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彼女の決意、私の思い
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「何か、お持ちいたしましょうか」
部屋まで案内した後、ばあやが聞いたが、薫子が答える前に美姫が首を振った。
「大丈夫です。ありがとう、ばあやさん」
「では、失礼致します」
美姫は、タートルネックのセーターを着ていた。似合ってはいるが、首の詰まっている服を着ることは滅多にないので、珍しいなと薫子は感じた。
美姫は、成人式にあった時に感じた儚さは薄れ、今はもっとしっかりした雰囲気を纏っていた。
昨日TVの画面を通して彼女を見てはいたものの、実際に会ったら、さぞや窶れているだろうと思っていた薫子は、内心驚いた。
何を話せばいいのだろう......
そんな思いを薫子が巡らせていると、美姫の方から声を掛けてきた。
「薫子は......私と秀一さんのことが、週刊誌に載ったの......知って、る?」
いきなり核心をつく質問に動揺しつつも、薫子は小さく頷いた。
「ずっと、知らなかったんだけど......一昨日、遼ちゃんから週刊誌を見せてもらって......」
週刊誌に載ったことだけでなく、週刊誌自体読んでいたことを知り、美姫が一瞬眉を顰め、苦しげな表情を見せた。
「そ、っか......」
「ごめ、んね」
とっさに謝ったものの、それは週刊誌を見てしまったことに対してなのか、美姫と秀一のスキャンダルをずっと知らずにいたことに対してなのか、薫子自身も分からなかった。
美姫は、先ほど薫子が本を読んでいた時に座っていた椅子に腰掛けた。
「昨日の記者会見......見た?」
上目遣いに、まるで窺うように尋ねてくるその視線に、薫子はドキドキしながらも答えた。
「昨日の早朝......大和、から......LINEが、入って......」
言いながらも、もしかしてこれは美姫に話してはいけなかったのではないかと緊張が走る。
大和は美姫を助けながらも、自分の辛い気持ちを打ち明けたくて、私に密かにLINEを送ったのかもしれない......
美姫が、フッと笑みを見せた。
「大和らしいね」
その笑みからは、美姫が怒っているようには感じなかったが、薫子はそこにどんな意味があるのか推し量ることが出来ずにいた。
美姫が、深い吐息を吐いた。その哀愁を帯びた表情は、一段と女らしさを増したように見える。
「何、から話せばいいんだろう......
薫子とは幼稚舎から高等部までずっと一緒にいて、何でも話し合ってたのに......今は、薫子に話せなかったことがたくさんあり過ぎて......」
言葉を詰まらせる美姫の向かい側の椅子に、薫子が腰掛ける。
「美姫。今日ここに来て、こうして私に会いに来てくれただけで嬉しいから。
無理に話さなくても、大丈夫だよ」
本当は、美姫の口から何があったのか全て聞きたい。けれど、今はこれで十分だと薫子は感じていた。
美姫は薫子の手をとり、ダークブラウンの瞳でじっと見つめた。
「ううん......薫子に、聞いて欲しいの。
上手く説明出来ないかもしれないけど......聞いてくれる?」
美姫の真剣な瞳に見つめられ、薫子も彼女の瞳を見つめ返した。
「うん」
緊張したように顔を強張らせていた美姫が、肩から力が抜けたように、ふわっと笑った。
部屋まで案内した後、ばあやが聞いたが、薫子が答える前に美姫が首を振った。
「大丈夫です。ありがとう、ばあやさん」
「では、失礼致します」
美姫は、タートルネックのセーターを着ていた。似合ってはいるが、首の詰まっている服を着ることは滅多にないので、珍しいなと薫子は感じた。
美姫は、成人式にあった時に感じた儚さは薄れ、今はもっとしっかりした雰囲気を纏っていた。
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何を話せばいいのだろう......
そんな思いを薫子が巡らせていると、美姫の方から声を掛けてきた。
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いきなり核心をつく質問に動揺しつつも、薫子は小さく頷いた。
「ずっと、知らなかったんだけど......一昨日、遼ちゃんから週刊誌を見せてもらって......」
週刊誌に載ったことだけでなく、週刊誌自体読んでいたことを知り、美姫が一瞬眉を顰め、苦しげな表情を見せた。
「そ、っか......」
「ごめ、んね」
とっさに謝ったものの、それは週刊誌を見てしまったことに対してなのか、美姫と秀一のスキャンダルをずっと知らずにいたことに対してなのか、薫子自身も分からなかった。
美姫は、先ほど薫子が本を読んでいた時に座っていた椅子に腰掛けた。
「昨日の記者会見......見た?」
上目遣いに、まるで窺うように尋ねてくるその視線に、薫子はドキドキしながらも答えた。
「昨日の早朝......大和、から......LINEが、入って......」
言いながらも、もしかしてこれは美姫に話してはいけなかったのではないかと緊張が走る。
大和は美姫を助けながらも、自分の辛い気持ちを打ち明けたくて、私に密かにLINEを送ったのかもしれない......
美姫が、フッと笑みを見せた。
「大和らしいね」
その笑みからは、美姫が怒っているようには感じなかったが、薫子はそこにどんな意味があるのか推し量ることが出来ずにいた。
美姫が、深い吐息を吐いた。その哀愁を帯びた表情は、一段と女らしさを増したように見える。
「何、から話せばいいんだろう......
薫子とは幼稚舎から高等部までずっと一緒にいて、何でも話し合ってたのに......今は、薫子に話せなかったことがたくさんあり過ぎて......」
言葉を詰まらせる美姫の向かい側の椅子に、薫子が腰掛ける。
「美姫。今日ここに来て、こうして私に会いに来てくれただけで嬉しいから。
無理に話さなくても、大丈夫だよ」
本当は、美姫の口から何があったのか全て聞きたい。けれど、今はこれで十分だと薫子は感じていた。
美姫は薫子の手をとり、ダークブラウンの瞳でじっと見つめた。
「ううん......薫子に、聞いて欲しいの。
上手く説明出来ないかもしれないけど......聞いてくれる?」
美姫の真剣な瞳に見つめられ、薫子も彼女の瞳を見つめ返した。
「うん」
緊張したように顔を強張らせていた美姫が、肩から力が抜けたように、ふわっと笑った。
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