとりを見て、ルノーは微笑んだ。
普通は贈り物をもらって礼状を出すといっても本人は署名のみ、ひどい時には署名すら下の者に任せることだってあるのに……
そんなアンジェリーナの律儀で他人を思い遣る優しさに触れ、ますます彼女への愛情が高まっていく。
君を知るたび……俺はどんどん君の魅力に嵌っていく。
「俺も手伝うよ」
ルノーがアンジェリーナに言うと、慌てたように両手を振った。
「えっ! ルノーは国王としての仕事と公爵の仕事で毎日忙しいでしょ、そんなこと頼めないよ」
つい先日、戴冠式をもって国王となったルノーだったが、ソノワール公爵としての仕事も兼任している状態であり、多忙な日々を過ごしていた。早く自分の領地を引き継がせたいが、誰でもいいというわけにはいかない。今まで自分を信頼し、支えてくれた領民を安心して任せられる臣下でなければと思うと、なかなか簡単にはいかなかった。
だが、今日はアンジェリーナの誕生日だ。この特別な日を、少しでも長く一緒に過ごしたかった。
「俺が、少しでもアンジェと過ごす時間が欲しいんだ」
ルノーがそう答えると、アンジェリーナが少し困ったように、でも嬉しさを隠すように俯きながら言った。
「うん、分かった……でも、無理はしないでね」
そこへジルベールが来て、美しく包装された箱をアンジェリーナに渡した。
「プリンセス、これは私からの誕生日プレゼントですよ」
アンジェリーナが王女だった頃には彼女の教育係として仕えていたジルベールは、未だに彼女のことを『プリンセス』と呼んでおり、それがルノーには面白くなかった。
ジルベールからプレゼントをもらえると思っていなかったアンジェリーナは、驚きながらも喜びで声を弾ませた。
「ジル、ありがとうございます」
「どうぞ、開けてみて下さい」
「えっ、いいんですか? じゃあ……」
アンジェリーナが包装紙を丁寧に剥がし、箱を開けると、そこには美しい刺繍がほどこされ、ビーズと宝石の散りばめられたコルセットがあらわれた。
ハッと顔を引き攣らせるルノー、そして隣には顔を赤らめるアンジェリーナの姿があった。
「最近、プリンセスの胸の辺りが窮屈そうなので、コルセットがあっていないのではないかと思って、手配致しました。私はプリンセスの教育係でしたから、プリンセスの少しの変化にも気づくのは当然のことですよ」
ジルベールが、優美な笑顔で説明する。その笑顔には、どこかルノーに対して挑発を感じた。
ジル……俺のアンジェのどこを見てるんだ。
「そ、そうですか……」
恥ずかしそうに俯いて答えるアンジェリーナに愛しさを募らせるものの、他の男が選んだ下着など当然着せるつもりなどない。
アンジェには、絶対にあのコルセットはつけさせない……
ひっそりと誓うルノーであった。
ジルベールはアンジェリーナが生まれる前から前国王に仕えているため、結構な年齢のはずだが、まるで歳を取らず、ずっと容姿が変わらない。長い髪を後ろでひとつに纏め、女性と見紛うばかりの中世的な顔立ち、溢れんばかりの色香が漂っている。にも関わらず、騎士隊長のアデラールでさえ負かしてしまうほどの剣術の持ち主。一方で、賢いうえに戦術にも優れており、政治的な能力にも長けている。人々は影でジルベールのことを、魔力があるのではと噂するほどだった。
「国内外の王族、貴族からたくさんの贈り物が届いておりますが、どうされますか」
アンジェリーナがそれに答える。
「全ての贈り物に目を通させて下さい、礼状を書きたいので」
「ですが、全ての贈り物に対して手書きで礼状を書くとなると、大変時間がかかりますが。こちらで形式を用意致しますので、署名だけされてはいかがですか」
ジルベールの提案に、アンジェリーナは一考してから毅然と答えた。
「いえ、やはり全ての礼状を書かせて下さい。せっかく誕生日のお祝いに頂いたものですから」
ふたりのやりとりを見て、ルノーは微笑んだ。
普通は贈り物をもらって礼状を出すといっても本人は署名のみ、ひどい時には署名すら下の者に任せることだってあるのに……
そんなアンジェリーナの律儀で他人を思い遣る優しさに触れ、ますます彼女への愛情が高まっていく。
君を知るたび……俺はどんどん君の魅力に嵌っていく。
「俺も手伝うよ」
ルノーがアンジェリーナに言うと、慌てたように両手を振った。
「えっ! ルノーは国王としての仕事と公爵の仕事で毎日忙しいでしょ、そんなこと頼めないよ」
つい先日、戴冠式をもって国王となったルノーだったが、ソノワール公爵としての仕事も兼任している状態であり、多忙な日々を過ごしていた。早く自分の領地を引き継がせたいが、誰でもいいというわけにはいかない。今まで自分を信頼し、支えてくれた領民を安心して任せられる臣下でなければと思うと、なかなか簡単にはいかなかった。
だが、今日はアンジェリーナの誕生日だ。この特別な日を、少しでも長く一緒に過ごしたかった。
「俺が、少しでもアンジェと過ごす時間が欲しいんだ」
ルノーがそう答えると、アンジェリーナが少し困ったように、でも嬉しさを隠すように俯きながら言った。
「うん、分かった……でも、無理はしないでね」
そこへジルベールが来て、美しく包装された箱をアンジェリーナに渡した。
「プリンセス、これは私からの誕生日プレゼントですよ」
アンジェリーナが王女だった頃には彼女の教育係として仕えていたジルベールは、未だに彼女のことを『プリンセス』と呼んでおり、それがルノーには面白くなかった。
ジルベールからプレゼントをもらえると思っていなかったアンジェリーナは、驚きながらも喜びで声を弾ませた。
「ジル、ありがとうございます」
「どうぞ、開けてみて下さい」
「えっ、いいんですか? じゃあ……」
アンジェリーナが包装紙を丁寧に剥がし、箱を開けると、そこには美しい刺繍がほどこされ、ビーズと宝石の散りばめられたコルセットがあらわれた。
ハッと顔を引き攣らせるルノー、そして隣には顔を赤らめるアンジェリーナの姿があった。
「最近、プリンセスの胸の辺りが窮屈そうなので、コルセットがあっていないのではないかと思って、手配致しました。私はプリンセスの教育係でしたから、プリンセスの少しの変化にも気づくのは当然のことですよ」
ジルベールが、優美な笑顔で説明する。その笑顔には、どこかルノーに対して挑発を感じた。
ジル……俺のアンジェのどこを見てるんだ。
「そ、そうですか……」
恥ずかしそうに俯いて答えるアンジェリーナに愛しさを募らせるものの、他の男が選んだ下着など当然着せるつもりなどない。
アンジェには、絶対にあのコルセットはつけさせない……
ひっそりと誓うルノーであった。
0
お気に入りに追加
167
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
隠れ御曹司の愛に絡めとられて
海棠桔梗
恋愛
目が覚めたら、名前が何だったかさっぱり覚えていない男とベッドを共にしていた――
彼氏に浮気されて更になぜか自分の方が振られて「もう男なんていらない!」って思ってた矢先、強引に参加させられた合コンで出会った、やたら綺麗な顔の男。
古い雑居ビルの一室に住んでるくせに、持ってる腕時計は超高級品。
仕事は飲食店勤務――って、もしかしてホスト!?
チャラい男はお断り!
けれども彼の作る料理はどれも絶品で……
超大手商社 秘書課勤務
野村 亜矢(のむら あや)
29歳
特技:迷子
×
飲食店勤務(ホスト?)
名も知らぬ男
24歳
特技:家事?
「方向音痴・家事音痴の女」は「チャラいけれど家事は完璧な男」の愛に絡め取られて
もう逃げられない――
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
イケメンエリート軍団の籠の中
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
唯一の女子、受付兼秘書係が定年退職となり
女子社員募集要項がネットを賑わした
1名の採用に300人以上が殺到する
松村舞衣(24歳)
友達につき合って応募しただけなのに
何故かその超難関を突破する
凪さん、映司さん、謙人さん、
トオルさん、ジャスティン
イケメンでエリートで華麗なる超一流の人々
でも、なんか、なんだか、息苦しい~~
イケメンエリート軍団の鳥かごの中に
私、飼われてしまったみたい…
「俺がお前に極上の恋愛を教えてやる
他の奴とか? そんなの無視すればいいんだよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる