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第3章 少年期 学園編
93話 実食!!
しおりを挟む夢ちゃんに頼まれて野菜料理を作り始めた僕、夢ちゃんの作った肉や魚料理に合う、野菜料理を作ることにして。
(まず、日本料理の野菜を使った料理が4品あるから、流石に“ほうれん草のおひたし“だけじゃ心元ないから、きんぴらごぼうでも作っとくか・・・後、テリヤキハンバーガーにはやっぱり、フライドポテトでしょ?、それとーーー)
こんな感じで、夢ちゃんの横で出来上がっている料理のジャンルに合わせて野菜料理をサクサク作っていると。
バトレルさん「失礼します、公子様、皆様をお連れしました」
バトレルさんがイネオス達を連れて戻ってきた。
イネオス「失礼します、アトリー様、あお呼びとの事ですが、どうかなさいましたか?・・・・あ、お料理中でしたか」
「あぁ、ごめんね、急に呼んじゃって、ちょっと、この料理を食べるのを手伝って欲しくてね」
調理の手を止めすぐに振り返り、イネオス達に説明をする。
仁「ごめんね、皆んな、ちょっと作り過ぎちゃって…」
イネオス達は僕と仁の説明を聞いて目をパチパチ瞬かせ、テーブルの上に乗った料理を珍しそうに見た。
夢ちゃん「えへへっ、久しぶりに料理してたら作り過ぎちゃった」
頬を指でかきながら、申し訳なさそうに言った。
ヘティ「え⁉︎、これ全部、夢さんがお作りになったんですか?凄いですね!」
ベイサン「本当、凄いですね!凄く良い匂いがして美味しそうです!」
夢ちゃん「わぁ、褒めてくれてありがとう!でも、お肉と魚の料理ばっかりになっちゃって、今アメトリン君に野菜料理も作って貰っている最中なの、それが出来上がれば皆んなで食べようね♪」
イネオス達に褒められ、先程の申し訳なさそうな表情とは一転して嬉しそうに笑った夢ちゃん。
イネオス「え、そう何ですか?楽しみです!!」
イネオスの言葉にベイサンとヘティも頷き期待した目で見てきた。
「ふふっ、もうちょっとで出来るからね、椅子に座って待っててね」
イネオス達は僕が作るお菓子や料理がお気に入りで、今回も新しい料理が食べれると期待しているようだ、素直に用意された椅子に座り、大人しくバトレルさんが出したお茶を飲み始めた。
「じゃあ、最後の料理を作りますね」
夢ちゃん「お願いします!!」
再び調理台に戻り、最後の野菜料理を作る。
「最後はそうですね・・・“コールスロー“を作りましょうか、食材はキャベツ・コーン・きゅうり・にんじん、後はハムですね」
(これなら、野菜がメインで食材は生のまま細かく切って、マヨネーズや塩、隠し味にカツオ出汁で味付けして混ぜるだけ)
「夢さんはハムを細かく切って貰って良いですか?僕達は野菜を切りますので」
夢ちゃん「うん!分かった!」
そう指示して、ソルと2人で他の野菜をみじん切りにした。
(前世でもよく作ったなぁ、弟の運動会の時のお弁当で大きめのタッパーに、並々に作って持って行っても瞬殺だった、人数が多いのもあったけど、残ったら夕飯のちょい足しに、とか思っていてもすぐに無くなってたなぁ・・・確かあれ、2ℓのタッパーだったはず・・・2ℓ分の野菜とハムを1人で必死にみじん切りにしてたな、今思うと中々の労働だった・・・( ・∇・))
夜月『量が凄いな・・・』
(だよね、まぁ、皆んな喜んで食べてくれてたから、作ったかいはあったよ、前世で皆んなでパーティーとかバーベキューする時なんかも色々用意してたし、その時に皆んなで楽しく食べれて幸せだったな・・・)
夜月『アトリー・・・』
少し思い出に浸っているうちに全ての食材を切り終わって、後は味付けして混ぜるだけ、ボウルにまとめて入れた食材に塩少々、マヨネーズたっぷり、カツオ出汁お好みで少々、それをスプーンでよく混ぜて出来上がり。
「はい、出来ました、これはそのまま出して、スプーンで自分のお皿にとって食べてもらいましょう」
夢ちゃん「うん、そうだね、それにしてもこれも凄く簡単だった、教えてくれてありがとう、アメトリン君!」
「ふふっ、どういたしまして、お役に立てたなら嬉しいです」ニコッ
夢ちゃん「う、うん、本当にありがとう(//∇//)」
そう言って、他に作ってお皿に盛った野菜料理達を持ってテーブルに向かった。
「お待たせ、さぁ、皆んなで食べようか、コッヘンさん達も一緒にどうぞ」
コッヘンさん「えっ、自分達も良いんですか?」
クチーナさん「私もですか⁉︎」
大きなテーブルセットに皆んなが座って待っている横で、料理の取り分け用の食器を用意してくれていたコッヘンさんとクチーナさん、バトレルさんも一緒にご飯を食べようと誘った、とても驚いた様子で聞いてきたので。
「えぇ、これだけの料理を見ているだけで、満足できますか?それに、ちゃんと味を覚えて次はマルキシオス家の皆さんに作って差し上げてください」
(レシピだけ分かっても、日本食や向こうの世界の食事の素晴らしさは分からないよ?ちゃんと味も知らないとね)
料理人の義務として食べて欲しいと言うと。
コッヘンさん達「「!!」」
コッヘンさん「分かりました、お気遣い有り難う御座います」
クチーナさん「有り難う御座います、勉強させていただきます!」
気合い十分で返事が返ってきた。
「ふふっ、食べてみないと分からない事もありますからね、あ、バトレルさんも一緒にどうぞ」
僕とコッヘンさん達の会話を他人事のように聞いていたバトレルさんも、再度ちゃんと誘った。
バトレルさん「え、私もですか?」
「えぇ、遠慮しないでください、これだけありますからね」
(どうせ、叔父様達にこの料理の事を報告するんでしょう?それならコソコソ見てるだけじゃなくて、堂々とご飯食べちゃいな!そして、料理の消費に貢献しなよ!)
バトレルさん「・・・では、少しだけ頂きます」
そう言って、僕の心の声が聞こえたのか、追加でテーブルセットを用意してくれたバトレルさん、追加で用意したテーブルセットはコッヘンさん達とバトレルさんが座り、僕は皆んなと同じテーブルの席についた。
「じゃあ、夕食には少し早いけど頂こうか、皆さん召し上がれ」
「「「「「いただきます!」」」」」
軽い食事の挨拶をすると皆んな楽しそうに料理を取り分け始めた、僕も何か取ろうとしたがすでにソルが僕の分と、ジュール達の3人の分もお皿に盛ってくれていた。
(おう、いつもながら手際がいい・・・そして、僕の食べたい物を的確に取り分けてくれているね・・・回鍋肉美味しそう・・・)
中華が食べたかった僕の皿には回鍋肉とエビチリが乗っていた、他にも自分で作った野菜料理も少し別皿に取り分けられて渡されたので、大人しくご飯を食べ始めた。(あ、白ご飯もちゃんと炊いてあったから、食べたい人は好きなだけ食べていい感じだったよ)
盛られたおかずと、約お茶碗一杯分の白ご飯を均等にゆっくり食べる僕、僕がのんびり食べている間に料理は次々無くなって行っていた。
(おぉ、あんなにあった料理達が凄い速さでなくなってく・・・そして、僕の皿に少しずつおかずが盛られていく、だがこの量だと全て食べきれないぞ、ソル)
ソルは僕の皿に全ての料理を少しずつ載せてくれるのだが、料理の種類が多いものあって僕の胃袋には全て入らなさそうな量になってきた、すると、ソルが量の多さに気付いたのか、盛ったおかずを少しずつ自分の皿に移し、一つ一つのおかずの量を調節してくれて全ての料理を食べれるようにしてくれた。
(おお、これなら食べらそう!)
「ソル、ありがとう♪」
ソル「いいえ、少し、量を見誤ってしまったようでしたので、これでした食後のデザートを食べれますか?」
「うーん、うん、大丈夫だと思うよ、デザートは何を用意してるの?」
ソル「ナシを用意してますよ、なので、楽しみになさってください」
「わぁ、やったね!ナシ大好き!あ、ちゃんとご飯は全部食べるよ!」
(デザートは梨~、ふふっ、昨日からのお茶受けにも梨が絶対あったね、父様が爆買いしたのかな?ふふっ、これから一時、梨食べ放題だ!!)
天華『嬉しそうですね・・・ふふっ』
気合いを入れて美味しいご飯をよく噛んで食べることにした、デザートのために!
*ここで急がないのがアメトリン、クオリティー・・・(よく噛まずに食べると消化に悪いんだぞ!!)
ソル「はい、ちゃんと食べ終わりましたら、すぐに剥いてお出ししますね」
「うん、お願いね♪」
ウキウキ気分で料理を食べ進める僕、皆んなもデザートがある事に喜びさらに食が進んでいた。
イネオス「この魚の料理味がしっかり付いていて美味しいです」
イネオスはどうやら魚の煮付けが気にったらしい。
ヘティ「私はこちらの海鮮たっぷりのパスタがまろやかで好きですわ」
ヘティは海鮮クリームパスタがお好みらしい。
ベイサン「僕はこのサンドイッチみたいなのが好きです!後この鶏肉を揚げたものも!」
ベイサンはテリヤキハンバーガーとフライドチキンが気に入ったみたい。
(見事に野菜料理は選ばれなかったな・・・、まぁ、これぐらいの歳の子は野菜嫌いが多いから仕方ないね)
ソル「僕はこのお肉の煮物とコールスローが好きです」
ソルは豚の角煮に僕が作ったコールスローが気に入ったらしい。
(おやや?気を遣ってくれたのかな?)
イネオス「あ、確かにそれも美味しくて僕好きです!」
ヘティ「私も味付けが優しい感じで好きです」
ベイサン「うん、これ美味しいよね、これなら野菜もたくさん食べれそう!」
(お、コールスローは好評だったみたい、まぁ、細かく切ってあって食べやすいのもあるかな?しかし、仁達は静かだと思ったら、刺身を噛み締めているな、醤油がそんなに嬉しかったのか、刺身が美味かったのか、まぁ、嬉しいならいいか、あ、卵かけご飯もしようとしてるっ!やはり醤油か・・・)
日本食と言うより醤油に飢えていた3人はひたすら、醤油を使った料理を食べ、最終的には卵かけご飯までして食べていた。
他の皆んなは卵かけご飯にとても驚いていたが、僕もTKGが食べたくて仕方なかったので、少し無理して軽く茶碗一杯分追加で、多めにご飯を食べた。
(周りの反応なんて知るかぁ!僕もTKGが食べたくて醤油を探していたんだからな!o(`ω´ )o)
ソル「アトリー様、お腹大丈夫ですか?」
「う、うん、少しすれば大丈夫・・・ちょっと食べすぎちゃった、でも大満足♪」
膨れたお腹をさすりながら満足げに言うと。
ソル「ふふっ、ならいいです、ナシは後で剥きますね」
「うん、お願い、あ、でも、他の人が食べたかったら剥いて食べていいからね?」
ソル「分かりました、でも皆んなお腹いっぱいで、無理そうですけどね・・・」
そう、皆んなお腹パンパンとまでは言わないがそれなりに食べて、満腹で幸せそうにしていた。
(相変わらず凄い量を食べたね、あれだけ食べてやっと満腹って、どんな胃袋の容量してんだろう・・・ソルも負けず劣らずかなりの量を食べていたはずなんだけどなぁ・・・平然としているね君・・・)じっ・・・
ソル「・・・僕も流石に満腹ですよ?」
(心を読むんじゃありません!)
「むぅ」
ソル「ふふっ、すみません、アトリー様ふふっ」
「もうっ、笑いすぎ!」
ソルに揶揄われていると。
彩ちゃん「2人はいつも一緒だから以心伝心ね、とても仲が良くて良いわね、ふふっ」
ソル「そうですね、僕達は1歳の時からいつも一緒にいますので、アトリー様の考えていることは何となく分かりますね」
夢ちゃん「へぇーそうなんだ、私達と一緒だね♪私達3人も小さい頃からいつも一緒に遊んでたよ、家が近所で保育園から中学校まで一緒だったの、でも高校で別々の学校に進学したから、入学式が終わった後に高校生活が忙しくなる前に、皆んなでそれぞれの制服着て遊ぼうって話になって、合流して遊びに行く寸前でここに召喚されちゃったんだよねぇ・・・」
彩ちゃん「夢・・・」
仁「夢ちゃん・・・」
「「「「「夢さん・・・・」」」」」
(やっぱり、向こうの世界の暮らしが恋しいよね・・・)
久しぶりに日本食を食べれてホームシックになったのか、この世界に来るまでの事を思い出し、空を仰いだ夢ちゃんに、周りの皆んなは気づけわしげに見つめた。
「夢さん、彩さんに仁さん、あなた方をこちらの世界の事情に巻き込んでしまった事、こちらの世界の者として大変恥いる思いです、ですが安心なさってください、皆さんを元の世界に送還する手筈が整いつつあると、主神様からジュール達を介して聞いています」
(まぁ、本当はティーナちゃん本人から直接聞いたんだけどね・・・)
仁達「「「え!本当に⁉︎」」」
「えぇ、ですからそんなに落ち込まないでください、多分、準備が完了すればそのうち父様達から話があると思われますので、それまではこの世界を思いっきり楽しんではいかがですか?今回の旅行ではまだ色々な場所に寄りながら王都に戻る見たいですしね」
(多分、父様もそのつもりでこの旅行を計画したんだろうし、いつもだったら公爵家当主としての仕事が忙しいはずなのに、こんな長期の旅行を計画するなんて不自然すぎるもんね・・・多分、仁達の安全の為に旅行と言う名目で、なるべく1箇所に留まらないようにしているだろうね、何ならこの旅行自体が囮も兼ねていそうだよね、ズューウス王国の間者にどこで送還が行われるか分からなくする為に・・・)
ここは大きな港があって他国と交易が盛んな領地だから、送還の儀式が必ずしもウェルセメンテ王国国内とは限らない、と言う、そぶりを見せるためでもあるかも知れないと僕は推測した。
夢ちゃん「本当に・・・すんっ、帰れる?・・・ぐすっ」
彩ちゃん「・・・ちゃんと帰れるのね・・・・・うっ・っ・・」
仁「っ・・・・・良かった・・・帰れるんだ・・・」
僕の予想でしか無い言葉でも、故郷に帰れる目処が立っている事が分かっただけで、心の底から安心したのだろう仁達は涙ぐみ互いに肩を叩き合っていた。
(そうだよね、まだ、皆んな、15、6歳の子供だもんね、僕達の前で年上ぶってても、寂しいものは寂しいし、戻れなくなるかもって怖くなるのは当たり前だよね・・・、それをよく今まで我慢できて偉かったね、皆んな・・・)
泣き出してしまった3人を僕達は静かに見守った、ヘティは貰い泣きしたのかベイサンに背中をさすられながらも、3人を見守っていた・・・
彩ちゃん「ぐすっ・・・・ずっ・・・・・・ふぅ、ごめんね皆んな、急に泣き出しちゃって」
夢ちゃん「でも、もう大丈夫!明日からこの世界をもっと堪能して良い思い出をたくさん作る!」
仁「そうだね…、・・・アメトリン君、ソルドア君、イネオス君、ベイサン君、ヘティちゃん、君達といる事で、僕達はたくさんの事も経験して楽しい思い出も出来た、だから、僕達が帰るその日まで今まで通り一緒に過ごしてくれるかな?」
泣いて、気持ちが落ち着いた、仁達は僕達に向けて明るい笑顔でそう言ってくれた。
「はい、お帰りになられるまで、もっと楽しい思い出を作りましょう♪」
ソル「そうですね、僕でよければ協力させてください」
イネオス「えぇ、僕も協力します!」
ベイサン「僕も!」
ヘティ「私も、お役に立てるなら、喜んで協力致しますわ♪」
仁「ふふっ、皆んなありがとう!これからも宜しく!」
彩ちゃん&夢ちゃん「「宜しくね♪」」
僕達「「「「「はい♪」」」」」
この後、皆んなで仲良くデザートのナシを食べて、各々自分の部屋に戻って行ったのだった・・・・ーーーー
ーーーー・・・・僕もソルとジュール達と部屋に戻ると、父様達もすでに夕食を終えたのかリビングでお茶をしていた。
「父様、母様、ただいま戻りました・・・??」
(何だこの雰囲気??)
2人はいつも通り笑顔でお茶を飲んでいる、と思っていたが僕を見ると笑顔が深まった。
父様「アトリー、お帰り、仁君達との料理はどうだった?楽しかったかい?」
「は、はい、仁さん達のお料理は楽しかったです♪それに見た事もない料理もあってとてもおいしかったですよ、料理のレシピは覚えてきました、後で紙に書いておきますので、公爵家の料理人に渡してください、彼らなら再現で来ると思います」
母様「まぁ、そうなの、それは楽しみね♪アトリーこちらにいらっしゃい、母様は“今日の事について“もっとお話がしたいわ」
「は、はい・・・」
(母様達、なんか怒ってる?僕、今日なんかしたっけ?^_^;)
“今日の事について“をやたら強調して、僕を近くに呼んだ母様から言いしれぬ強制力を感じ、ちょっとビビりながら父様と母様の間に座った。
母様「アトリー、今日はダンジョンに1人で入って大変だったでしょう?その時何があったか母様達に話してくれる?」
(今日1人でダンジョンでしてた事・・・あ、・・・・やべっ!神よ!我を救いたまえ!!(>人<;))
天華『自業自得なので諦めてください』
(神は死んだっ!!Σ(゚д゚lll))
午前中の自分のしでかした事をすっかり忘れていた僕は、今日の昼食前にソルに聴かれた事を父様達からも尋問された、今回はしでかした事の証拠である破れて血のついた服や傷の入った汚れた装備もあるので誤魔化すことはできず、ダンジョンに入ってから“超回復スキル“以外の自分のした事を全てゲロったのであった・・・・
(くそっ!服や装備の洗浄や修復するの忘れてた!!)
天華『反省してませんね?』
夜月『イタズラした事を巧妙に隠そうとする、悪ガキのようだな・・・』
ジュール『アレは治んないんだろうねぇ~』
などと言われながら、僕は父様と母様にこんこんとお説教をもらったのだった。(もちろんソルは助けてくれなかったよ!!(T ^ T))
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