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王子様とシンデレラの婚約祝いパーティーにご招待されましたの

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 もう王子様と会うことは二度とない……そう、思っていましたのに。

「いったい、どういうことでしょう……」

 私は王子様とシンデレラの婚約祝いパーティーの招待状を手に、立ち尽くしていました。

 婚約祝いパーティーってなんですの?
 そんなの、したことなかったですのに……

『シンデレラ』の話が変わってしまっていることに戸惑いつつも、王宮からのご招待をお断りできるはずなどありません。

 私は正装し、お母様とドリゼラお姉様と共に王宮へと参ることにいたしました。

「なんで私たちが、シンデレラの婚約をお祝いしなきゃならないのよ!」
 
 馬車での道中、ドリゼラお姉様のご機嫌が芳しくありません。

「ドリゼラ、我慢するのです。この席で素敵な殿方との出会いがあるかもしれないのですから」
「こうなったら、王子様よりずーっとイケメンの殿方を見つけて見せるわ!」

 ドリゼラお姉様が鼻息を荒くする中、お母様が私ににっこりと微笑みました。

「アナスタシア、貴女はもう決まった方ができて安心ね」
「ぁ……はい、お母様」

 サミュエル様から求婚されました後、クローバー男爵卿から正式に婚姻の申し込みをお母様宛にいただきました。それを受けて私は近々嫁ぎ、クローバー男爵卿とご婦人と共に暮らすことになっております。

 もう、王子様への想いは断つのだと決めましたのに。シンデレラとの婚約祝いで王子様にお会いしてしまったら決意が揺らぎそうで……こわいですわ。


 王宮に辿り着くと、婚約祝いパーティーだと聞いておりましたのに、招待客らしき方は誰も見えません。

 案内の方が、ある部屋の扉を開けました。

「こちらでお待ちくださいませ」
「はい……」

 通されたのはホールではなく、応接間でした。扉の両脇には近衛兵が立ち、なんだか物々しい雰囲気を醸し出しています。

 応接間に入ると扉が硬く閉められました。お母様もドリゼラお姉様も、私たち意外誰もいない応接間を不思議そうに部屋を見回しています。

「婚約祝いパーティーの控えの間かしら」

 お母様がそう呟いた時、扉が開いて王子様とシンデレラが現れました。王子様はどことなく暗い表情を浮かべ、その隣に立つシンデレラは悪どい笑みを浮かべています。

 なにか……嫌な予感がいたしますわ。

 お母様とドリゼラお姉様と共に立ち上がり、敬礼いたします。

「本日はお招きいただき、誠にありがとうございます。そして、王太子陛下ならびに妃となられるシンデレラ様のご婚約、おめでとうございます」

 王子様がスッと片手を挙げられました。

「心にもない祝いの言葉など、言わなくてもよい」

 ぇ……
 
 私の心臓がスッと冷えます。
 
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