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お姉様の婚約者を好きになってしまいました……どうしたら、彼を奪えますか?
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今日は、学園の卒業式です。
この学園を卒業したら、殆どの女性が婚約者の元へと嫁いでいくのです、ソフィアお姉様もそうだったように。
けれど、私は……どなたとも婚約を結ばないまま。お父様とお母様の元で花嫁修行という名の、居候となります。
ソフィアお姉様を亡くし、私の幸せが結婚であり、出産であると信じているお父様とお母様に、これ以上ご心配をおかけし、ご迷惑をおかけするわけにはいきません……
ですから、最後に……もう一度だけ。
私は、オリバー様の家を訪ねました。
「卒業おめでとう、エミリー」
「ありがとうございます、オリバー様。
私、もう立派なレディーです。ソフィアお姉様に負けないぐらい容姿も磨きましたし、学業にも励みましたし、お料理や家事だって、こなしてきました。
それも……すべて、オリバー様に女性として見ていただきたかったからです」
今までの思いが込み上げてきて泣きそうになりましたが、喉から迫り上がってくる熱いものを飲み干しました。
「最後の……お願いです。
どうか、私を妻として貰ってくださいませ」
「エミリー……」
「出来ないのでしたら……もう、オリバー様のことは諦めます。他の方に嫁いで……オリバー様にはお会いしません、から……」
「ッッ……」
オリバー様が顔を歪めました。
「……君にとって、そうするのが一番いいと思うよ。エミリー、僕なんかと結婚したって幸せになれるはずがない」
「オリバー、様……ッッ」
これで、もう本当に終わりなのだわ……
もう、オリバー様とお会いすることもない。
その時、タッタッタッ……と駆け寄る足音が近づきました。
「パパの馬鹿ー!!」
リリアがオリバー様の背中に飛び蹴りをしました。
「リリア! お父様になんてことを!!」
「エミリーもバカバカバカ!! エミリーがいなくなったら、私はどぉなるのよぉ!! パパがいたって、おじいさまがいたって、おばあさまがいたって、エミリーがいなくちゃ……ウッ、ウッ……寂しいよぉ!!」
「リリア、ごめんなさい……」
「エミリーは、リリアのことが嫌いになったの? おばあさまに聞いたわ。エミリーはパパのことがずっと好きだったって。エミリーのお姉様の娘である私のこと、憎んでる?」
涙がじわりと溢れ、エミリーを抱き締めました。
「そんなこと、あるはずない……エミリーのことが、大好きですわ。愛おしくて堪らない、私の可愛い姪っ子ですもの」
エミリーが顔を上げました。
「だったら……私のママになって。っていうより、本当のママを知らない私にとって、エミリーはずっと私のママみたいなものだった。お願い、パパなんてどうでもいいから……私のために、ママになってよ!!」
「リリア……」
参りましたわ。リリアのママになりたくても、オリバー様が私を受け入れてくださらない限り、私の意思ではどうにもならないですのに……
「参ったな……」
オリバー様が口に手を当てました。
「エミリーが幸せになるためにと、身を引く覚悟でいたのに……これでは、揺らいでしまう」
「オリバー様……」
胸がトクン……と高鳴ります。
「僕は、いつしか……君の強さ、逞しさ、明るさに救われている自分に気が付いたんだ。それは、ソフィアにはない、エミリー自身の魅力だ。僕は……ソフィアの妹としてではなく、ひとりの女性としてエミリーを愛していたんだ。
でも僕は君よりも12も年上で、君に近い歳の娘もいる。それに、なによりも……美しく魅力的な君が、こんなくたびれた僕にいつか愛想を尽かすんじゃないかと、失った時のことを考えて怖くなったんだ」
「愛想など……尽かすはずありませんわ。私は、もう14年もの間、オリバー様だけを一途に想っていましたのよ。私の気持ちを見くびらないでくださいませ」
オリバー様が、フッと口元を綻ばしました。
「そう、だったね……」
そこに、リリアが立ちはだかります。
「パパ、ちゃんと男らしくエミリーに告白しなさい!」
「あぁ、そうだね……ケジメを、つけなくてはね」
オリバーが私の手を取り、片膝をつきました。
「エミリー、君を愛している。
もう僕はずっと……君に心を奪われていた。
僕の、妻になってくれないか?」
堪えたはずの涙が再び溢れ、頬を濡らしました。
「……ッッはい。
喜んで、お受けしますわ」
オリバー様は私の手の甲に口付けを落とすと立ち上がり、リリアの体の向きを変えました。
「え、パパ?」
「ここからは、大人の時間だ」
そう言うと私を抱き寄せ、唇を重ねます。
14年夢見てきた愛する人とのファーストキスは甘くて……ちょっぴりしょっぱい味がしました。
こうして、ようやく私はお姉様の婚約者を奪うことが出来たのでした。
「あ! こら、リリア!! あっちを向いていろと言ったのに!!」
「フフッ、パパ照れてるー」
とても賑やかな新婚生活になりそうですわ。
この学園を卒業したら、殆どの女性が婚約者の元へと嫁いでいくのです、ソフィアお姉様もそうだったように。
けれど、私は……どなたとも婚約を結ばないまま。お父様とお母様の元で花嫁修行という名の、居候となります。
ソフィアお姉様を亡くし、私の幸せが結婚であり、出産であると信じているお父様とお母様に、これ以上ご心配をおかけし、ご迷惑をおかけするわけにはいきません……
ですから、最後に……もう一度だけ。
私は、オリバー様の家を訪ねました。
「卒業おめでとう、エミリー」
「ありがとうございます、オリバー様。
私、もう立派なレディーです。ソフィアお姉様に負けないぐらい容姿も磨きましたし、学業にも励みましたし、お料理や家事だって、こなしてきました。
それも……すべて、オリバー様に女性として見ていただきたかったからです」
今までの思いが込み上げてきて泣きそうになりましたが、喉から迫り上がってくる熱いものを飲み干しました。
「最後の……お願いです。
どうか、私を妻として貰ってくださいませ」
「エミリー……」
「出来ないのでしたら……もう、オリバー様のことは諦めます。他の方に嫁いで……オリバー様にはお会いしません、から……」
「ッッ……」
オリバー様が顔を歪めました。
「……君にとって、そうするのが一番いいと思うよ。エミリー、僕なんかと結婚したって幸せになれるはずがない」
「オリバー、様……ッッ」
これで、もう本当に終わりなのだわ……
もう、オリバー様とお会いすることもない。
その時、タッタッタッ……と駆け寄る足音が近づきました。
「パパの馬鹿ー!!」
リリアがオリバー様の背中に飛び蹴りをしました。
「リリア! お父様になんてことを!!」
「エミリーもバカバカバカ!! エミリーがいなくなったら、私はどぉなるのよぉ!! パパがいたって、おじいさまがいたって、おばあさまがいたって、エミリーがいなくちゃ……ウッ、ウッ……寂しいよぉ!!」
「リリア、ごめんなさい……」
「エミリーは、リリアのことが嫌いになったの? おばあさまに聞いたわ。エミリーはパパのことがずっと好きだったって。エミリーのお姉様の娘である私のこと、憎んでる?」
涙がじわりと溢れ、エミリーを抱き締めました。
「そんなこと、あるはずない……エミリーのことが、大好きですわ。愛おしくて堪らない、私の可愛い姪っ子ですもの」
エミリーが顔を上げました。
「だったら……私のママになって。っていうより、本当のママを知らない私にとって、エミリーはずっと私のママみたいなものだった。お願い、パパなんてどうでもいいから……私のために、ママになってよ!!」
「リリア……」
参りましたわ。リリアのママになりたくても、オリバー様が私を受け入れてくださらない限り、私の意思ではどうにもならないですのに……
「参ったな……」
オリバー様が口に手を当てました。
「エミリーが幸せになるためにと、身を引く覚悟でいたのに……これでは、揺らいでしまう」
「オリバー様……」
胸がトクン……と高鳴ります。
「僕は、いつしか……君の強さ、逞しさ、明るさに救われている自分に気が付いたんだ。それは、ソフィアにはない、エミリー自身の魅力だ。僕は……ソフィアの妹としてではなく、ひとりの女性としてエミリーを愛していたんだ。
でも僕は君よりも12も年上で、君に近い歳の娘もいる。それに、なによりも……美しく魅力的な君が、こんなくたびれた僕にいつか愛想を尽かすんじゃないかと、失った時のことを考えて怖くなったんだ」
「愛想など……尽かすはずありませんわ。私は、もう14年もの間、オリバー様だけを一途に想っていましたのよ。私の気持ちを見くびらないでくださいませ」
オリバー様が、フッと口元を綻ばしました。
「そう、だったね……」
そこに、リリアが立ちはだかります。
「パパ、ちゃんと男らしくエミリーに告白しなさい!」
「あぁ、そうだね……ケジメを、つけなくてはね」
オリバーが私の手を取り、片膝をつきました。
「エミリー、君を愛している。
もう僕はずっと……君に心を奪われていた。
僕の、妻になってくれないか?」
堪えたはずの涙が再び溢れ、頬を濡らしました。
「……ッッはい。
喜んで、お受けしますわ」
オリバー様は私の手の甲に口付けを落とすと立ち上がり、リリアの体の向きを変えました。
「え、パパ?」
「ここからは、大人の時間だ」
そう言うと私を抱き寄せ、唇を重ねます。
14年夢見てきた愛する人とのファーストキスは甘くて……ちょっぴりしょっぱい味がしました。
こうして、ようやく私はお姉様の婚約者を奪うことが出来たのでした。
「あ! こら、リリア!! あっちを向いていろと言ったのに!!」
「フフッ、パパ照れてるー」
とても賑やかな新婚生活になりそうですわ。
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