【Ｒ18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪

人気AV嬢だった私が乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪

８

　翌日の授業後、お願い通り先生が藤川くんに命令してくれた。

「藤川ぁ、ちょっと姫野の勉強見てやってくれんかぁ」
「なぜ僕が？　お断りします」
　
　さっすが藤川きゅん。ズバッと言いよるわー。そういうとこ、ドM心にキュンキュン突き刺さるわぁ。

「まぁ、そう言わずに。今週は生徒会活動もないだろ？」
「試験勉強がありますので」
「姫野に試験勉強教えれば、お前も勉強になってウィンウィンじゃないか」

　ちょっ。それ、昨日私が言ったセリフー！！

　思わずバシッと突っ込みいれたくなったけど、グッと堪えて影から見守る。

「僕にとってなんの得も感じません。失礼します」

　立ち去ろうとする藤川くんの腕を先生が掴む。

「ま、待て！
　お前、生徒会に雑用係がほしいって言ってたよな？　姫野を使ってくれていいから！」

　え、ちょっと待ってよ。雑用係なんて、マネージャーだけで十分なんだけどっっ！！
　勝手に決めないでよー！！

「姫野さんでは、雑用係にもなりません。僕は、優秀な雑用係が欲しいと言ったんです」

　ムッ。言ってくれるじゃない。

「ま、まぁ……とりあえず、頼んだから！　じゃあな！！」
「あ、先生！！」

　先生は言い逃げしてった。大人なのに、姑息だわ……

　すると、藤川くんがハァと溜息を吐いて振り返った。

「そこにいるんでしょ、姫野さん」
　
　ウッ、バレてた……

「あー藤川くん……」

　これ、絶対無理なやつ。
　勉強教えてもらうことも、近づくこともできそうにないわ。

　てか、藤川攻略って、どんな手ぇ使ったらいいのよ。攻略本読んどけばよかったー。

　そう嘆いた途端、きゅるんがポンッと飛び出してきた。

「藤川くんの攻略法は、生徒会に入って彼の役に立つことが一番だきゅん。そこで少しずつ藤川くんの信頼を勝ち取り、距離を縮めて、友達から意識させ……恋愛へと持っていくんだきゅん」

　あー、そういうのめんどくさ。

「こ、こら！！　それが恋愛シュミレーションゲームなんだきゅん。いきなり攻略キャラを襲ったりしないんだきゅん！！」

　もうっ、うるさいなー。

　そう心で答えた途端、きゅるんが消えた。殴られる前に避難したらしい。学習してるねー。

　１人ぐらい攻略できないキャラがいなくてもしょーがないよね。ここはさっさと気持ち切り替えて、次いこー。
　まだ真斗のこと攻略できてないし、可愛い春紀だっているしね。

「ごめんね、無理なお願いしちゃって。やっぱ勉強は自分でするべきだよね！
　じゃ、また明日ねー」

　引き攣った笑みを浮かべてダッシュで逃げようとすると、藤川くが追いかけてきて手首を捕まえた。え、なにこのやりとり。キュンとするんだけどっっ。

「頼まれた以上は、やり遂げないといけないから。
　その代わり、ちゃんと勉強してね」

　藤川くんのメガネがキラリと光った。あ、期待してたやつと違った。

「は、はい……」

　体を痛めつけられるのはある程度我慢できるけど、頭の中を痛めつけられるのは……勘弁してー！！

「じゃ、教科書出して」

　図書館に連行され、机を叩かれる。これはかなりのスパルタな予感。もちろん図書室には他の学生がいて勉強してたりして、ふたりきりになんてなれない。しかも、長机を挟んで向かい合わせだから、触れるチャンスすらないし。

　教科書を出すと、続いてノートを開くように指示され、チェックが入る。

「黒板は写してるけど、ただ書いてるだけじゃ意味がない。これ、頭に入ってるの？」
「い、いえ……」
「この問題、やってみて？」

　数学の問題集を出され、ない頭を振り絞って考えてみるけど、なーんも出てこない。

「使う公式は分かる？」
「えーっと……分かんない、かな」

　ごまかし笑いをしたら、睨まれた。

「とりあえず、今から解き方見せるから見てて」

　藤川くんが説明しながらサラサラと公式を書き、問題を解いていく。おぉ、魔法のようだわ。

　メガネ越しに見える瞳はパッチリしてて、睫毛が長い。鉛筆を持つ指も長くて綺麗で……この指に愛撫されたら、どんな感じなんだろうって、つい想像しちゃう。

「おい、聞いてるのか？」
「は、はいっっ」
「この問題、解いてみろ」

　同じ公式を使った問題を解かされた。

　ん？　ちゃんと説明してもらった後だと、理解度が全然違う！！　絶対にわかんないと思ってた問題が解けてるー！！

「ハッ、すごいっっ！！　解けたぁぁっっ！！
　ねぇ、藤川くん、解けたよー！！」

　手を握ろうとしたら、スルッと避けられた。チッ。

「じゃ、次ね」

　私の感動なんかお構いなしで、藤川くんは説明しては私に問題を解かせていった。これ、全然脈ないじゃん。

　２時間後……

　も、もう無理……頭がパンパンで、これ以上覚えられる気がしない。てか、覚えた側から忘れてく気がする……

　私は灰になっていた。

　藤川くんが壁にかかってる時計に目を向けた。

「もうそろそろ閉室時間だな……出ようか」
「は、はひ……」

　ようやく、解放される……癒し。癒しが欲しい。春紀、春紀ぃ！！

　図書室を出たところで、藤川くんが考え込んでる。

「どうしたの、藤川くん？」
「今日１日だけで数学に費やしてしまった……しかもまだ、テスト範囲をカバーできていない。他の教科もあるというのに、このままでは試験までに間に合わない」

　うわっ、真面目！！　別に義務じゃないのに、責任感強いなー。

「そ、そんなの気にしなくていいから！　なんなら、今日１日だけでも十分勉強になったし！
　ほんと、ありがとう」
「いや、良くない。君の成績が上がらなかったら、僕のプライドにも関わる」

　関わるんだ……

「まだ時間は大丈夫か？」
「え？　あぁ、私は全然構わないけど……」

　もしかして、そこで藤川くんに接近できるチャンス！？　藤川くんの家に招かれたりして？

「よし、ここから歩いて行ける図書館は８時まで開いてる。
　あと１時間半は勉強できるぞ！」

　藤川くんにそんな期待した私がバカだったわ……