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甘い時間
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俯き、無言のジュリアンにリアムが振り向いた。
「おい。誰がお前を帰すって言った?」
その声にジュリアンが顔を上げると同時に、リアムに強く手首を引き寄せられる。ボフッという音ともに、逞しい胸に抱き締められた。
突然の行為に、またジュリアンの胸がドキドキと煩く鼓動を速める。
リアムが耳元で甘く囁いた。
「お前が嫌だって言っても帰すつもりねぇから。ジュリが全然足りねぇ……朝まで、俺といろ」
「リアム……」
ジュリアンは顔を上げ、リアムを見つめて微笑んだ。
「ほら、もたもたすんな。行くぞ」
リアムが差し出した手に自分の手を重ねると、彼の温かい体温と想いが掌を通して伝わってきた気がした。
酒場の裏には、黒くて艶のある立派な馬が一頭、柵に繋がれていた。
馬はリアムを認めると、嬉しそうに嘶いた。そんな馬の様子にリアムも優しい笑みを浮かべ、たてがみを撫でた。
慣れた様子で、リアムが馬にひらりと飛び乗る。
普段はがさつなのに、こういう所がカッコイイんだから、ズルいよリアムは。
だが、悔しいので口に出すことはしなかった。
ジュリアンは馬を撫でてから、足を鎧にかけて馬に乗ろうとしたが、既にリアムの足がそこにはある。
「来いよ」
リアムが上から手を伸ばした。
ジュリアンが手を伸ばすとリアムが力強く引き上げ、ジュリアンは馬の背に跨がった。
え。僕、前に乗るの? 女性みたいで恥ずかしいなぁ……
「振り落とされんなよ、プリンス」
リアムのからかうような声音に、ついムキになってしまう。
「これでも騎士団長にみっちり乗馬のレッスンつけてもらってるんだから、大丈夫だよ」
すると、それを聞いてリアムの動きが止まった。
「俺の前で、他の男の話とかすんじゃねぇ」
あ、あれ? もしかして……ヤキモチ、なのかな。
いつも余裕のあるリアムからそんな言葉を聞いて、嬉しくなってジュリアンが頬を緩ませていると、リアムがほっぺをムニと摘んだ。
「いたっ!」
「ニヤけてると、ほんとに振り落とされんぞ」
リアムはそう言うと、馬の腹を軽く蹴って合図し、馬が走り出した。
リアムは、真っ暗な道でも迷いなく馬を進めていた。夜風が頬に当たり、酔いと興奮で火照っていた躰を気持ちよく冷やしていく。
はず、なのに……
ジュリアンの背中にぴったりと密着したリアムの逞しい胸板と両脇からしっかりと支えてくれる筋肉質な腕の感触に、ジュリアンの熱は冷めるどころか、逆にどんどん高められていった。馬の背が上下に激しく揺れ、ぴったりと密着するリアムの逞しいモノがジュリアンの双丘の中心を上下に擦り上げる。
熱、い……
リアムの逞しい熱に躰の疼きを感じて俯いたジュリアンの顎をリアムがくいっと掴み、後ろに振り向かせると素早く口づけた。
「なっ!!」
突然の口づけに驚いて声を上げるジュリアン。
「あともう少しだ。それまで、これで我慢しとけ」
そう言ってニヤリと笑うリアムに、ジュリアンの全身が熱くなる。
「ちょっ!!」
な、に、それっ……もう……恥ずかしすぎて、リアムの顔が見られないよ……
リアムの悪戯に翻弄され、焦らされて……羞恥を感じながらも、この後の秘事を想い、期待に胸を高鳴らせる自分がいた。
「おい。誰がお前を帰すって言った?」
その声にジュリアンが顔を上げると同時に、リアムに強く手首を引き寄せられる。ボフッという音ともに、逞しい胸に抱き締められた。
突然の行為に、またジュリアンの胸がドキドキと煩く鼓動を速める。
リアムが耳元で甘く囁いた。
「お前が嫌だって言っても帰すつもりねぇから。ジュリが全然足りねぇ……朝まで、俺といろ」
「リアム……」
ジュリアンは顔を上げ、リアムを見つめて微笑んだ。
「ほら、もたもたすんな。行くぞ」
リアムが差し出した手に自分の手を重ねると、彼の温かい体温と想いが掌を通して伝わってきた気がした。
酒場の裏には、黒くて艶のある立派な馬が一頭、柵に繋がれていた。
馬はリアムを認めると、嬉しそうに嘶いた。そんな馬の様子にリアムも優しい笑みを浮かべ、たてがみを撫でた。
慣れた様子で、リアムが馬にひらりと飛び乗る。
普段はがさつなのに、こういう所がカッコイイんだから、ズルいよリアムは。
だが、悔しいので口に出すことはしなかった。
ジュリアンは馬を撫でてから、足を鎧にかけて馬に乗ろうとしたが、既にリアムの足がそこにはある。
「来いよ」
リアムが上から手を伸ばした。
ジュリアンが手を伸ばすとリアムが力強く引き上げ、ジュリアンは馬の背に跨がった。
え。僕、前に乗るの? 女性みたいで恥ずかしいなぁ……
「振り落とされんなよ、プリンス」
リアムのからかうような声音に、ついムキになってしまう。
「これでも騎士団長にみっちり乗馬のレッスンつけてもらってるんだから、大丈夫だよ」
すると、それを聞いてリアムの動きが止まった。
「俺の前で、他の男の話とかすんじゃねぇ」
あ、あれ? もしかして……ヤキモチ、なのかな。
いつも余裕のあるリアムからそんな言葉を聞いて、嬉しくなってジュリアンが頬を緩ませていると、リアムがほっぺをムニと摘んだ。
「いたっ!」
「ニヤけてると、ほんとに振り落とされんぞ」
リアムはそう言うと、馬の腹を軽く蹴って合図し、馬が走り出した。
リアムは、真っ暗な道でも迷いなく馬を進めていた。夜風が頬に当たり、酔いと興奮で火照っていた躰を気持ちよく冷やしていく。
はず、なのに……
ジュリアンの背中にぴったりと密着したリアムの逞しい胸板と両脇からしっかりと支えてくれる筋肉質な腕の感触に、ジュリアンの熱は冷めるどころか、逆にどんどん高められていった。馬の背が上下に激しく揺れ、ぴったりと密着するリアムの逞しいモノがジュリアンの双丘の中心を上下に擦り上げる。
熱、い……
リアムの逞しい熱に躰の疼きを感じて俯いたジュリアンの顎をリアムがくいっと掴み、後ろに振り向かせると素早く口づけた。
「なっ!!」
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「あともう少しだ。それまで、これで我慢しとけ」
そう言ってニヤリと笑うリアムに、ジュリアンの全身が熱くなる。
「ちょっ!!」
な、に、それっ……もう……恥ずかしすぎて、リアムの顔が見られないよ……
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