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教皇目線、王子目線

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教皇目線

「しかし、教皇様、平民女を辺境送りにして本当によかったのでしょうか。」

そういって確認する司祭。

「たしかに、あの平民女がいなくなる分、今までより聖域を維持する人員を要するだろう。

 しかし、考えてみた前、我々は王子の要請で、断腸の思いで決断したのだ。

 現聖女から力なき女に代替わりさせるなど、どれほど問題があるか。

 我々も王子を説得したが、説得できなかった。

 そうだな。」

そう、王子が強行したから我々はしかたなく受け入れたのだ。

今の聖女がやっていた仕事を肩代わりさせるための人材も必要となるため、今までの費用では足りぬ。
王家には今の2倍を寄進してもらうように突きつけてやろう。

なに、高すぎると文句を言うならば、聖域を弱めればよいだけだ。

痛い目をみれば我らを頼るしかないとわかるであろう。

なにせ我らは平民女をクビにするのには反対したのだからな。
民に犠牲がでるのは王家の責任だ。

そして、突然、聖女がいなくなったので、聖域が弱まるのも仕方のないこと。

教会はなんら責任はないことになる。

「寄進は2倍どころか3倍でよいかもしれんな。3倍と伝えておいて、とりあえず2倍の寄進をもらったところで我らの誠意で聖域をある程度まで増強する」

そうだな、2倍など弱気だったかもしれん。
もっともっと搾り取れるだろう。

そんなことを思っていると一人の司祭が疑問を呈する。
「ですが、もともと聖女がいなくても問題がない体制を維持できるだけの人員も確保しておりますし、それだけの寄進の増額を求めるのは無茶ではないでしょうか。」

まったく、分かっていない奴らだ。

「良いか。聖女がいないときと、いるときで寄進額は変わらない。
 そんなことはどうでも良いのだ。
 我らは王家の手によって苦労をさせられることになっているのだ。
 そのためにお詫びとして寄進を増やすのは当然であろう。」

納得しきれぬ顔をして、さきほどの司祭は引き下がった。

いまこそ王家に対して有利に立つところではないか。
まったく、わかっておらん連中が多すぎる。

はやくモンスターが都市を襲い民に犠牲がでないものか。
そこから我ら教会の権威が王家を超えるきっかけとなる。


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王子目線

「教会から寄進の増額を求められているだと?」

いまいましい平民女を追放して良い気分だったというのに下らないことで煩わせる。

平民女が辺境に行ったことで聖域を維持する人員が不足するとか言っているらしい。
あんな平民女がひとりいなくなったからといって、そんなことがあるわけがないだろう。

どうせ寄進欲しさに言っているに過ぎない。

「寄進の増額など不要。平民女一人分など、いまいる神官たちで十分まかなえるものだと伝えて帰らせろ。」

平民女どころか、教会そのものが無能の集まりではないか。
いや、怠惰と強欲のものの集まりといったほうが良いかもしれないな。

あいつらのことだから、そのままサボって聖域が弱まることも考えられるな。

辺境に兵を送っていないので王都に駐留している兵はかなりの数になっている。
「よし、周辺都市含めて聖域に問題がないか見回りを強化しろ。」

教会の奴らがサボっている証拠を見つけたら、むしろ寄進を減らしてやる。

そもそも、力もないのに聖女にできるのだから、聖域などと行っても対して力がなくてもできるのだろう。
それを教会の連中は大げさにいっているに違いない。

むしろ聖域が弱くなって民に犠牲がでたほうが教会を弾劾できて良いな。

無能な教会の聖域が弱まりモンスターに犠牲がでたところで、私が手配した部隊が民を救うことになる。

民を考える素晴らしい王子と美談になるに違いない。

ああ、はやく民に犠牲がでないものか。
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