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私の全てを貴方に ー薫子sideー
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襟元を握り締める薫子の両手の指先に悠の指先が絡められ、引き上げられる。開かれた襟元からは薄桜色の肌襦袢が更に露わになった。
「こういうの……普通に下着より、そそられるね……」
悠の言葉に顔から火が出そうになる。
きっと、悠は…肌襦袢から透けて見える私の胸を見て、言ってるんだ……
「お、願い……見ない、で……」
悠の絡ませた指先に力が入る。
「だめ…瞼の裏に焼き付けてるから……」
真正面に見える、悠の綺麗な顔。こうして改めて見ると、本当に整った顔立ちをしている…そう、薫子は感じた。
それぞれの顔のパーツの美しさに加えて、それらが正確な位置に正確な大きさ、距離を持って完璧なバランスで配置されている。まるで、一つの芸術作品のようだ。
薫子はいつも悠を見る度にその美しさに酔いしれ、溜息が出てしまう。そして、そんな彼の隣にいること、彼女でいることが自分に自信の持てなかった薫子に誇りを与えてくれた。
「悠。愛してる……」
こんな、誰もが言い尽くした言葉しか言えない自分が歯痒い。
愛してる、よりも愛してる……最上級の愛してる、って言葉でも足りない。そして、そんな気持ちでいると、ほら……また涙が滲んできてしまう。
悠と初めて逢ってから今まで、いつもそんなことの繰り返し。そして、その想いは寧ろ募る一方で……
お婆ちゃんになった時には…私はどうなってしまうんだろう……そんな心配までしてしまう。
「これ、椿?」
ふいに、悠が尋ねた。一瞬、何のことか分からなかったが、着物の柄のことだと気付いた。
悠は薫子に対しては口数が多い方だが、それでも言葉数が少ないので推し量らなければいけない。
「これは山茶花。どちらも冬の花だし、見た目も似てるけど、花から落ちてしまう椿と違って山茶花は花弁から散っていくの」
「山茶花の花言葉、知ってる?」
えっ……知らない……
突然の問いに驚いて黙っていると、悠が耳元に口を寄せる。
「ひたむきな、愛……」
まるで、自分の事を言われてるような気持ちになり、薫子の耳から熱が全身へと巡る。
「それから、赤い山茶花は『謙虚』、『無垢』。
……そして、『あなたが一番美しい』」
そこまで言った後、悠は耳元から薫子の顔の真正面へと顔を寄せると美しい笑みを見せた。
「まさに、君そのものだね」
悠……もしかして、本当は描かれているのは山茶花って知っていて、私に聞いたのかもしれない……
中等部に入学以前までイギリスにいたと思えない程、悠は博識の持ち主だった。でも決してそれをひけらかすことなく、ふとした会話で知らされるその瞬間が薫子は好きだった。
「着物、とても似合ってる……俺と会う為に着てくれた訳じゃないのが……妬けるけど」
小さく言った後、絡めていた指先を高く引き上げ、左手だけで両手首を頭の上に縫い止めた。
「……どうする? このままの方がいい?それとも……脱がせた方がいい?」
「……」
恥ずかしくて口に出来ず戸惑っていると、悠の右手が薫子の髪を梳いた。
「薫子の嫌がることは……したくないんだ」
悠は、いつも優しい。私のことをいつでも一番に考えてくれる……
薫子は幸せな気持ちで満たされる。
「……着物は皺になるから、肌襦袢だけ、で……お願い、します……」
緊張し過ぎて、なぜか敬語になってしまった。
悠はクスッと笑うと「はい、畏まりました」と答えた。
「こういうの……普通に下着より、そそられるね……」
悠の言葉に顔から火が出そうになる。
きっと、悠は…肌襦袢から透けて見える私の胸を見て、言ってるんだ……
「お、願い……見ない、で……」
悠の絡ませた指先に力が入る。
「だめ…瞼の裏に焼き付けてるから……」
真正面に見える、悠の綺麗な顔。こうして改めて見ると、本当に整った顔立ちをしている…そう、薫子は感じた。
それぞれの顔のパーツの美しさに加えて、それらが正確な位置に正確な大きさ、距離を持って完璧なバランスで配置されている。まるで、一つの芸術作品のようだ。
薫子はいつも悠を見る度にその美しさに酔いしれ、溜息が出てしまう。そして、そんな彼の隣にいること、彼女でいることが自分に自信の持てなかった薫子に誇りを与えてくれた。
「悠。愛してる……」
こんな、誰もが言い尽くした言葉しか言えない自分が歯痒い。
愛してる、よりも愛してる……最上級の愛してる、って言葉でも足りない。そして、そんな気持ちでいると、ほら……また涙が滲んできてしまう。
悠と初めて逢ってから今まで、いつもそんなことの繰り返し。そして、その想いは寧ろ募る一方で……
お婆ちゃんになった時には…私はどうなってしまうんだろう……そんな心配までしてしまう。
「これ、椿?」
ふいに、悠が尋ねた。一瞬、何のことか分からなかったが、着物の柄のことだと気付いた。
悠は薫子に対しては口数が多い方だが、それでも言葉数が少ないので推し量らなければいけない。
「これは山茶花。どちらも冬の花だし、見た目も似てるけど、花から落ちてしまう椿と違って山茶花は花弁から散っていくの」
「山茶花の花言葉、知ってる?」
えっ……知らない……
突然の問いに驚いて黙っていると、悠が耳元に口を寄せる。
「ひたむきな、愛……」
まるで、自分の事を言われてるような気持ちになり、薫子の耳から熱が全身へと巡る。
「それから、赤い山茶花は『謙虚』、『無垢』。
……そして、『あなたが一番美しい』」
そこまで言った後、悠は耳元から薫子の顔の真正面へと顔を寄せると美しい笑みを見せた。
「まさに、君そのものだね」
悠……もしかして、本当は描かれているのは山茶花って知っていて、私に聞いたのかもしれない……
中等部に入学以前までイギリスにいたと思えない程、悠は博識の持ち主だった。でも決してそれをひけらかすことなく、ふとした会話で知らされるその瞬間が薫子は好きだった。
「着物、とても似合ってる……俺と会う為に着てくれた訳じゃないのが……妬けるけど」
小さく言った後、絡めていた指先を高く引き上げ、左手だけで両手首を頭の上に縫い止めた。
「……どうする? このままの方がいい?それとも……脱がせた方がいい?」
「……」
恥ずかしくて口に出来ず戸惑っていると、悠の右手が薫子の髪を梳いた。
「薫子の嫌がることは……したくないんだ」
悠は、いつも優しい。私のことをいつでも一番に考えてくれる……
薫子は幸せな気持ちで満たされる。
「……着物は皺になるから、肌襦袢だけ、で……お願い、します……」
緊張し過ぎて、なぜか敬語になってしまった。
悠はクスッと笑うと「はい、畏まりました」と答えた。
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