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第3章 少年期 学園編
124話 獣人と聖獣2
しおりを挟むジュール『私、狼じゃないもん!それに聖獣でもないよ!あんなお肉とかに吊られて行ったりしないもん!!私をバカにしてるの⁉︎』
「がうぅ~~~~~!!」
と、獣人達の行動にジュールが激怒していた。
ジュール&夜月「「がぁっ!!」」
獣人達「「「「ヒィッ!」」」」
「あーあ、本当に怒っちゃった・・・」
ジュールと夜月は本来のサイズに戻り、獣人王子以外の獣人達に襲いかかった。
ジル叔父様「止めなくて良いのか?」
「?、止める必要がありますか?」
(失礼な言いがかりを付けてきたのはあっちなのに?ねぇ?天華?(^_^;)?)
天華『全くその通りです!』「きゅぅっ」
獣人達を襲っている、というか、弄んでいる、ジュールと夜月の行動を見てジル叔父様は少し困った顔で聞いてきた、だが僕的にはジュール達のガス抜きになるのなら大いに結構だと思って止めたりはしない、それに今回はあまりにもジュール達に失礼な態度だったので、少し懲らしめる意味もある、一応、国際問題になりそうな獣人王子への攻撃はしないでくれとお願いしたので、問題はないだろう。
「ギャー!」「た、助けてくれっ!」「ぐわっ!」「な、何故!」「ど、同胞に何故っ!」「ひぃ!」「や、やめ・・・」
ジュール達に追いかけ回されながら逃げ惑い、助けを懇願する獣人達、そこにただ1人襲われずに青ざめた顔で震えている獣人王子。
獣人王子「や、やめてくれっ!デューキス公子!彼らを止めてくれっ!」
「・・・何故です?」
獣人王子「な、何故だと⁉︎あの者達は私の護衛と従者達だ!それが其方の聖獣達に襲われているんだぞ!其方が指示しただろう⁉︎良いから早く彼らを止めろっ!国交に支障が出ても良いのかっ!」
「?、何故、国交に支障が出るんです?彼らは聖獣である彼女達を愚弄したのです、彼女達は大層お怒りなんですよ、あなたも含めね・・・ですが、流石に王子殿下を傷つけるわけにはいかないので、僕から貴方を襲うのだけはやめて欲しいとお願いしたので貴方だけは無事なのです。
でも、彼女達がもっと怒っているのだったらそれも叶いませんよ、まぁ、僕がお願いしていても彼女達が貴方を襲うなら、僕は強くは止めることはないでしょう、彼女達は聖獣、誰からも非難されることはないですから・・・
あぁ、言っておきますが、僕は彼らに命令なんてしてませんからね、これは彼女達、個人の自主的な行動ですよ・・・」
そう告げると、獣人王子はその場でへたり込んでしまった、“半獣化“の姿で・・・
(ふぅ、やっと自分のした事の不味さに気付いたのかな?・・・・ん?)
「・・・あぁ、騒ぎ過ぎちゃったかな?」「「「「「⁉︎」」」」」
ガサガサッ!「ギャウッ!」バッ!
「「「「「っ!」」」」」「「「「「!、魔物かっ⁉︎」」」」」
最初に倒した魔物達がリポップされたのか、この場で少し長く騒ぎ過ぎて、こちらの音に気づいた魔物が集まり襲いかかってきた。
ザッ! シュリンッ!
「“アイスアロー“×14」ピキピキピキッ! ヒュッ!!
ドドドッ! バキバキッ! ドズンッ!!
出てきた魔物達に視察に同行していた全員が瞬時に武器を構えた、だが、僕が唱えた魔法の方がそれよりも早く、姿を現した魔物達を撃ち抜いた。
「あ、木が折れちゃった・・・やり過ぎたかな・・・あぁ、でもそれだけじゃ倒せなかったのも居るか・・・」
春雷『樹木は気にしないでください、数日経てばすぐに元に戻りますので』
(あ、そうなの?なら良いか♪)
春雷の一言でダンジョンの不思議に触れた僕だったが、今は迫ってくる魔物に意識を向けた。
シャリンッ ドドッドドッドドッ!ドガッ!バキバキッ!「ブモォーーッ!!」ドドッドドッドドッ!
探知している中で少し遠くに、一体だけまだ生きている魔物が迫ってきているのが分かり、自分も腰に下げている太刀を抜き放った。すると大きな足音が近づいてきて、倒れた木や茂みなどを吹き飛ばしながら現れたのは、鼻先に1本の角の生えた大きな猪の魔物、“ダッシュボア“だった。その大きな猪の魔物の肩辺りには先程僕が放った“アイスアロー“が深々と刺さっていた。
(おや、魔法が避けられて致命傷にならなかったみたいだね。しかし大きいな、・・・あ、あれ、“ダッシュボア“じゃなくて、“グレートダッシュボア“じゃん!(゚∀゚))
この階に一体しかいないエリアボスに近い存在の魔物、“グレートダッシュボア“がこちらに迫って来ていた。どうやら相手の標的は魔法を放った僕だったようで、一直線に僕に向かって来ている。だが僕の前には獣人王子が座り込んでいたため、このままだと獣人王子が最初に突進を受けてしまう。なので、僕が前に出て相手を倒すしかなさそうだと判断した。
「父様、僕が倒しますね」
そう一言告げて僕は走り出した。相手は逃げ惑う他の人に見向きもせず僕に迫ってきた。僕はすぐに獣人王子の横を走り過ぎ、“グレートダッシュボア“の眼前に躍り出た。僕を視線で追った獣人王子の気配と、僕を心配する父様や皆んなの気配を感じながら、手に持った太刀を構えてその場で相手が近づいてくるのをまった。
「「アトリー!」」「「「「「アトリー様!」」」」」「っ!おい、危ないぞっ!」
ドドッドドッドドッ!「ブモォー!!」ドドドドッドドドドッ!
ボソボソッ 「ふっ」ピュッ! ザシュッ!! ピッ!カチンッ!
ズルッ ドサッ! シュワァ~~ トスッ!
走る速度を上げ迫り来る、怒り狂った“グレートダッシュボア“を前に1つ息を吐き、気合を入れて真正面の真ん中に太刀を振り下ろした。まっすぐ突進してきたボアは一刀両断され、すぐに真っ二つに切れてアイテムを落として消えていった。
(おっ!、お肉だ!しかも“バラ肉“!お願いが叶った!斬る前に小声でお願いしてみてよかった♪( ´∀`))
迫り来るボアを斬る前に“精霊さん、僕はランクの低いアイテムが欲しいです“と、小声で呟き、精霊にお願いしたのだった。
(ランクが高かったら“バラ肉“じゃなくて、もっと希少な部位のお肉が出てくるはずだよね⁉︎これで“嗜好の海底神殿“以外でもドロップアイテムに融通が効くことが分かったから、今後の冒険者ギルドでの依頼受付に支障が出ずに済むね!)
天華『良かったですね、アトリー』
(うん!)
検証したかった事もできて、ご機嫌な僕、でも周りはシーンッとしていた。
「?、どうしました?」コテッ?
父様「いいや、どうもしてないよ、アトリー、・・・さて、王子殿下、我々はそろそろお暇いたしますね。今回の件、お国元に報告なさっても構いませんが、その前に聖獣様方のなさった事の意味と我が息子の言葉の意味、よくお考えくださいね?それと、我が国は今回の件も含め、今後聖獣に関することがらにいっさい責任を取ったりは致しません・・・、この事は1番胸に留め置いてください」
父様のきつい言葉に獣人王子は俯き何かを考え始めた。それとは別に周りにいた獣人達は僕を以外そうな目で見つめ、ジル叔父様と護衛騎士達は苦笑いしていた。そんな中イネオス達は僕が魔法で倒した魔物達のドロップアイテムを拾ってくれていた。
(何でそんなに意外そうな目で見てくるかな?この獣人さん達は・・・(・・?))
「あ、皆んな、アイテム拾ってくれて有り難う♪」
ヘティ「いいえ、お気になさらないでください、しかし先程は珍しく魔法をお使いでなかったですね?」
ベイサン「そう言えばそうだね?」
「ん?あぁ、ここはダンジョンだから返り血が飛ばなくて済むからね、わざわざ魔法で返り血を防がなくて済むから、楽でいいよ」
ヘティ達が集めてくれたアイテムを受け取りながら会話していると、いつもと戦闘スタイルが違う事の話題になった。
いつもなら刀を使う時に返り血を浴びたくない僕は、身体全体に風を纏って攻撃を加えるのだが、ダンジョン内ではその必要がないのでそれをしていない。何故ならダンジョン内では倒した魔物は蒸気のように蒸発して消えてなくなる、それは常識だがダンジョンの魔物も怪我をすれば血が流れるし、それが服についたりもする。なのに何故僕が風を纏う必要がないかと言うと、ダンジョン内の魔物は完全に息の根を止めることができなければ、怪我をするとその傷が残り流した血の跡も残る。要は生きている痕跡が残るものだが、逆に一瞬で息の根を止めることが出来れば、その瞬間に“ドロップアイテム“への変換プログラムが始まるのか、斬った場所からの血液が流れ出たとしても、その血液自体も“ドロップアイテム“への変換のエネルギーになってしまい消えてなくなるから、僕が風を纏う必要がなくなるのだ。(あ、あと、瞬殺する事ができればドロップアイテムのランクが上がる、と言う定説があるらしい・・・)
(要は一撃で仕留めれば済む話、それができるから無駄に魔法を使う必要もなくなるって事・・・まぁ、それがなくても今回は“加護の結界“を解いてはいないから、返り血は浴びないと思うだよね。ダンジョン外でもそうなってるとは思うけど、ダンジョン内での“神の加護の結界“は警護レベルが段違いだから、血が飛んでくると結界に触れると同時に浄化され消えてなくなるんだよね・・・ははは・・・)
獣人王子「デ、デューキス公子、其方はそれだけ力があるのに、何故聖獣様方の恩恵を独り占めにしているのだ⁉︎それだけの力があるのなら聖獣様方を解放して差し上げろ!聖獣様方を必要としている者達に機会を与えてやるのが強者としての義務ではないか⁉︎」
先程まで父様の言った言葉の意味を考えていたはずの獣人王子が、急に“強者の義務“とやらを熱弁してきた。
(また何言っとるんだ?このケモ耳王子は・・・あぁ、さっきの獣人さん達の意外そうな表情は、僕が聖獣に守られなといけないぐらい弱いと思ってんだね?)
「・・・王子殿下、彼らを解放しろと言いますが、何故僕がそんなことをしなければならないのですか?」
獣人王子「それが強者としての義務だからだ!」
「“強者の義務“・・・、僕が強いからと言って彼女達と離れなければならないのか意味がわかりません」
獣人王子「其方は聖獣様方に守護されているのだろう?だが其方はそんな必要が無いぐらい強いではないか、それならば聖獣様方を必要としている者達の為に、聖獣様方をその任から解放して差し上げるというのが筋と言うものだ」
「・・・はぁ~~っ、あのですね、何故僕達の関係を貴方に決められなきゃならないのですか?以前にも言いましたが、彼女達は僕の望む人生を保証する為の証に神々から直々に授かったのです。貴方が彼女達の行動を勝手に決めれるものでは無いのですよ。それに彼女達は今や僕の家族といってもいい、それを引き裂こうと言うのですか?」
獣人王子「だ、だが!其方にも聖獣様方の行動を縛れるものでは無いはずだ!神々から任された“任務“とはいえ、其方のそばにずっと居たいとは思ってないかもしれない!」
「・・・・そうですね、側にいたくないと言われて仕舞えばそれまでです。その時は彼女らの好きするように僕は言っています。ですがっ・・・・、はぁ・・・、これは出来れば言いたくはなかったのですが、彼女達は、僕を守る為に神々が直接その手でお創りになられた聖獣なのです。言わば“僕の為に生まれた聖獣“なのです。“そう言って“神々が授けて下さった彼女達をあなた方の一存でどうこう出来るものではない」
全員「「「「「!!?」」」」」
「な、何⁉︎たった1人の人族の為に聖獣様を三体もお創りになっただと⁉︎」「神々は、な、何故そんな高待遇をなさっているのだ⁉︎」「ただの“加護持ち“では無いのか⁉︎」「確かにやく150年ぶりの“主神の加護持ち“だとしても、待遇が良すぎるのではないか⁉︎」「それに今は“勇者候補達“もいるではないか、だが彼らにはそんな措置はされてなかったはずだ!」
父様「アトリー・・・・」
獣人王子「そ、そんな、それなら、なおのこと不憫だ!生まれてすぐにそんな自由を奪うような制約を交わされているなど、“奴隷“と変わらぬではないか!!」
「っ!」
ジュール「ガゥッ!!」夜月「ガァッ!!」天華「ギャウッ!!」
獣人王子「ひっぃ!!」
「・・・・“奴隷“か・・・、「がうぅ」うん、分かってるよ・・・、「ぎゃうぅ」そうだね、彼らは勘違いしているね、「がぅ」僕は気にしてない・・・、「きゅきゅぅ」うん、有り難う・・・」
(僕だって最初はジュール達を束縛しているのでは無いかと悩んだ時期もあるからなぁ~、でもジュール達に選択肢がなかった訳でもないし・・・)
いくら自分の言ったことが原因で、獣人王子の返してきた“奴隷“と言った言葉に、少なからず思い当たるところのある僕は罪悪感で少し落ち込んだが、ジュール達は自らの意志でそばにいるのだと、行動で意思表示して、僕に寄り添って慰めてくれた。
夜月『アトリー、私の言葉を奴らに伝えてくれ』「がぅ」
(ん?いいけど・・・)
「すぅ、『お前達は勘違いしている、私達は私達の意志でこの子の側にいるのだ、この子はお前達のように私達に側にいる事を強要した事など1度も無い、それに私達には生まれてから今まで、常に選ぶ自由はある、この子を守るにしても側で守ることも、離れて遠くから見守る事もできた、それこそ守ることを拒否し別の役目を受けることもできた、だが私達はこの子だからこそ、この役目を受け入れ、この子の為に側で共に暮らし守っているのだ・・・・、だから、そのお前達の傲慢な考えを私達に押し付けるな!』」
夜月は本来のサイズで僕の左側に立ち、凛とした佇まいで堂々と発言した、ちょっと威圧を放ちながら・・・
(おぉ、ズバッと言ったね!でも、僕だからこそ受け入れてくれたと、そう思って貰えてると思うとなんか照れるね・・・(o^^o))
夜月『アイツらの言い分いは私達の今まで築いて来た“絆“を否定している、一度顔を合わせただけの奴等にそれを否定されるなどあってはならない事だ、それにアトリーを気に入って役目を受け入れたのは事実だ、だからあんな奴らの言う事など気にするな、それにな、急に創られた私と天華には、付け焼き刃的な知識と感情が込められていたが、アトリーと出会い共に過ごして来た日々が私達の何よりの宝なのだ、それを“奴隷“などと言う言葉で汚す奴らとはこれ以上関わり合いたくない』
(夜月・・・うん、そうだね、僕もあんまり関わりたく無いかな・・・ケモ耳が触れないのは残念だけど・・・)
夜月『・・・私の耳で満足しておけ』
(うん♪)
夜月の言ってくれた言葉にジーンッと胸を熱くいていると・・・
『ピロリンッ、新たなスキル“神託“を獲得しました』
(おんや?新しいスキル?“神託“?えっ?な、何で“神託“?)
と、急なスキル獲得のお知らせに混乱した。
天華『アトリー、私の言葉も伝えて貰ってもいいですか?』「きゅぅー」
(へ?あ、いいよ?なんかフワフワするけど、今なら天華の言いたい事をしっかり伝えれる気がするし、天華の存在がいつも以上に近くなったような感じもする・・・これが“神託スキル“の効果なのかな?)
少し混乱した僕にとても冷静な声で、自分も言いたい事があるから、伝えてくれとお願いしてきた天華、“神託スキル“の影響なのか、少し意識がぼんやりしてきたのに、何故か天華の意識と繋がりが強くなったように感じた、今なら正確に彼らの言葉を伝えることができると確信した。
天華『えぇ、多分そうです、なのでアトリー、少しの間協力お願いします』
(うん、分かった、いいよ、好きに話て・・・)
肩に乗っている天華が僕に1つ頷き、小さい姿のまま獣人王子の前に飛んで行って、体のサイズとは不似合いな強烈な威圧を放ちながら話し始めた。
「『確かに、私達はこの方のために創られましたが、なんの根拠も無くこの方を選んだわけではない!私達が生まれて初めて見たこの方の魂が、誰よりも美しく輝いていたから私達はこの方を守る役目を受け入れ、“名をつけて頂き“、より深く繋がったのです、その“絆“をお前達のような人の話を聞かない者達に否定される言われはない!お前達みたいな無礼者達には、早急に私達の目の前から消えていただきたい!』」
(おぅ、強烈だねぇ~~( ・∇・)・・・なんか、これ勝手に口が動いてる気がするぅ~、・・・これは、あれだ、天華に憑依されてる?そんな感覚?)
天華『まぁ、それに似た感じでは無いでしょうか、アトリーの意識はちゃんと存在してますから、完全なる憑依とは言えないです、アトリーが私達の意識を受け入れてくれているからできることですが、“神託スキル“は両方の信頼関係や信仰心に比例して伝わり方が変わってきますからね、まぁ、私達は魔力で繋がっているのでアトリーの口を借りて話すことができますが、受けて側に拒否されると意思疎通が不可能になりますけど・・・』
(へ~、“念話“とはまた違った“意思疎通スキル“なんだね?)
天華『えぇ、こちらの場合はアトリーの口から自分の声で話せますからね、誰が発言しているのか、分かりやすくて良いでしょう』
(だね、念話で聞いた事を僕の声で喋っても誰が話したのか分かんないもんね、いちいち前置きしなくて済むんだ、楽でいいね♪)
新しいスキルの特性に話し合っていると、ジュールが僕の右脇腹に顔を擦り付けながら話しかけてきた。
ジュール『私も、私も!言いたいことがある!』「わうわぅ!」
(ふふっ、はいはい、分かった分かった、いいよ、言いたかった事全部言っちゃえ♪)
ジュールから急かすように他2人と同じお願いされ、そのお願いの仕方が可愛いなぁと思いながら快く了承した。
ジュール『うん!全部言っちゃう!』
「『私もさっさと消えて欲しいと思うけど、先に言いたいことがある、〔お前達のように聖獣全てが獣人の祖先などと勘違いしている輩に、“神々“が提示した任務を選択する権限を持たせた覚えなどない!その烏滸がましい思考の根源たる教えを即刻改めよ!〕、それに私達はアトリーの“奴隷“なんかじゃない、アトリーは私達が生まれてからずっと友達や家族として扱ってきた!それを引き離そうとするお前達なんか大っ嫌いだ!!もう、話したくもない!“名前も教えたくもない!!“』」
(ん?途中なんかジュールの話し方じゃないような?・・・)
ふっ・・・「っ・・・」 ふらっ・・・
春雷&雪花『『アトリー様⁉︎』』
ジュールが自分の言いたいことを言い切ったその時、プツッと何かが途切れた感覚がした。その後どことなく体に力を入れていたのだろう、その力が急に抜け少しふらついたが夜月に支えられ、その場で目を閉じて気合を入れて力を入れ直す。春雷達の心配する声も聞こえたが足に力が戻ってきたのを感じると姿勢を正し再び目を開いた。すると、目の前に居た獣人王子が大きなショックを受けた表情で僕を凝視していた。
(まぁ、そんな反応になるよね、どう聞いてもジュール達の言葉は“完全なる拒絶“だからな・・・)
僕がそんな事を思っている間、周りで見ていた視察一行は別のことで大いに困惑していた・・・・
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