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0話目!チュートリアル①
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ご飯ということで白さんに居間に招かれて、僕は適当な座布団に鎮座した。大きな長方形のテーブルの上には大皿に乗った色々な種類のおかずが集められていた。
「すいません、お昼はもう過ぎてしまったので、ご飯は先にいただいたんですよ。残り物で悪いですけど、良かったらそこから好きなおかずをどうぞお召し上がりください」
白さんはそう言って、炊飯器から真っ白なご飯をよそってくれて、白米の入った茶碗を僕に差し出した。
「とんでもないです! こちらこそ、お世話になってる身なのに、こんな時間まで寝てしまって…。昨日何でもしますと言った傍からこんな体たらくですいません…」
申し訳なさから僕は肩を竦め、白さんに謝罪した。昨日のあんなに張り切って啖呵を切ったのに、まさかの昼過ぎまで寝るなんて。白さんに何か言われても仕方ないレベルだ。
「いえいえ、良いんですよ。だって、昨日は色々あり過ぎて頭も体も疲れていたでしょうし。それに、今日はまだお仕事をお任せするつもりはないので、ゆっくり体調を整えてください」
そう言いながら、僕にお箸をくれる白さん。しかし、白さんの言葉に僕は引っかかった。今日はまだ何もしなくて良いという事だろうか。僕は、頭にクエスチョンマークを浮かべながら、ご飯を口に頬張り首を傾げた。
「あ、うま」
白米めっちゃ美味い。
「ふふ。お口に合ったようで何よりです。えっと、今日はですね、貴方の身の回りのものを買い揃えに町まで下りて欲しいんです。ほら、服とか家具とか、何も無いと不便でしょう? もちろん、私たちが適当に創り出しても良いんですけど、私たちが勝手にあれこれ創るより、自分の目で見た方が良いと思って。それに、山上さん、テラにすごく興味を持たれていたみたいなので」
そう言ってニコニコ笑う白さんに僕はご飯を食べる手を止めた。急いで口の中のものを飲み込んで、僕は勢いよく白さんに確認した。
「それって、昨日見たあの街に出かけられるってことですか!?」
「うふふ。そうですよ。安心して下さい。同行者も一人つけますので、一人であの街に放り込む訳でもありませんから。今日は少しでも今の世界について学んできてくださいね。お仕事は明日からよろしくお願い致します」
白さんの言葉に僕は目を爛々と輝かせて、大きな声で元気よく返事をした。
「はい!」
僕はその後急いでご飯を食べたが、あまりの美味しさに何度もご飯をおかわりしてしまったのであった。
しかし、そんなことより、少し気になっている事がある。それは、白さんの見た目だ。Tシャツに白のパンツといったラフな恰好。昨日はあんなに綺麗な恰好だったのに、今日はまるで家にいる僕だ。
長い髪をポニーテールにしてる白さんは、正直めちゃくちゃ可愛いし綺麗だ。でも、なんだろう――そのTシャツは。胸元には以心伝心と漢字で大きく書かれている。なんだ、このクソダサTシャツは。
僕が白さんのシャツを凝視しているのに気付いた白さんは、自分の着ているシャツを引っ張って強調させた。
「あぁ、このTシャツですか? 今の流行ってるんですよ」
流行ってる…? そのクソダサTシャツが? どこで? 誰に? 家族の中で? それとも世界的に?
あまりに独自なスタイルに僕の頭は失礼な疑問でいっぱいになった。
しかし、それは口には出さないことにした。本人気に入ってるみたいだし。
「ふふ、良いでしょう?」
人の感性とはわからないものだ。
「すいません、お昼はもう過ぎてしまったので、ご飯は先にいただいたんですよ。残り物で悪いですけど、良かったらそこから好きなおかずをどうぞお召し上がりください」
白さんはそう言って、炊飯器から真っ白なご飯をよそってくれて、白米の入った茶碗を僕に差し出した。
「とんでもないです! こちらこそ、お世話になってる身なのに、こんな時間まで寝てしまって…。昨日何でもしますと言った傍からこんな体たらくですいません…」
申し訳なさから僕は肩を竦め、白さんに謝罪した。昨日のあんなに張り切って啖呵を切ったのに、まさかの昼過ぎまで寝るなんて。白さんに何か言われても仕方ないレベルだ。
「いえいえ、良いんですよ。だって、昨日は色々あり過ぎて頭も体も疲れていたでしょうし。それに、今日はまだお仕事をお任せするつもりはないので、ゆっくり体調を整えてください」
そう言いながら、僕にお箸をくれる白さん。しかし、白さんの言葉に僕は引っかかった。今日はまだ何もしなくて良いという事だろうか。僕は、頭にクエスチョンマークを浮かべながら、ご飯を口に頬張り首を傾げた。
「あ、うま」
白米めっちゃ美味い。
「ふふ。お口に合ったようで何よりです。えっと、今日はですね、貴方の身の回りのものを買い揃えに町まで下りて欲しいんです。ほら、服とか家具とか、何も無いと不便でしょう? もちろん、私たちが適当に創り出しても良いんですけど、私たちが勝手にあれこれ創るより、自分の目で見た方が良いと思って。それに、山上さん、テラにすごく興味を持たれていたみたいなので」
そう言ってニコニコ笑う白さんに僕はご飯を食べる手を止めた。急いで口の中のものを飲み込んで、僕は勢いよく白さんに確認した。
「それって、昨日見たあの街に出かけられるってことですか!?」
「うふふ。そうですよ。安心して下さい。同行者も一人つけますので、一人であの街に放り込む訳でもありませんから。今日は少しでも今の世界について学んできてくださいね。お仕事は明日からよろしくお願い致します」
白さんの言葉に僕は目を爛々と輝かせて、大きな声で元気よく返事をした。
「はい!」
僕はその後急いでご飯を食べたが、あまりの美味しさに何度もご飯をおかわりしてしまったのであった。
しかし、そんなことより、少し気になっている事がある。それは、白さんの見た目だ。Tシャツに白のパンツといったラフな恰好。昨日はあんなに綺麗な恰好だったのに、今日はまるで家にいる僕だ。
長い髪をポニーテールにしてる白さんは、正直めちゃくちゃ可愛いし綺麗だ。でも、なんだろう――そのTシャツは。胸元には以心伝心と漢字で大きく書かれている。なんだ、このクソダサTシャツは。
僕が白さんのシャツを凝視しているのに気付いた白さんは、自分の着ているシャツを引っ張って強調させた。
「あぁ、このTシャツですか? 今の流行ってるんですよ」
流行ってる…? そのクソダサTシャツが? どこで? 誰に? 家族の中で? それとも世界的に?
あまりに独自なスタイルに僕の頭は失礼な疑問でいっぱいになった。
しかし、それは口には出さないことにした。本人気に入ってるみたいだし。
「ふふ、良いでしょう?」
人の感性とはわからないものだ。
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