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哀憐(あいれん)
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それからの二人は、記者からの質問にしっかりと答えていた。
美姫は秀一とは今までに一度も恋人となったことはなく、彼に対する愛情は恋人に対するそれではなく、家族としてのものだと答えた。美姫が好きなのは大和であり、それはずっと変わらない。
凌辱された際、大和に助けられたことにより、美姫は貞操を守れなかったことに失望し、彼と別れる決意をし、叔父である秀一の元に身を寄せた。大和は美姫が凌辱されたことにショックを受け、そんな彼女に何もできずにいたが、週刊誌で美姫と秀一が恋人であると噂されていることを知り、奮起した。
---そして、彼女を捜し出し、自分の気持ちを打ち明け、プロポーズした。
話としては、よく出来ている気もするが、それでも薫子は不安だった。本当にマスコミは、彼らの言うことを真実として受け止めてくれるのだろうか。
美姫と秀一さんが恋人である限り、いくら大和と恋人であることを偽装しても、いつかは露呈してしまうのでは......
TVからは、美姫の声が響いていた。
『でも、今……私の隣には、大和さんがいます。
『何があっても愛している』と言ってくれた彼の為にも、私をこれまで支え、愛情深く育ててくれた両親の為にも......自分を犠牲にしてまで、叔父として私を守ろうとしてくれた秀一さんの為にも......
ふたりで力を合わせて、生きていこうと思います』
美姫と秀一さんが恋人である疑惑のほとぼりが冷めるまで、いったい何年の月日がかかるのだろう。
......きっと、美姫が秀一さんの傍にいる限り、噂がなくなることはない。
それでも美姫たちは、芝居を続けていくつもりなの?
大和は、そんな彼らの芝居にずっと付き合っていくつもりなの......?
考えれば考えるほど、それは浅はかなアイデアだと思わざるをえなかった。
薫子の不安は、募るばかりだった。
記者会見が終わり、記者からの依頼により、ふたりは長テーブルの横に立った。胸の上に翳した美姫の左手には、婚約指輪のダイヤモンドが光り輝いている。
美姫と大和は互いに寄り添い、顔を見合わせると幸せそうに微笑んだ。その、いかにも幸せな恋人同士であるかのような姿に、薫子は胸が張り裂けそうな痛みを覚える。
リモコンを手に取ると、TVの電源を消した。
いくら秀一さんとの関係を守るためだからって......こんなの、酷すぎるよ。
---大和は本当に......それで、いいの?
薫子は何も映すことのない画面に向かって、問いかけた。
美姫は秀一とは今までに一度も恋人となったことはなく、彼に対する愛情は恋人に対するそれではなく、家族としてのものだと答えた。美姫が好きなのは大和であり、それはずっと変わらない。
凌辱された際、大和に助けられたことにより、美姫は貞操を守れなかったことに失望し、彼と別れる決意をし、叔父である秀一の元に身を寄せた。大和は美姫が凌辱されたことにショックを受け、そんな彼女に何もできずにいたが、週刊誌で美姫と秀一が恋人であると噂されていることを知り、奮起した。
---そして、彼女を捜し出し、自分の気持ちを打ち明け、プロポーズした。
話としては、よく出来ている気もするが、それでも薫子は不安だった。本当にマスコミは、彼らの言うことを真実として受け止めてくれるのだろうか。
美姫と秀一さんが恋人である限り、いくら大和と恋人であることを偽装しても、いつかは露呈してしまうのでは......
TVからは、美姫の声が響いていた。
『でも、今……私の隣には、大和さんがいます。
『何があっても愛している』と言ってくれた彼の為にも、私をこれまで支え、愛情深く育ててくれた両親の為にも......自分を犠牲にしてまで、叔父として私を守ろうとしてくれた秀一さんの為にも......
ふたりで力を合わせて、生きていこうと思います』
美姫と秀一さんが恋人である疑惑のほとぼりが冷めるまで、いったい何年の月日がかかるのだろう。
......きっと、美姫が秀一さんの傍にいる限り、噂がなくなることはない。
それでも美姫たちは、芝居を続けていくつもりなの?
大和は、そんな彼らの芝居にずっと付き合っていくつもりなの......?
考えれば考えるほど、それは浅はかなアイデアだと思わざるをえなかった。
薫子の不安は、募るばかりだった。
記者会見が終わり、記者からの依頼により、ふたりは長テーブルの横に立った。胸の上に翳した美姫の左手には、婚約指輪のダイヤモンドが光り輝いている。
美姫と大和は互いに寄り添い、顔を見合わせると幸せそうに微笑んだ。その、いかにも幸せな恋人同士であるかのような姿に、薫子は胸が張り裂けそうな痛みを覚える。
リモコンを手に取ると、TVの電源を消した。
いくら秀一さんとの関係を守るためだからって......こんなの、酷すぎるよ。
---大和は本当に......それで、いいの?
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