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第3章 少年期 学園編
216話 “神力“ 第三者 視点
しおりを挟む“フィズィ“が剣の力を解放し、アメトリンが“神力“を全身に纏った時、周囲にいた大人達は・・・・
第三者 視点
サフィアス王「な、なんて事だ、あの剣にあんな能力があったとは・・・それに、アメトリンのあの姿はどういう事だ?強力な神々の力を感じる・・・」
アイオラト&シトリス「「アトリー・・・」」
結界内で行われている戦いに手も足も出せない状態にされてしまった大人達は、ただこの状況を見守ることしかできずにいた。結界内で邪悪な力と神聖な力がぶつかり合い強風が吹き荒れている事はわかるが、その力を発している当人達に何の変化が起こっているかは誰も分からなかった。
大司教「あ、あれは、“神力“ではないでしょうか・・・」
サフィアス王「“神力“?」
大司教「はい、“フィズィ“と言う者の力は計りかねますが、アメトリン様の纏っておられるお力は神々がお使いになられるお力、“神力“ではないかと・・・」
礼拝堂の入り口付近に避難していた大司教が、新たに礼拝堂奥に張られた結界の力の変化を見て様子を伺いにきていた。そして、アメトリンの纏う力を一眼で理解した。
サフィアス王「・・・そうか、アレが、“神力のオーラ“と言うものか・・・」
大司教「はい、私は以前にリトス教本部の礼拝堂にて、聖女様が神々に選ばれる瞬間を目にした事がございます。その時に神々が聖女様とお認めになられた方に、お力をお授けになられた時の光と全く同じ光をアメトリン様は放っておられます」
ザワッ!! 「聖女認定の奇跡と同じ力!?」「“神力“・・・」「神々と同等の力を・・・」「奇跡だ・・・」
大司教の言葉にすぐに理解を示したサフィアス王、彼は王子時代の教育過程で見た文献の一説を思い出していた。
・・・“神々の認めし者、現れる時、虹色の強い輝きを放ち、全てを照らせし“神の代行者“となりけり“・・・
*後にこの力の事を“神力“と呼ぶ事を神々は当時の神託の聖者に伝えて、その名称が定着した。そして虹色に光り輝く様を数代前の“勇者“が“虹色のオーラを放っていると“言った事で、この虹色に輝く状態の現象を“神力のオーラ“と称されるようになったとか、ならなかったとか・・・*諸説あります*・・・
文献にあった“神力“に関する文章が今のアメトリンの状態に当てはまっていると、すぐに気がついたのだった。また、大司教が続けた言葉の声には、自身が以前に見た風景は間違いなく強く脳裏に焼きついており、それを見間違う事はないと確信に満ちていた、だから誰もがその言葉を疑わなかった。そして全員が今起こっている光景が歴史的に類を見ない、奇跡の光景だと分かり、本人は望んではいないであろうがこれでアメトリンの名は更に世界中に知られる事になった・・・
そんな、話題で周囲がざわめいている時に結界内で睨み合っていた2人に動きが生じた。
フィズィ「っ!?お前ぇっ!!!」ダンッ!
「「「「「アトリー!」」」」」「「「!!」」」
サフィアス王「!、大司教、あの瞳はどういう事か分かるか?」
大司教「い、いえ、あの瞳のように輝く力は見た事はありません、“神託の奇跡“とも違った力である事は分かりますが・・・」
2人が力を纏った時、互いの隙を伺うように少しの間、睨み合っていたのだが、急にアメトリンの瞳が色合いはそのままに淡く光っていたのだった。その時、“フィズィ“が焦ったように動き出し、アメトリンに斬りかかっていった。
アメトリン「ふふっ、そうか、“お前“、やっぱり自分で気づいてなかったんだねっ!」
ドッゴンッ!!
何かに焦りを覚えて慌てている“フィズィ“を見て、微笑むアメトリンの表情は何もかもを見透かしたようだった。その瞳に映るモノの全てを暴くような力を感じた周囲の大人達はアメトリンに畏怖の念を覚え、何も発せなくなっていた。
アイオラト「アトリーの瞳にはやはり他にも力があったのか・・・」
自分の子であるアメトリンが生まれてからずっと思っていた瞳に関した力の違和感を、今やっとわかった気がしたアイオラトはどこかホッとした表情をしていた。
アイオラト(前々からアトリーの瞳に複数の力が宿っているのは知っていたが、今回は“鑑定“や“魔力視“、いや、今は“真眼“か、この2つのどちらでもない力なのか?瞳に影響が出る“探究“や“神託“スキルでもなさそうだ。だが、やはり、あの子の瞳は色合いだけではなく、何か特殊な力を宿しているのだろうな。それをまだ私達には教えれないと判断させているのが少々悲しくはあるが、今のあの“神力“を使った状態がアトリーの体の負担にならないのかが心配だ・・・)
アメトリンの瞳の秘密は、様々なスキルや特性などが入り混じった結果生まれた珍しい瞳の色合いであって。その様々なスキルを“神力“を使い発動したために光ったものが、全く別物の力と勘違いするのも仕方のない事だったが、そのことを知らないアイオラトは少し寂しい思いをしつつも、やはり、何よりも息子の体が心配だったのは“親バカ“と言われても仕方ないところだろう・・・・
*一つ付け加えるなら、アメトリンは“情報開示“をただの“鑑定“スキルと偽っているが、その“鑑定“と“情報開示“の能力は明確な性能の差があり、“鑑定“ではありえないほどの性能を持つ“情報開示“のスキルの存在がアイオラトの違和感の正体だったりする。
そして、アメトリンの瞳が淡く光り出した瞬間・・・・
アメトリン 視点
(お?やっぱり・・・・)
思いついた事を賛成してもらえた僕は即実行に移した、すると・・・・
=================
+ステータス+
+名前+ トルペ・ズューウス
+性別+ 男性
~~~~~~~~~~~~~
+称号+ 愛し子に叱られた愚か者
王族籍を剥奪されし者
マルモーヴェ教の生贄
+備考+ マルモーヴェ教の神体[異世界のげん#?&の蛇神✖︎+*○$△]が憑依中
==================
ここ最近、あちらこちらで起こった呪詛事件で使われていた呪詛媒体の製造販売には、マルモーヴェ教が関わっている事は分かっていたが、その呪詛媒体の装飾品のモデルと思われる“蛇神“の詳細な情報は、僕の“情報開示“でも読み取る事はできずにいた。なので、“アイツ“が本当に“蛇の神“なのかさえ分かっていなかったのだ。だから今回、“アイツ“自身を神々の力である“神力“を使って“情報開示“で見たことで、予想した通り、呪詛事件を起こしていた“マルモーヴェ教“が祀る“蛇神“が“アイツ“本人であることが確認できた。
(と、言うことは、アイツの本体は“蛇“の姿をした神で、“神の名“の最初に“げん“?がつくのか、他は文字が記号に変わっていて隠蔽されているな、もっと集中して“見れば“他にも分かるかも・・・)
フィズィ「っ!?お前ぇっ!!!」ダンッ!
もっと深く、情報を探ろうとした瞬間、“アイツ“はその事に気づき、焦った様子で僕に斬り掛かって来た。
「ふふっ、そうか、“お前“、やっぱり自分で気づいてなかったんだねっ!」(この世界のシステムの中に自ら入り込んできている事にさ!)
ドッゴンッ!!
(自分がこの世界の神様達より高位な神格を持った“神“であった事を鼻にかけて、この世界のシステムを侮り外から自分の身の安全を確保しながら、ちまちまちまちまと、ちょっかいかけて来てた割には、自分の手で僕を殺すために、わざわざ人の身体を乗っ取ってここまで来て、やっと自分がしたミスに気づくなんて間抜けにも程がある・・・)
自分が上位者である事にあぐらをかき、ティーナちゃん達を下に見ているくせに、自分の世界と、この世界の仕組みの違いをよく知ろうともせず、舐めていた結果、今、僕に足元をすくわれ、焦りで先ほどより早い速度で突っ込んできた“アイツ“の剣を、僕は素早くかわし、かわしざまに腹に一発、僕の“本気“の拳を喰らわせた。
フィズィ「ぅごっ!」
“アイツ“は僕がまた蹴り技で返してくると思って構えていたのだろうが、その予想を見事に打ち砕き、なんの予備動作も無しに鳩尾を拳で打ち上げたのだ。
バキッンッ!
フィズィ「ぐぅっ!!」
そして、その流れで“アイツ“の顔を膝蹴りすると同時に、無防備になった背中にプロレス技の“ダブルストレッジハンマー“を叩き込み、骨が折れるんでは無いかと言うぐらいに、背骨や頸椎に大ダメージを入れる。それから僕は“アイツ“に反撃の隙すら与える事なく、連続コンボを繰り出す事にした。
ゴスッ!ゴキッンッ!!カンッ!カラカランッ!ドコッ!ドガッ!バキッ!!ドドドドドドドドドドドドッ!ドゴッ!!
(オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!止めに昇○拳っ!!なっちゃって♪(〃ω〃)/)
まるで前世でのアーケードゲーム機の“ストリート○ァイター“のキャラクターのような、蹴り技や殴打のラッシュを交えて見事な蓮撃コンボを決めてやった、その蓮撃の最中に剣を握る手を上から殴り付け、剣を握れなくして、落ちた剣はさりげなく蹴ってすぐには手の届かない場所まで飛ばした。
ヒューッ ドコンッ!
フィズィ「うぐっ!!」
最後に決めた“昇○拳“で宙に舞った“アイツ“は、黒い霧から作り出した鎧の全体がメッコメコになった状態で落ちてきて、自分の身に何が起こったのか分からないような表情のまま仰向けに床にぶつかり、背中を強打し身動きができないのか、荒い呼吸をしながら呆然としていた。
(“コイツ“、ほとんど鍛えられていない子供の体を乗っ取って、僕に対して勝負を挑んで勝てるとでも思ってるのかね?僕の背後をとった“隠蔽の技“は凄かったんだけど、それだけって感じだし、僕の身体能力の高さを舐め過ぎだよ・・・)
「ふぅーーーーっ…、・・・はぁ~~っ、久しぶりに魔法も武器も使わず体術だけで“本気“を出せたよ、スッキリした♪」
互いの身体能力の差を正確に把握できてない事に呆れつつも、“アイツ“をボッコボコにした後、呼吸を整えるためにも深く息を吐き出し、気持ちを切り替え、スッキリとした気分で笑った。
天華『それは良かったです・・・』
夜月『ふむ、意外と強度が高かったな、あの鎧・・・』
ジュール『でも、ボッコボコだよ?動かないし・・・』
「あの鎧、殴った感触が金属と革鎧の間みたいな感触がしてたから、割れはしないけど凹みはするみたいだよ。おかげで鎧を粉砕させずにボコれたよ♫鎧はボコボコだけど、中身は多分、骨は折れてはないと思うよ。ただ全身打撲で痛くて動けないんじゃないかな?」
僕のコンボが終わり、“アイツ“も動けない事を確認したジュール達が、テコテコと僕に近寄って来て横まで来た。その後ろをソルが僕が預けた上着や“杖“と倒れた時に落ちていた“サークレット“を拾って、大事そうに持って来てくれていた。
ソル「アトリー様の“本気“の打撃を受けて、全身打撲だけで済んでいるとは、信じられませんね。鎧を着用していても全身複雑骨折していてもおかしくないんですけど…、あのまま放置なさっていてもよろしいのですか?」
「あ、ソル、うーん、そうだねぇ、そろそろご退場頂こうかな?・・・ソル、預けた“杖“返して貰っていいかな?」
ソル「はい、どうぞ、アトリー様」
「あありがとう、ソル」
ソルが驚きながら“アイツ“の評価をして聞いてきた質問に、僕は仰向けで倒れて動かなくなっている“アイツ“を見ながら少し考えた後、そろそろ、ボコるのも、もう良いかなと思って、ソルに預けていた“杖“を使って最後の仕上げをすることにした。そして、恭しくソルが差し出してきた“杖“をお礼を言いながら受け取った。
「じゃあ、仕上げといきましょうか、覚悟はいいかな?“フィズィ“?いや、“げん“?・・・“幻影“?“幻想“?“原始“?“原初“?「な、なんの事だ?・・・」・・・ふっ、“お前“の名前の事だよ、“原初の蛇神“?」
フィズィ「っ!!!」ガバッ!
受け取った“杖“を持ち、仰向けに倒れている“アイツ“の側までいき、思いついた“げん“から始まる神様にありそうな言葉を並べた。その途中で、言葉を挟んだ“アイツ“の表情を見て僕は、(分かりやす過ぎだろう“コイツ“・・・)と思いながら笑顔を深め、“アイツ“の名前の頭を“原初“だと確信して、“アイツ“を“原初の蛇神“と呼んだ、その瞬間“アイツ“は今までにない焦りと驚きの表情を見せ、必死に体を動かし逃げようとした。
「逃がさないよ。“神器解放“・・・・」
リィーーーーンッ!! ブワァッ!!
逃げ出そうとした“アイツ“を僕は逃すつもりはないので、ティーナちゃんに教えられていた“杖の神器“の使い方通り、杖の頭の先端に手を置き、トリガーになる言葉と同時に借りた“神力“を注いだ。すると高く済んだ鈴の音が“杖の神器“から鳴り、濃密な“神力“が溢れ出した。そして、“杖の神器“の頭が形を変え出し、頭飾りがサーベルの柄のような形に変化した。
チャキッ!スラッ
ソル「刀?・・・・」
僕は形が変化した“杖の神器“の柄を握り、また“神力“を注ぎながら、“杖“から柄を引き抜いた。すると、柄はなんの抵抗もなく引き抜かれていき、その柄の先には真っ白な輝きを放つ刀身が抜き出てきた。だがその刀身は杖の形と真全く関係ない、少し反りがかった刀の形をしていた。
「へー、“僕の望む形となる…ね“・・・確かに、この形の方が僕は使いやすいからそうなったのか・・・」
この“杖の神器“の使い方をレクチャーされた時にティーナちゃんが言っていた事を思い出し、出てきた美しい刀身に見惚れた。この刀身は実際に存在するのではなく、“神力“で形をなしている。“杖“の頭が柄に変化した時にこの“神器“の役割は“儀式の杖“ではなく、“神力“を増幅させ使用者の思い描く刀身を作り出す事が役割となるのだった。
フィズィ「な、なんでそんな物が!?」ズリズリッ
光り輝く刀に怯えるように座り込んだまま後ずさりする“アイツ“に僕は・・・
「事前に準備していたに決まっているじゃないか・・・“原初の蛇神“、お前は今からこの世界から退場してもらうよ。さようなら・・・」
僕はさらに“神力“を高め、構えた剣に注いでいく。
バチッ!バチバチッ!
僕の得意な属性魔法に反応したのか“神器“は電気をも纏い始めた。
フィズィ「や、やめろっ!!来るなっ!」ズリズリッ
コッ コッ コッ
“神器“の纏う“神力“と“電力“のコンボが恐ろしいのか、後ずさりをやめない“アイツ“を僕はゆっくり追い詰めるように近づいていく。
「覚悟しなよ。自分がやって来た罪を考えたら妥当な処分だろう?それに僕はお前を許したわけじゃないんだからね。この世界から退場したとしても、お前の事は神々があらゆる方法で追い詰めて消滅させると約束してくれた。だから、お前の刑罰はまだここからが始まりだ・・・」
ブワァッ!!バチバチバチッ!! ヒュッ!!
“アイツ“がこれ以上逃げられない壁際まで追い詰め、僕はさらに“神力“を注ぎ込み、“神器の刃“を上段に構え振り下ろした。
フィズィ「くっそっ!!!」ガシッ!
ビュッ!!
「っ!?」 バッ!ザンッ!!
ガシャーンッ!!
「何っ!?」
フィズィ「我は、我は、諦めんぞ、いつかまた、お前をこの手に・・・・・」ドサッ!
「チッ!逃げられたかっ!!」
“アイツ“は最後の足掻きとばかりに僕に投げ付けて来たのは、僕に蹴り飛ばされて壁際に落ちていた自分の剣だった。僕は咄嗟に横に避けて、“アイツ“を横から切ったのだが、後ろの方で天華達が張った結界が破られた音がして、どういう事だと思った時、“アイツ“は余裕そうな仄暗い笑顔で諦めの悪い言葉を吐き倒れた。すると、僕はすぐに“アイツ“がこの場から逃走したというのが不思議と分かった。
アトリーが全力で“神力“を“神器“に注いでいた時・・・・
・・・どこか遠い世界・・・・
?「・・・この感じ、これは・・・・」
誰かが何かに気づいた・・・・
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