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第3章 少年期 学園編
127話 素材の行末は?
しおりを挟むソル「その方の“巻き糸“の使用方法にまで興味が出てきたと・・・それで、何が・・・・、まさか!」
「そう♪直接交渉したらその答えを教えてくれるかな?あの子♪だから、話しかけて見てもいい?」
ソル「っ・・・、はぁ~~っ」
ソルが直感で僕が言いたい事が分かり驚いた顔をしたが、僕はにっこり笑顔で素直に自分でしたい事を話すと、ソルは眉間に軽く寄せたあと、深くため息を吐いた。
「だめ?」コテンッ
ソル「っ・・・・・、旦那様がお許しになったのなら僕は止めません・・・」
「本当?やった!じゃあ父様に話してくるね♪」
僕はソルの言葉を聞き、早速父様に話をしに行った。
アトリーがその場を離れた後・・・
ヘティ「ふふっ、今日はソル様が負けてしまいましたね?」
ベイサン「いつもなら、止めているところだろ?」
イネオス「ふふっ、今日はいつも以上にお願いの圧が強かったですね?」
アトリーのお願いに根負けして項垂れているソルドアに、先程のやり取りを近くで見ていた3人がソルドアを揶揄うように話しかけてきた。
ソルドア「ヘティ、ベイサン、イネオス、揶揄うのはやめてくれ、あのお願い攻撃を耐えるのは一苦労なんだ。今日みたいにほぼ身内だけの時はご自分の容姿の事を忘れているから、不用意にあんな表情をなさるんだ、それを不意打ちで見せられる方の身になって欲しいな」
ヘティ「まぁ、今日はお父君であられる公爵様がご一緒ですし、いつもより気が和らいでおいでのようでしたから、とても無邪気な表情でしたものね」
ベイサン「僕はあれに耐えれる自信は無いなぁ、それにダンジョンに行くって決まった時からずっとご機嫌な様子だったしな」
ソルドア「ふふっ、あぁ、今日も朝からずっとニコニコ笑ってらして、とてもご機嫌でしたよ」
ヘティ達の話に少し思い出し笑いしながら返事を返す。
イネオス「しかし、アトリー様はあの女の子にとても興味を示しておいでのようですね?何がそんなに気になられたんでしょうか?」
ソルドア「それは、単純にあの女の子が“シルクスパイダーの巻き糸“で、何作るのかが気になったでしょう、それとあの女の子の自身が気になったんじゃ無いかな?」
ヘティ「あら?女の子の自身?ですか?少し見た感じ、私達より少し下の年齢の女の子で、体に合ってないお古の洋服を着ている一般市民の方のようですが・・・、よく町で見かける感じの女の子ですよね?」
ベイサン「うーん、僕にもそう見えるけど・・・アトリー様はあの女の子の何処が気になったんだろうな?格好?年齢?それとも依頼の品?」
イネオス「ん?あれぐらいの女の子なら普通に街ではよく見るのはわかるけど、何故あの子はこんな所まで来てるんだろう?」
ヘティ&ベイサン「「!」」
ソルドア「そう、ここは城壁外にあるダンジョンの入り口、普通の家庭の子供なら幼い子供1人で来るような所じゃない、絶対に親が止めるか一緒に来るのが普通、でもあの子は保護者がいるようには見えない、多分そこが気になったんでしょうね」
イネオス「じゃあ、あの子が何か事情があってここまで来ているから、その事情が気になっている?と言うことか?」
ソルドア「多分・・・、後はギルド外での交渉事をして見たかったんでしょう」
アトリーの突拍子もない行動には、いつも何かしらの理由があると分かっている4人は、その行動の真意をいつも理解しようと、思考を巡らせ考察するのが日常になりつつある、最近ではソルドアが核心に近い所まで推測することができてはいるが、まだまだアトリーの頭の中の考え全ては理解できてはいない。
「うーん、惜しい!」
イネオス達「「「わっ!、アトリー様!」」」
ソル「アトリー様、旦那様の同意は得られましたか?」
父様に許可を撮った後、皆んなのいる所に戻っている最中に、ソルとイナオス達が僕のやりたい事を推測しているのを聞き、その考察を最後まで聞いて、彼らの背後から近づき驚かそうと急に声をかけた、だが、僕との間いある“感情共感“で、ある程度僕の位置が分かっているソルは、驚かなかった・・・(´ε` )チッ
「うん、父様から許可は取れたよ♪」
ソル「そうですか、それで、何処が惜しかったんですか?」
「ん?あぁ、ソルが言ってた交渉事がしたかったのは正解だけど、皆んなの話していた女の子についての推測は、もうちょっと踏み込めばあの女の子の事情に気づけたと思うよ?そうだね・・・まず、あの子は親がいないと思うんだよね」
ソル&イネオス達「「「「!」」」」
ヘティ「・・・ご両親がいらっしゃらないと?…アトリー様はどうしてお分かりになられたんですか?」
「うーん、彼女の身なりかな?、肌や髪とかは普通に綺麗なのに服装や靴があの子の大きさに合ってない、その上擦り切れている所もあり、古さが目立つ、ここまでなら少し経済的に貧しい家庭の子供だと思うだろうけど、あの子はまだ“祝福“を受けていない7歳以下だ、そんな子供を1人で城壁外にお使いに出すような親はいないからね、目も離したりはしないだろうし…、「「「「確かに・・・」」」」、て事は子供の面倒は見るけど、人数が多くて手が回らないか、子育てに不慣れな大人と暮らしているんだと思う、多分あの子は何処かの商家か孤児院、またはそれに類する施設に預けられた子供かなって、
あ、後、なんであの子が“祝福“を受けてないと分かったかは、あの子は服が汚れているのにそのままにしているからだよ、“祝福“を受けていたなら、生活魔法の“クリーン“ですぐに落ちるような汚れを放置する必要はないからね」(“情報開示スキル“でも確認したしね・・・)
ベイサン「じゃあ、あの子は親もいないのに、こんな所で“シルクスパイダーの巻き糸“なんて欲しがっているんだろう?」
「そう、そこが気になったんだよ、“シルクスパイダーの巻き糸“って一般市民からしたら、ややお高めの素材だよね?それで面倒を見ている大人の目を盗んでここまで来たのか、子供の安全を考えない大人のお使いできたかは不明なんだけど、その“お高めの素材“を危険を犯して手に入れに来た理由はなんでかな?って色々考えたら、その“シルクスパイダーの巻き糸“は多分、あの子自身が欲しくて、面倒を見ている大人の目を盗んでここに来たんだと思うんだ」
イネオス「あ!、必要数が少ないからですか?1個だけで、安いですし」
「そう、頼まれたならもっと量が多いと思うし、代金も適正な価格で取引すると思うんだよ、だからその1個で何をするのかな?って考えたけど答えが出なくて、それならあの子に直接聞いてみようと考えたんだ♪あ、でも、頼まれた可能性もあるから、それはそれでどう言う経緯でここに来たかが気になるけどね・・・」
ソル「それで・・・、要は裕福ではなさそうな場所で暮らしているあの女の子が、素材としてはやや高価な“シルクスパイダーの巻き糸“1個だけ手に入れてまで、何を作るのか気になったんですね?」
「そう言うこと!ふふっ、まぁ、実際にそんな事情なのかは分かんないけどね?」
僕の予想を話し終えると皆んなは納得して、自分達の考察が今一歩及ばなかったこと悔しがった、その時ジル叔父様は僕達のやり取りを見て顔を引き攣らせながら父様と話していた。
ジル叔父様「なぁ、ラト?、子供の謎解き遊びってこんなに高度な遊びだったか?俺はもっと分かりやすくて、可愛らしいものだと思ってたんだが?」
父様「・・・あの子達の推理力で普通の謎解き遊びをしたって大して面白くないんだろう、まぁ、今後、冒険者としての観察力や判断力を養うための、いい訓練になってるみたいだから良いじゃないかな?」
と、父様は苦笑いで会話しているのが聞こえてしまった。
(訓練ではないんだけどなぁ、皆んなは僕が何をしたいのか当てるってだけの、ゲーム的感覚でやってるんだから・・・( ´∀`)はははは・・・)
心の中で乾いた笑いをしつつ、件の女の子に怖がらせないように静かに近づいていった。
「え、なんか凄い美人のお貴族様がこっちに近づいてくるぞ⁉︎」「おい、なんかしたか?俺ら?」「え、依頼を受ける気なのかしら?」「お、俺か?」「いや、私でしょ?」
僕達がクエストボードの方に近づいていってると、僕達に気づいた他の依頼人達がざわざわと騒ぎ出した、目的の女の子自身は反対方向を向いておりこちらに気づいていないようだった。
(あ、そう言えば、これ、僕から近づいて行っても大丈夫な感じ?幼女に声を掛ける変態さん扱いされない?)
天華『アトリー、自分の今の年齢を思い出してください・・・』
(…あ!、僕10歳だった!なら平気だね!)
そう言うと、天華達から呆れた顔で見られました・・・
(まあ良いや、驚かさないように声をかけれれば良いよね?)
と、慎重に近づいていると女の子が周囲の反応を見て振り返った。
女の子「⁉︎・・・っ!・・・・・・」
僕を見た途端フリーズした。
「あ、固まっちゃった・・・大丈夫?君、「・・・・・・・・」・・・息してる?」
女の子の顔の前で手を振るが反応が返ってこない、あまりにも長くフリーズしているので、呼吸をしているのか心配になってきた。
ソル「アトリー様、少し近過ぎたのかもしれません、一歩下がってみてはどうですか?」
と、ソルに言われたので素直に一歩後ろに下がる。
「ん?そうかな?、・・・これぐらい?・・・おーい、君、大丈夫?」
(マジ息してない可能性が出てきたな、でも無闇に触ったりしたら駄目だろうからどうしよう?窒息死しちゃわない⁉︎)
一歩下がって声をかけてみたけど、返答がない、いよいよ呼吸してないかも知れないと焦っていると・・・
ヘティ「お嬢さん、ちゃんと息を吸って、気をしっかり持ってください、この方は貴女にお話があって声をかけているのですよ」
と、ヘティが優しく女の子の肩を揺すった。
女の子「・・・つ!ひゅっ!はぁっ!すぅー、はぁー・・・すぅ、はぁー・・・」
「だ、大丈夫そう?ヘティ?」
ヘティ「顔色は悪くなさそうですので問題はないかと」
「ほっ、良かった、うっかり僕のせいで窒息死させちゃう所だった・・・」
ソル「大丈夫ですよ、あんな風になっていても浅く呼吸はしていたみたいですから」
「そう?してた?」クイッ
(ちょっと、焦ってたから気づかなかったよ・・・あー、びっくりした・・・)
やっとまともな呼吸をした女の子に安堵しつつ、自分のせいで死者を出す所だったとぼやいていると、ソルが言うには浅く呼吸はしていたので心配ないと言うので、それに気づけなかった僕は顎に手を置き首を傾げた。
女の子「すぅーー、はぁ~~、・・・ご、ごめんなさい、大丈夫・です・・あ、あの、わたしにお話って?」
ちゃんと呼吸が整った女の子が恐る恐る僕達に要件を聞いてきた。
「あ、もう大丈夫そうかな?ちょっと僕が気になったから君にお話を聞きたくて、声を掛けたんだけど、良いかな?」
少し身長が低い女の子に視線を合わすために屈んで、怖がらせないように優しく話しかけた。
女の子「っ!・・・・・、は、はい・・・」
ソル「アトリー様、もう一歩下がった方が宜しいかと・・・」
「え?まだ近い?」
ソル「はい、お顔が近くなったので目のやり場にお困りだと思います」
「そうかな?」
ソルにまたそう言われたので女の子とその隣にいるヘティに確認してみると、ヘティが苦笑い気味に頷き、女の子は顔を真っ赤にして小刻みに頷いていた。
(むぅ、顔が良いのも良し悪しだな・・・、まともに会話ができないのはめんどくさい・・・(*´Д`*))
天華『まぁ、最初だけですよ、慣れたらそんな事はないでしょう?』
(うーん、そうだけどぉ~)
と、心中でぼやきながら言われた通りまた一歩下がった。
「これでいいかな?」
そう女の子に聞くと、まだ顔は赤いが静かに頷いてくれた。
「良かった、じゃあまず自己紹介からしようかな?僕はアメトリン・ノブル・デューキス、デューキス公爵家の子供だよ、君のお名前は?」
女の子「え、っと、わ、わたしの名前は、り、“リタ“です・・・」
顔を赤くしモジモジと手を動かしながら名前を教えてくれた。
「“リタちゃん“か、じゃあリタちゃん、僕は君が欲しがってる“シルクスパイダーの巻き糸“を持っているんだけど、取引してくれる?」
リタちゃん「え!200リトスで譲ってくれるの⁉︎」
「うん、譲るのは良いんだけど、君にちょっと聞きたい事があるんだ、良いかな?」
早速、本題を切り出した僕に驚き、期待した目で聞き返してくるリタちゃんに僕は本当の目的を話すと。
リタちゃん「?、聞きたいこと?な、何かな?」
(ふふっ、可愛いなぁ、小さい子の考える仕草は異世界共通なのかね?)
頭に?マークを浮かべながら首を傾げ考える姿を見て微笑ましく見た。
「ふふっ、そんなに難しい事じゃないんだけど、君が欲しがってる子の“シルクスパイダーの巻き糸“を何に使うのかな?って思ってね?君の素材の使い道を教えてくれると嬉しんだけど、どうかな?教えてもらえるかな?」
リタちゃん「糸の使い道?」
「そう、糸の使い道、この糸はとても光沢のある細い糸だから、普通はこれで布を作ったりしてるんだけど、君はこの糸で何をするのかな?」
焦らさないようにもう一度ゆっくり聞き返した。
リタちゃん「えっとね、これは頼まれて冒険者さんにお願いしに来たの、だからね使い道はわかんないんだ」
「そうなんだ、・・・・じゃあ頼んできた人はどんな人かな?」
リタちゃん「わたしの住んでいる教会の孤児院に、いつもご飯を作りにきてくれるメアリーおばさん」
「メアリーさんか、リタちゃんは偉いね、いつもその人にこんな風にお使いを頼まれるのかな?」
「「「「「?」」」」」
周囲で僕達のやり取りを見守っている大人達は、僕の質問の意味がわからずに頭を捻っている、それでも僕はリタちゃんに質問を投げかける。
(さっきからやたら僕とリタちゃんに視線がくるな?・・・周囲にいる人じゃないな?こっそりこっちを見ている感じがする・・・それも複数・・・嫌な視線だな・・・)
夜月『威圧するか?』
(いや、今はいい、今僕達が注目を集めているのは確かだから、何の目的で僕らを見ているのか分からない視線に構ってられない・・・)
嫌な視線を感じた僕に夜月が反応したが、今はリタちゃんの話を聞くのが優先なので止めた、渋々引き下がった夜月を撫でて話を聞いた。
リタちゃん「うん♪たまに頼まれるの、この間は“コッコ鳥のもも肉“を頼まれたよ、ちゃんとお使い出来たらお菓子がもらえるの♪でもここまでくるのは初めてなの、だからね、お兄さん?が話しかけてくれた時とてもドキドキしてたんだ」
「そうなんだね、驚かせてごめんね、でも、リタちゃんはここに来るまではどうやって来たのかな?」
(なんで“お兄さん?“って“?マーク“がついたかな?・・・まぁ、いい、でもこの質問の答え次第ではジル叔父様が忙しくなるやつだな)
リタちゃん「ここに来るのはねメアリーおばさんが教えてくれた方法できたよ」
「凄いね、教えてもらった通りに来れたんだね、じゃあ大きな門はどうやって通ってきたの?覚えてる?」
リタちゃん「覚えてるよ!大きな門はね門番さんに、“薬草取りのお手伝いに来ました“って言ったら通して貰えたよ、それからね道を真っ直ぐ進んだらここにこれたの♪」
自慢げに語るリタちゃんはそれはもう可愛いのだが、その答えで1つ嫌な予感が的中した。
(これは・・・やっぱり予感が的中したな・・・、“祝福“前の子供を嘘をつかせてまでダンジョンにお使いにやるなんて普通じゃない、この街の未成年の子供達がお小遣い目当ての薬草取りをしているのを知ってて、外門を通るのに利用するなんてなんて用意周到なんだ、子供が自主的に門の外に出ても不審に思わない方法を熟知しているな・・・他にもルートはありそうだけど・・・この子だけがターゲットなのか?それとも複数のターゲットの内の一つだったのか・・・それも確認しなきゃいけないか・・・)
「そっか、全部覚えてて偉いね、このお使いはリタちゃんだけいつも頼まれるのかな?他のお友達も一緒に頼まれたりしないの?」
僕の質問の意図がどんどん読めてきた大人達は、後ろの方で何やら動き出した。
リタちゃん「?わたし1人だけの時もあるし、何人かで別々に頼まれることがあるよ?わたしの前によく頼まれてた子は孤児院から居なくなっちゃったから、今はわたしがよく行くよ」
「そうなんだ、大変だね、その前によく頼まれていた子は何処にいったんだろうね?」
リタちゃん「うーん、分かんない、急に居なくなったから、でも多分、一緒に暮らしてくれる人が連れて行ったんだよ。たまに孤児院に知らない大人が神官様と来て、私達を見て一緒に暮らすからって連れていっちゃうんだ・・・」
と、少し寂しそうに語るリタちゃん。
(うーん、それは正式に孤児院から引き取っていく場合だろうな・・・これじゃあまだ確証は得られないな・・・でも、急にいなくなるってのは、どう言う風にいなくなるかにもよるな・・・)
リタちゃんの答えに子供の不審な失踪がありそうだと思い、また1つ確証が欲しくて質問を続ける。
「そうか、その子も神官様と来た大人に連れて行かれたのかな?」
リタちゃん「・・・・うーん、わたしは見てないよ、他の子は見たかも?あ、でもその子じゃないけど皆んなが見てない時があったよ、神官様が慌ててた時があるから、でもね後で一緒に暮らす人が見つかったって教えてくれたよ」
(子供が消えて最初は教会の神官が慌てていたか・・・後々、一緒に暮らす人ができたと言ったのは、子供達を不安にさせないためについた嘘かな?教会の神官は白に近くはなったけど、リタちゃんをお使いに出した、“メアリーおばさん“とやらのグルかはもっと調べないと分かんないか・・・)
「・・・そっか、色々教えてくれて有り難うリタちゃん、道も迷わずにお使いができるなんて偉いね…、あ、そうだ、はい、約束の“シルクスパイダーの巻き糸“だよ、1個で良かったんだよね?」
リタちゃん「わぁ、お兄さん?有り難う!はい、代金の200リトスです!」
「はい、ちょうど頂きました、お使いご苦労様♪」
リタちゃん「うふふっ」
聞きたいことを聴き終わった僕はリタちゃんに近づいて、約束の“巻き糸“と代金を交換して、取引を終わらせ、嬉しそうに“巻き糸“を抱えるリタちゃんの頭を優しく撫でた。
(また、お兄さんに?付けられたけど、まぁ、良いか・・・、さてと、これで気になった事は大体分かったけど、孤児誘拐事件があるかもしれない事も分かっちゃったな・・・さっきまで隠れたままこちらを見ていた怪しい連中が、気配を押し殺してこの場から移動し出したな・・・これは“確定“か・・・リタちゃんみたいな純粋で素直な子供を食い物にしている大人達がいるとは・・・許せないね・・・潰すか・・・)
リタちゃんには悟らせないように答えた笑顔の裏では、その犯罪組織に対して怒りの感情を秘め、そいつらをどうしてくれようかと画策する僕だった・・・
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