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第3章 少年期 学園編
125話 拒絶 第三者 視点
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第三者 視点
「・・・・そうですね、側にいたくないと言われて仕舞えばそれまでです、その時は彼女らの好きするように僕は言っています、ですがっ・・・・、はぁ・・・、これは出来れば言いたくはなかったのですが、彼女達は、僕を守る為に神々が直接その手でお創りになられた聖獣なのです、言わば“僕の為に生まれた聖獣“なのです、“そう言って“神々が授けて下さった彼女達をあなた方の一存でどうこう出来るものではない」
全員「「「「「!!?」」」」」
「な、何⁉︎たった1人の人族の為に聖獣様を三体もお創りになっただと⁉︎」「神々は、な、何故そんな高待遇をなさっているのだ⁉︎」「ただの“加護持ち“では無いのか⁉︎」「確かにやく150年ぶりの“主神の加護持ち“だとしても、待遇が良すぎるのではないか⁉︎」「それに今は“勇者候補達“もいるではないか、だが彼らにはそんな措置はされてなかったはずだ!」
アイオラト「アトリー・・・・」(“そう言って神々が授けて下さった“か・・・・、聖獣様方は以前からアトリーの為にと言っておられたから驚きはしないが・・・
やはり、アトリーは神々と直接語らうことができるのだな・・・、いつどの様にと、問い詰めたい思いがあるが、それをするとアトリーは私に心を閉ざしてしまいそうで怖いな・・・・・、
アトリーしか聖獣様方の意思を伝える事ができないとしているから、獣人達の対話を任せてはみたが、あそこまで人の話を聞かないとは・・・しかし、確かに獣人達が言うようにアトリーへの神々の待遇は異例中の異例、最初に聖獣様方がアトリーのために生まれたの聞いて、今までの“主神様の加護持ち“の記録を探った中で、アトリーのように聖獣を授かるほど神々が気遣う様な記録はなかった・・・、異例中の異例を作る程、アトリーの何が神々をこうも惹きつけているのだろうか…、そして、あの子は私に、いや、私達に何かを隠しているのだろうか・・・、いつかあの子が私達に全てを打ち明けてくれる時はくるのだろうか・・・・・)
アトリーの父アイオラトは自分の息子が言った言葉に深く考えさせられる事となった。
獣人王子「そ、そんな、それなら、なおのこと不憫だ!生まれてすぐにそんな自由を奪うような制約を交わされているなど、“奴隷“と変わらぬではないか!!」
「っ!」
ジュール「ガゥッ!!」夜月「ガァッ!!」天華「ギャウッ!!」
獣人王子「ひっぃ!!」
アトリー「・・・・“奴隷“か・・・、「がうぅ」うん、分かってるよ・・・、「ぎゃうぅ」そうだね、彼らは勘違いしているね、「がぅ」僕は気にしてない・・・、「きゅきゅぅ」うん、有り難う・・・」
ソルドア「アトリー様・・・」(また、アトリーを悲しませる奴らが出てくるなんて、今は聖獣様方が慰めてくださったから良かった、でも、こうなる前に手を打ちたかったな、先程まではアトリーに止めらたのもあるが、聖獣様方との問題だと思って我慢していた、だが、これまでの暴言の数々は許しはしない、相手が獣王国の王子でなかったら密かに排除できたのに・・・)
獣人王子のひどい発言を横で聞き、苛立ち感情を湧き上がらせているソルドアは、聖獣達に慰められているアトリーを見つめ少し安堵したが、彼は他にアトリーにひどい暴言を吐いた獣人達に、先程の苛立ちの感情を乗せ、密かに獣人達に対して威圧を放つ、その威圧を受けた獣人達が恐怖した目でソルドアを見つめていた。
ヘティ「ソル様やり過ぎですわ、するなら、誰にされたか気づかれないようになさった方が良いですわ、後々アトリー様にご迷惑が掛かったら大変ですもの」
ソルドアの威圧があからさまだと指摘してきたヘティ、だがそれもソルドアがしたと気づかれないなら止めはしないと言った、軽い注意だった。
ソルドア「あぁ、すまない、少し感情的になってしまったみたいだ・・・」
ヘティ「まぁ、かく言う私も少しばかり苛立ちは隠せませんでしたが・・・ふふっ」チラッ
そう言って視線をやった先にあったのは、先程までジュールに追いかけられていた獣人達が、何故か植物の根に足を絡ませて転がっていた姿だった。
ソルドア「・・・君はやる事が巧妙だね・・・」(あれは、最初にアトリーを睨んでいた獣人の従者だな、僕も自分で言えた口ではないが、いつもながらヘティはアトリーに失礼な態度をとった奴には容赦がないな)
ヘティはわざとダンジョンに生えている樹木の側から、自分の“木魔法“または“植物魔法“と呼ばれる魔法属性で作り出した木の根を、あたかも元々そこにありました、みたいな自然さで地面から飛び出させていた、それをあの獣人がジュールに追いかけられて樹木の横を通るタイミングで作り出していたのだった。
ヘティ「まぁ♪、お褒めいただき光栄ですわ♫」
笑顔で答えた彼女はアトリーの友人達の中で1番アトリーを尊敬している、だから、自分が尊敬するアトリーを侮辱する者達に容赦がない、それは自分の姉妹だとしても同じだった、マルキシオス領で起こったあの一件の後で、彼女は自分の姉達を言葉でコテンパンにのして、2度とアトリーの悪口を言わないように約束させたとか、その時、仲の良いヴィカウタ家とダンロン家、そして他の兄弟達が見ていると分かっていてやったそうだ、その様子を見た子供達は顔色を悪くし、自分達も2度とアトリーの悪口を言わないと誓ったとか、それを聞いた大人達は苦笑いしており、実の親達は少し引きながらも自分の子供の成長を喜んでいたとか・・・
ベイサン「ヘティ、やるならやるって言ってよ、機会を逃したじゃないか」
ヘティ「あら、ベイサン、乗り遅れた貴方が悪のよ、やりたいなら躊躇しちゃダメじゃない」
ベイサン「それはそうだけどぉ」
イネオス「こら、2人とも、向こうに聞こえたらどうするんだ、バレたら面倒なことになるだろ」
ヘティ&イネオス「「う…、はーい、分かったよ(わ)静かにしまーす」」
ソルドア「ふふっ、イネオス、大丈夫だ、彼らは今それどころじゃないだろう・・・・!、アトリー様⁉︎」
悪戯を企む感じの軽いノリで会話を交わしていると、ソルドアが敏感にアトリーの変化に気がつき、全員がアトリーの方に注目した。
「すぅ、『お前達は勘違いしている、私達は私達の意志でこの子の側にいるのだ、この子はお前達のように私達に側にいる事を強要した事など1度も無い、それに私達には生まれてから今まで、常に選ぶ自由はある、この子を守るにしても側で守ることも、離れて遠くから見守る事もできた、それこそ守ることを拒否し別の役目を受けることもできた、だが私達はこの子だからこそ、この役目を受け入れ、この子の為に側で共に暮らし守っているのだ・・・・、だから、そのお前達の傲慢な考えを私達に押し付けるな!』」
夜月はアトリーの左側で本来のサイズのまま凛とした佇まいで、堂々と言い放った、威圧も強めに放ちながら・・・
ソルドア「?、アトリー様の声じゃない・・・ヤヅキ様?・・・っ、アトリー様⁉︎」
ブルージル「・・・ひ、瞳の色が・・・ヤヅキ様と同じ“白銀“に輝いている?・・・・」
アイオラト「・・・ヤヅキ様がお話になられているのか?・・・あの瞳の色はどう言うことだ?・・・・アトリーは大丈夫なのか?」
アトリーの急な変化に戸惑い近づきたいが、聖獣である夜月の威厳ある態度と威圧で、全員がその場から動けなくなっていた、そして夜月の話が終わると、次はアトリーの肩に乗っている天華が、小さい姿のまま獣人王子の前に飛んで行って、体のサイズとは不似合いな強烈な威圧を放った、それと同時にアトリーが口を開いた。
「『確かに、私達はこの方のために創られましたが、なんの根拠も無くこの方を選んだわけではない!私達が生まれて初めて見たこの方の魂が、誰よりも美しく輝いていたから私達はこの方を守る役目を受け入れ、“名をつけて頂き“、より深く繋がったのです、その“絆“をお前達のような人の話を聞かない者達に否定される言われはない!お前達みたいな無礼者達には、早急に私達の目の前から消えていただきたい!』」
ヘティ「・・・女性の声・・・、テンカ様?・・・それに瞳の色が“白金“になっている?・・・」
この時、天華が何気なく言った“名をつけて頂き“と言った部分で、獣人達はひどく動揺した様子を見せた、聖獣に名を付けると言う行為は獣人族の中ではあり得ない行為だ、自分達が敬い崇める聖獣に恐れ多くも“名付ける“などとできないと、それに聖獣の多くはすでに“神々から名付けられ“顕現しているからだ、自分達が“名付ける“などと思いもしなかっただろう。
そして、“名付ける“と言った行為が何を意味するのか、獣人達が知らない訳ではない、ショウスデット獣王国にいる“獅子の聖獣“からその意味を教えて貰っていたのだ、聖獣に名を付けられるのは神々か、聖獣自身が自分達と同等だと認めた存在ではないと“名付け“を頼んだりしないと。
だから“アトリーは聖獣が認めた同等の存在“、自分達も敬うべき存在だと、その事に気づいた獣人達は膝から崩れるように座り込み、放心状態になっていた。
アイオラト「・・・やはり、聖獣様方がアトリーを通して、お言葉を発しているのか・・・瞳の色が変わったのは聖獣様方に体を預けている状態だからなのか?」(その事でアトリーの体に負担が掛かってないかが心配だが、聖獣様方がアトリーにそんな負担をかけることはないはずだ、それに今は見守ることしかできない、このアトリーを通しての聖獣様方からの直接のお言葉がなければ、あの獣人達はこの先もしつこくアトリーや聖獣様方を追いかけ回すだろうから・・・)
今の獣人達の様子を見て今後のことも考えた末、見守るしかないと判断した父、アイオラトの心配は尽きない、実際このような事がなければ獣人達の聖獣に対しての過度な信仰心を止めることはできなかっただろう。
ブルージル(あの瞳の変化はそう言う事だとしても、アトリーは自分の瞳の変化に気づいてない様だな、あの状態が何かの“スキル“の影響だとしても、またこれでアトリーを欲しがる勢力内でのアトリーの価値がまた膨れ上がったわけか・・・、聖獣の言葉を直接届けることができる子供、それだけであらゆる宗教がアトリーを欲しがるだろう、この力は“聖女や聖者“と似た物があるな・・・もしや“神託スキル“?・・・いや違うか?・・・なんにせよ、さらにアトリーの周りに気をつけなければならないな・・・王家の影騎士も警備につけるか?)
ブルージルが対外的なことを考えている間にジュールがアトリーの右脇腹に顔を擦り付けながら何か要求していた、数秒黙り込んだと思えば次はジュールが一歩前に出て刺す様な威圧を放ち、先程と同じようにアトリーが口を開くと、先程の声より幼い感じの女性の声がし、瞳の色は“鮮やかな青色“をしていた。
「『私もさっさと消えて欲しいと思うけど、先に言いたいことがある!〔お前達のように聖獣全てが獣人の祖先などと勘違いしている輩に、“神々が提示した任務を選択する権限を持たせた覚えなどない!“その烏滸がましい思考の根源たる教えを即刻改めよ!〕、それに私達はアトリーの“奴隷“なんかじゃない、アトリーは私達が生まれてからずっと友達や家族として扱ってきた!それを引き離そうとするお前達なんか大っ嫌いだ!!もう、話したくもない!“名前も教えたくもない!!“』」
ジュールが言った言葉はお前達は“聖獣が祖先だと“歪んだ思想を持ち、“神々のする事“にまで口に出し、お門違いな要求をしていると、断言された獣人達はショックを受け、泣きそうな表情をした、トドメに“名前すら教えたくないぐらい嫌いだ“、と言われ、出ていたケモ耳が下を向き盛大に落ち込んだのだった。
ベイサン「次はジュール様と同じ青色になってる・・・」
イネオス「本当だ、やはり全て聖獣様方のお言葉だったんだ・・・」
ふっ・・・「っ・・・」 ふらっ・・・
「「「「アトリー様⁉︎」」」」「「アトリー⁉︎」」
ジュールが自分の言いたいことを言い切ったその時、アトリーの力が急に抜け少しふらついたのを、近くで見ていたソルドアやイネオス達が真っ先に気づき駆け寄ろうとしたが、聖獣達が放った威圧の影響でその場から動けずにいた、だがアトリーは隣に寄り添っていた夜月に支えられ、その場で目を閉じしばらくすると立ち上がり、姿勢を正し再び目を開いた、すると、目の前に居るショック受けた獣人王子の表情まじまじと見ていた。
ブルージル(ほっ、倒れ込んだりはしなかったが、やはり、何かしらの負担があるのか・・・しかし、ショウスデット獣王国の王子一行が夏休みを利用して、うちの領地に来ていたのは知っていたがこんな事をしでかすとはな、予想外だったが・・・、これは他の国の良い牽制にもなるか?アトリーの新たな力の価値と共に、獣人達に向けた聖獣様達の強い意志も各国に伝わるようにすればいいか?誰がどう聞いても聖獣様達の言葉は“完全なる拒絶“だからな・・・)
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