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甘い時間

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 リアムの部屋の扉が開けられ、その真正面にあるキングサイズ程の大きなベッドの上にふわりと横たえられて重みで羽毛が深く沈み込み、柔らかく包み込まれる。

 あぁ、気持ちいい……さっきまで寂れたお酒臭いバーにいたから、余計に心地よく感じる。

 肌に触れる感触と清潔なシーツの匂いを思う存分味わっていると、リアムの躰がジュリアンを跨ぐ。その気配に振り向いたジュリアンは、野性的なリアムの瞳に射抜かれた。

「ッッ……」

 安らぎを感じて落ち着きかけたジュリアンの鼓動が、再び速められた。

「なに、のんびりした顔してんだ、プリンス。朝まで寝かせないっつったろ。覚悟しろ」

 意地悪な言葉とは裏腹に、優しく脱がされていく。

「さっきは焦って強引になっちまったが、お前のお望み通り優しく愛してやる……」

 先程は情熱的にジュリアンを掻き抱いたのに、今は羽で触れるような柔らかさをもって、甘い疼きを齎しながら、リアムの大きな手がジュリアンの白い柔肌を暴いていく。

「フゥッ……」

 どんな触れ方をされても感じてしまう。
 リアム、だから……リアムに触れられているだけで、僕の肌は座喚いてしまう……

「ジュリ、綺麗だ……」

 高く昇った三日月の光が窓から銀色の矢のように、ジュリアンの躰に射し込む。その光の下、ジュリアンは愛しい人に生まれたままの肌を晒していた。リアムの熱情の籠もった瞳に見つめられ、ジュリアンの躰が燃えるように熱くなる。

「お願い……リアムも、見せ、て……」

 貴方の生まれたままの、何も飾らないその姿を、僕に、晒して……

「あぁ」

 リアムが、ジュリアンに応えて頷いた。

 リアムはジュリアンの躰を大きく跨いだまま、その筋肉質な上半身を見せつけた。くっきりと割れたその筋肉の線が月明かりで光と影をくっきりと映し出し、まるで彫像のように浮き上がって見えた。

 綺麗……精悍なリアムの顔付きにこそ似合う、その男らしい躰つき。

 この逞しい胸にこれから抱かれるのだと思うだけで、ジュリアンはじっとり濡れていくような気分に陥った。

 リアムは躊躇うことなくボトムも脱ぎ捨て、一糸纏わぬ美しい裸体を晒す。彼の中心で滾るほどの熱を持ち、臍につくほど反り返った太い雄の杭が、ジュリアンへの欲情を主張する。無意識にジュリアンの喉が鳴り、欲を伴った蜜を飲み下す。

 先程まで人気がなく、冷んやりとした無機質だった空気が今は、熱く、甘く、息苦しい程の濃厚さをもって、ジュリアンに覆い被さってくる。

「ハァ……」

 思わず吐息を漏らすと、その吐息を掬い取るように唇の端から口づけをされる。

「んぅっ……」
「ジュリ……」

 愛しい人に名前を呼ばれながら熱い吐息を吹きかけられ、胸が苦しい程の切なさで満たされ、涙が込み上げる。

「思い知らせてやる。どんだけお前が、俺に愛されてるか……」

 その言葉と共に、口づけが躰中に降り注ぐ。

「ッハァ……リアムぅっっ!」

 チュッ、チュッ……というリップ音が、静寂を破って淫らに掻き乱す。キュンキュンとした疼きは何度も重ねられていく口づけに煽られてジンジンとした疼きへと変化し、痛いぐらいの欲を発している。

 優しく、労るような甘い口づけなのに……感じる。激しく、燃え上がるほどの、リアムの欲情を。
 額に、頬に、うなじに……その唇を感じるだけで。

 だ、めだ……

 ピクピクとジュリアンの猛りが戦慄き、快楽への階段を駆け足で駆け上っていく。手の甲に甘やかな感触がして、微睡んだように瞳が重くなる。

 すると、

「っはぁんっ!!」

 指を一本ずつ、指の間までも丁寧に舐められて、ゾクゾクとした震えが背中を走り、躰全体を引き上げる程の快感に囚われる。

「お前の全てを愛してやる」

 再び、全身を口づけの嵐が襲う。

「っは、ハァ……や、やぁ……んんふっ……」

 弄られていないジュリアンの男塊は滾るほどの欲情に赤みがかかり、卑猥な欲の絡みついた蜜がねっとりと吐き出されていく。
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