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妊娠中、息子の告発によって夫の浮気を知ったので、息子とともにざまぁすることにいたしました
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私はアストリアーノ子爵夫人、メロディーと申します。ただいま、夫であるメンフィス様の二番目のお子を妊娠中ですの。
静養のためマナーハウスに滞在しておりましたが、今日からは私の最愛の息子であるロレントと一緒に暮らせるので嬉しいですわ。
扉が開き、乳母と共にロレントが現れ、私の元へ走り寄りました。
「お母様!」
「ロレント、元気にしていましたか?」
「えぇ。お母様と会えない間、とても寂しい思いをしておりました」
その言葉を聞き、胸が痛みます。
「これからは、一緒ですよ。お父様はお元気?」
ロレントの表情に陰りが差します。
「お父様……お父様なんて、しりませんっ」
「ロレント、なんてことを言うのです」
「だ、だって……」
そう言ったきり、ロレントは口を黙ました。
顔を上げると、乳母も何やら気まずそうな表情を浮かべています。乳母に伝えます。
「ロレントとふたりきりにして頂戴」
「かしこまりました、奥様」
乳母はほっとした表情を浮かべて去って行きました。
「何があったのです、ロレント。どうか、お母様には正直に話して頂戴」
「……お母様がいなくなってから、お父様は……知らない女の人を、家に連れ込むようになって……
僕、見たんです。お父様と、その女が……裸で抱き合ってるところを」
「まぁ、なんてことでしょう……」
血の気が引き、全身が震えました。
メンフィスの女癖の悪さは知っていましたし、この妊娠中にも浮気をやらかすであろうとこは予想がついていました。
けれど、浮気相手を自宅に招いただけでなく、あろうことかそれを息子であるロレントに見られてしまうという失態まで犯すとは……!!
今まで我慢に我慢を重ねてきましたが、もう限界です。
「ロレント……もし、お父様と離れることになったら、どうします?」
「お母様とは離れたくないですが、お父様のことはどうでもいいです」
「そうですか……もっと早くに、あなたに聞くべきでしたね」
私は早速お父様に手紙を書くことにしました。
それから3日後。呼び出しを受けたメンフィスが私の寝室で真っ青な顔で立っています。その隣には、ウェールズ公爵である私の父が厳しい顔つきで彼を睨みつけていました。
「私の愛する娘、メロディーから手紙をもらい、君が不貞を働いていると訴えがあったのだが……それは、本当か?」
「と、とんでもない!! そんなこと、私がするわけないではありませんか、お父上殿!!」
すると、そこにロレントがスッと現れました。
「お祖父様、僕は父君と知らない女性がベッドの上で抱き合っているのをはっきり見ました。それとも……お父様は、まさか僕の目がおかしい、とは言いませんよね?」
「ロ、ロレント、見ていたのか!? いや、あれは……寒かったから、肌と肌を合わせていただけだ」
「8月の、この暑い時期に、ですか?」
さすが賢い我が息子、ロレントが鋭く指摘しました。
「『メンフィスさまぁ、早くあの夫人を追っ払っちゃってぇ』という声も聞こえてきましたが」
「そ、それは……誤解、誤解だ!!」
ゴホン、という咳払いが響きました。さすが威厳あるウエールズ公爵、咳払いひとつで皆が緊張に包まれます。
「メンフィス、お前にはこれを書いてもらおう」
「これは……?」
「爵位を妻であるメロディーに譲るための書類だ」
「そ、んなこと、認められるわけ……」
「知っているぞ。お前が子爵として認められた功績は、実は全て妻であるメロディーが全てしたことだと。それを公衆に晒すこともできるが、ロレントや生まれてくる赤子のことを考えると、それは私の望むところではない。
自ら爵位を妻に譲り、黙ってここを立ち去るというのであれば、それ以上の罪を追求することはしない」
「そ、そんな……」
メンフィス様は崩れ落ちました。
「お父様、何をしているのです。早く書類を書いてここを出て行ってください。
あなたの顔など、二度と見たくありません」
「ロ、ロレントぉ、なんてことを!! お前は私の息子だろうが!!」
「お母様がいらっしゃらないのをいいことに好き放題され、どれだけ僕が幼い胸を痛めていたのか分かりますか?
子供だから何もわからないだろうなんて思ったら大間違いです!!」
メンフィス様は渋々書類にサインをすると、落胆した様子で去って行きました。
「……ロレント、本当にこれで良かったのですか? あなたはこれから父のない子として、生きていかなくてはならないのですよ」
ロレントだけでなく、これから生まれてくる子供に対しても申し訳ない気持ちが込み上がってきます。
ロレントが力強く頷きました。
「お母様を裏切るような酷いお父様と一緒にいるほうが、僕にとっては耐えられません。お母様のことは、僕が守りますから」
頼もしい言葉を聞き、涙が溢れ出しました。
小さく幼いとばかりに思っていたロレントは、いつのまにか立派に成長していました。
「わしもおる。これからはアストリアーノ女子爵として、領民と息子のために尽くすのだぞ」
「はい、お父様」
静養のためマナーハウスに滞在しておりましたが、今日からは私の最愛の息子であるロレントと一緒に暮らせるので嬉しいですわ。
扉が開き、乳母と共にロレントが現れ、私の元へ走り寄りました。
「お母様!」
「ロレント、元気にしていましたか?」
「えぇ。お母様と会えない間、とても寂しい思いをしておりました」
その言葉を聞き、胸が痛みます。
「これからは、一緒ですよ。お父様はお元気?」
ロレントの表情に陰りが差します。
「お父様……お父様なんて、しりませんっ」
「ロレント、なんてことを言うのです」
「だ、だって……」
そう言ったきり、ロレントは口を黙ました。
顔を上げると、乳母も何やら気まずそうな表情を浮かべています。乳母に伝えます。
「ロレントとふたりきりにして頂戴」
「かしこまりました、奥様」
乳母はほっとした表情を浮かべて去って行きました。
「何があったのです、ロレント。どうか、お母様には正直に話して頂戴」
「……お母様がいなくなってから、お父様は……知らない女の人を、家に連れ込むようになって……
僕、見たんです。お父様と、その女が……裸で抱き合ってるところを」
「まぁ、なんてことでしょう……」
血の気が引き、全身が震えました。
メンフィスの女癖の悪さは知っていましたし、この妊娠中にも浮気をやらかすであろうとこは予想がついていました。
けれど、浮気相手を自宅に招いただけでなく、あろうことかそれを息子であるロレントに見られてしまうという失態まで犯すとは……!!
今まで我慢に我慢を重ねてきましたが、もう限界です。
「ロレント……もし、お父様と離れることになったら、どうします?」
「お母様とは離れたくないですが、お父様のことはどうでもいいです」
「そうですか……もっと早くに、あなたに聞くべきでしたね」
私は早速お父様に手紙を書くことにしました。
それから3日後。呼び出しを受けたメンフィスが私の寝室で真っ青な顔で立っています。その隣には、ウェールズ公爵である私の父が厳しい顔つきで彼を睨みつけていました。
「私の愛する娘、メロディーから手紙をもらい、君が不貞を働いていると訴えがあったのだが……それは、本当か?」
「と、とんでもない!! そんなこと、私がするわけないではありませんか、お父上殿!!」
すると、そこにロレントがスッと現れました。
「お祖父様、僕は父君と知らない女性がベッドの上で抱き合っているのをはっきり見ました。それとも……お父様は、まさか僕の目がおかしい、とは言いませんよね?」
「ロ、ロレント、見ていたのか!? いや、あれは……寒かったから、肌と肌を合わせていただけだ」
「8月の、この暑い時期に、ですか?」
さすが賢い我が息子、ロレントが鋭く指摘しました。
「『メンフィスさまぁ、早くあの夫人を追っ払っちゃってぇ』という声も聞こえてきましたが」
「そ、それは……誤解、誤解だ!!」
ゴホン、という咳払いが響きました。さすが威厳あるウエールズ公爵、咳払いひとつで皆が緊張に包まれます。
「メンフィス、お前にはこれを書いてもらおう」
「これは……?」
「爵位を妻であるメロディーに譲るための書類だ」
「そ、んなこと、認められるわけ……」
「知っているぞ。お前が子爵として認められた功績は、実は全て妻であるメロディーが全てしたことだと。それを公衆に晒すこともできるが、ロレントや生まれてくる赤子のことを考えると、それは私の望むところではない。
自ら爵位を妻に譲り、黙ってここを立ち去るというのであれば、それ以上の罪を追求することはしない」
「そ、そんな……」
メンフィス様は崩れ落ちました。
「お父様、何をしているのです。早く書類を書いてここを出て行ってください。
あなたの顔など、二度と見たくありません」
「ロ、ロレントぉ、なんてことを!! お前は私の息子だろうが!!」
「お母様がいらっしゃらないのをいいことに好き放題され、どれだけ僕が幼い胸を痛めていたのか分かりますか?
子供だから何もわからないだろうなんて思ったら大間違いです!!」
メンフィス様は渋々書類にサインをすると、落胆した様子で去って行きました。
「……ロレント、本当にこれで良かったのですか? あなたはこれから父のない子として、生きていかなくてはならないのですよ」
ロレントだけでなく、これから生まれてくる子供に対しても申し訳ない気持ちが込み上がってきます。
ロレントが力強く頷きました。
「お母様を裏切るような酷いお父様と一緒にいるほうが、僕にとっては耐えられません。お母様のことは、僕が守りますから」
頼もしい言葉を聞き、涙が溢れ出しました。
小さく幼いとばかりに思っていたロレントは、いつのまにか立派に成長していました。
「わしもおる。これからはアストリアーノ女子爵として、領民と息子のために尽くすのだぞ」
「はい、お父様」
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