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第3章 少年期 学園編

91話 レッツ!クッキング♪

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 ベル姉様を見送り厨房に残った僕達は、まず食べたい料理の候補を挙げることにした。

仁「うーん、食べたい料理かぁ…どうしようか、醤油に魚介の出汁類が手に入ったから、シンプルに海鮮鍋とかにする?」

彩ちゃん「いや、この時期に鍋は無いでしょう鍋は…」

仁「あ、そうだった、夏だもんね、じゃあ何がいいかな?刺身は食べるよね?」

夢ちゃん「仁!醤油を堪能するならそこは外せないよ!あっ、でも焼き魚も捨てがたい!そこに、白ご飯とわかめのお味噌汁があるならなおよし!!」

「あぁ!そうだ!仁さん達に他に渡す物忘れてました!」

仁達「「「えっ⁉︎な、何⁉︎」」」

「コレです♪醤油見つけた時に一緒に見つけていた物です」

 ゴットンッ

 そう言って“無限収納“から取り出したのは、醤油が入った大瓶と木製のタライに入った“味噌“ 、そして海鮮市場や街中の市場で買ってきた食材をコレでもかってぐらいに出した。(事前に、カイルさんから市場で買ったものを分けて貰っていたから、凄い量になったな)

仁達「「「わぁ~!味噌だ!!」」」

仁「あっ、香辛料もたくさんある、これウコンってやつだよね?」

夢ちゃん「凄い!これマグロ⁉︎ここら辺マグロが取れるの⁉︎」

彩ちゃん「凄い量の野菜もあるわ、果物まで・・・あ、これ、“梨“だわ、しかも“和梨“、“洋梨“じゃ無いんだ・・・、こちらの世界は向こうとほとんど変わらないものが多いのは分かるけど、大体この国は向こうで言う西洋文化風なのに、たまにこの“和梨“みたいに日本特有のものが有るのが不思議よね・・・」

(それ分かる~、僕もたまに釈然としない事が多々あるよ~)

 と、心の中で同意していると、これだけの食材を見て考え出した3人。

「どうかしましたか?何か分からない物がありましたら言ってください、説明しますよ?」

仁「・・・いや、分からないものは有るのは有るんだけど、これだけ食材があると、逆に何から作ればいいか分からなくなってきたんだよね・・・」

「あぁ、そう言う事ですか、確かに困りますね」

彩ちゃん「そうなのよねぇ、どうしようかしら?」

夢ちゃん「あれもこれも食べたくなっちゃった~」

彩ちゃん「う~ん、どれも作りすぎると、食べれなくなるから、先に今1番食べたいものを決めましょう!」

「それがいいんじゃ無いですか?」

仁「そうだね、じゃあ、まず1人ずつ食べたいものでもあげてく?」

彩ちゃん「いいわね、じゃ、仁からどうぞ」

仁「え、僕?・・・う~ん、じゃあ、刺身かな?」

夢ちゃん「じゃあ次、私ね!うーんとぉ・・・・ーーーーー」

(ふふっ、楽しそうだね)

 そこから次々料理の名前があがり出し、それを彩ちゃんが紙に書き留めている、そんな微笑ましい様子を僕はニコニコしながら見つめていると、先程紹介された料理人のコッヘンさんとクチーナさんが興味津々で話を聞いていて、執事のバトレルさんは読めない表情で扉の横に立ってこちらを見守っていた。

彩ちゃん「よし、こんなものかしら?」

 ある程度、料理の名前があがり、一区切りついた所で彩ちゃんがこちらを振り向いた。

彩ちゃん「待たせてごめんね、アメトリン君、ソル君、それでこれから手伝って欲しいのだけれど、料理の食材が向こうと同じものか確かめながら探したいの」

「いいですよ、探している素材があれば言って下さい、まだ出してない物もあると思うので、それでまず何の料理を作るか決めたんですか?」

彩ちゃん「うん、ある程度絞ったのだけど、食材が揃わない可能性も含めて、一応5品ぐらいにしたの、それでも揃わない場合は次の候補にするつもり」

「そうなんですね、では食材探ししますか?」

仁達「「「うん♪」」」

 声を弾ませ、料理に使う食材をテーブルの上にあるものから探し始めた。

 まず、調味料となる物と食材として使うものを分け、食材も魚、肉、野菜、果物に分別、分別したものから料理に使える物をピックアップしていく。

仁「よし、まず、お刺身に良さそうな魚を探そうか、って言っても、目の真ん前にドンッとあるマグロが1番良いよね?それともサーモン?」

彩ちゃん「マグロは食べたいけど、捌くのが難しいからサーモンにしましょう」

夢ちゃん「マグロの場合、捌くって言うより解体だよね?あれ大きすぎでしょ?何キロあるのかな?」

仁「うん、テレビでも見ないサイズだよね?200キロ以上はあるよね絶対・・・」

「あぁ、これは300キロ以上はあると思いますよ?」

(何せ、ダンジョンで出てきたドロップ品だからね・・・あいつはデカかった・・・)

仁達「「「えぇっ⁉︎300キロ以上⁉︎」」」

 驚きで目を見開きクロマグロを凝視する3人。

仁「300キロ・・・デカすぎ・・・」彩ちゃん「それは、テレビでも出ないわ・・・」夢ちゃん「リアルで見ると迫力ある大きさだね・・・」

「あ、捌くのは僕がしましょうか?それに、寄生虫がいる場合、僕が“浄化“した方が早いですし」

仁「あ!そうだった!生魚にはたまに寄生虫がいるんだったね、僕達の世界、てか国では、検査されて捌かれて、綺麗に盛り付けてある状態で売れれているのが普通だったから忘れてたよ、気づいてくれて有り難う、アメトリン君」

「ふふっ、どういたしまして」

(まぁ、ダンジョン産だから、寄生虫の心配はないと思うけど、その他のは分からないから一応、注意だけはしておかないとね)

彩ちゃん「私も忘れてたわ、それにしてもアメトリン君、マグロ捌くって言うか、解体できるの?」

「あ、はい、多分できますよ、本で読んだ事あります」

(実際は、前世で見てたテレビ番組で見て覚えたんだけどね・・・)

夢ちゃん「凄いね!でも、大丈夫?凄く大きいよ?解体するの大変だと思うけど・・・」

コッヘンさん「あ、あの、少し宜しいでしょうか?」

 夢ちゃんが僕の心配をしてくれている所で、さっきまで静かだったコッヘンさんが手を上げて話しかけて来た。

「はい?どうしました?」

コッヘンさん「お許し頂ければ、自分が解体いたしますが・・・」

「あっ、そうでしたね、本職の方がいらっしゃるんですから、そちらにお願いした方がいいですよね、じゃあコッヘンさんお願いしてもいいですか?」

彩ちゃん「え?コッヘンさんは料理人さんですよね?マグロの解体って専門の方がいるんじゃ?あ、いや、アメトリン君も専門の人じゃないし、この大きさのマグロは流石に無理なんじゃ?」

「あ、多分ですけど、コッヘンさんはマルキシオス領の出身で、港の専属で大きな魚の解体をなさっていたと思いますよ?」

コッヘンさん達「「「⁉︎」」」

夢ちゃん「へ?なんで分かったの?アメトリン君?」

「えっ、だって、料理人さんにしては筋肉がついているみたいですし、マルキシオス領は海に面した領ですから、料理人さんの中でも魚を捌ける人は多いでしょう、何よりこの、コッヘンさんの後ろに置いてあるカバンからから巨大魚解体用の包丁が見えてますし、ね♪あ、ついでに僕が解体する時は魔法で解体するので、大きさとかは関係ないですよ?」

(普通の料理人にしてはガタイいいもんコッヘンさん、特に二の腕の筋肉が凄い、ムッキムキだ)

仁「へぇー凄いね、アメトリン君よく気づいたね、あ、確かに、長い刀見たいなのがあるね、テレビで見たやつに似てる」

彩ちゃん「本当だわ、でもアメトリン君の解体方法は魔法なんだね、ちょっと気になるけど、今回は本職の方に頼みましょう、あ、でも、寄生虫の問題はアメトリン君に任せてもいいかしら?」

「はい、構いませんよ、解体した後にちゃんと“鑑定“して確認しておきますから、寄生虫がいた場合は魔法で除去しておきます、では、コッヘンさんお願いできますか?」

仁「宜しくお願いします、あ、あと、お手伝いが必要な時はいつでも言ってください、お邪魔にならなければ手伝います」

(自分からお手伝い志願するなんて、仁は良い子に育ったねぇ~)

天華『親戚のおばちゃん感、満載ですよアトリー』

(あはははっ!前世は事実、親戚のおばちゃんだからね!!(゚∀゚))

 天華のツッコミも何のその、開き直ってドヤ顔していると。

コッヘンさん「え、あ、そ、その、お手伝いの申し出は感謝いたします、ですが補助はクチーナがしますのでお言葉だけいただきます、ジン様…、・・・しかし、公子様には驚きました、確かに自分は港で専属解体師をしていましたけど、魔法で解体するなんて聞いたことありません、どのようになさるのか興味が湧きます…、教えていただけますでしょうか?」

 コッヘンさんは仁の申し出に戸惑いつつも感謝し、手伝いは不要と伝え、そして僕の言った魔法での解体に興味が湧いたようだ。

「あ、そうですね、魔法属性の適正によるんです、多分できる人は少ないですよ?」

コッヘンさん「そうなのですか?どの属性があればできますでしょうか?自分は火と風と水、後は闇属性があるぐらいです。」

(うん?属性適性が4つしかないのか、それだと行程全部は覚えれないな、この属性でできる範囲だけ教えれば良いかな?)

*平民では4属性もあれば良い方だ。

「そうなんですね、うーんじゃあ、一応やり方は説明しますが、魔力量の問題でできない場合もありますのでそこは承知しておいて下さいね」

コッヘンさん「は、はい」

 そう言って、説明を始めた。

「まず、水魔法で魚の血抜きをします」

コッヘンさん「血抜きですか…、水魔法で水を出しながら洗い流すのですか?」

「いいえ、違います、魚の中に残っている血液を水魔法で操り、魚の体内から血を抜くんです」

(この魔法は水魔法っていうより魔力操作の方がメイン、だから、コッヘンさんでも頑張ればできるはず)

「「「「「「「えっ⁉︎」」」」」」」

ソル「はぁ」

 ソル以外の皆んなは驚いていた、でも何故かソルはため息を吐いた。

(あ、順番間違えちゃった、頭落とさないと血を出すところが無いじゃんね、失敗失敗)

「あ、間違いました!先に風魔法で魚の頭と尾鰭を切り落とさないといけませんでしたね、その次が血抜きで、その次が「ちょ、ちょっ、ちょっと待って下さい!」えっ?どうしました?」

 解体の順番を間違えつつもなるべく解りやすいように説明していく、だがその途中で待ったが掛かった。

コッヘンさん「あ、あの、水魔法で血液を操ることができるんですか?」

(え?そこから?)

「え、ええ、できますよ、あ、でも生きてる生物は無理ですからね!えっと…、そうですね・・・、簡単に説明しますと、まず、生きている生物には必ず大なり小なり魔力を持ってます、それが体内を血液のように常に巡り流れて、本人とは違う他人の魔力を弾き干渉できないのです、ですが死んでしまうと体内を巡っていた魔力が停止してしまうので、外部から新たな魔力を体内に浸透させることで干渉できるようになります、そうですね、残った魔力を自分の魔力に染めるように変換する感じです、多少、反発がありますが、そうして体内に残った魔力を自分の魔力のように操れるようになるんです、それを利用して残った魔力を水属性に変換し水魔法として体内の血液を操り血抜きできます」

仁「す、凄いね、アメトリン君、で、でも、それって凄く難しいんじゃ・・・」

「そうですね、対象の中に残ってる魔力より自分の魔力量が多くないと、操るのは難しいかも知れませんね?あ、これは魚だけではなくて他の動物でもやろうと思えば出来ると思います」

(難しいかも知れないけど、慣れればできないことは無いはず・・・?)

ソル「難しいのではなく、普通は無理です」

 ソルにズバッと無理って否定されてしまった・・・

「!、えぇー、でもソルもできるよね?」

(え、何で⁉︎)

ソル「できますが、僕達と同じ属性を持っていても魔力操作の力量と魔力量の差が歴然としているのです、それに普通の魔力量の方にはできない事ですよ」

「むぅ、そうか・・・無理か・・・じゃあ、血は普通に水で洗い流したほうが良いかな?うーん、なら普通に解体した方が楽かも?」

(えぇ、どうしよう、魔力操作の腕を磨いても無理なんかなぁ・・・)

ソル「そうだと思いますよ、それにアトリー様が先程おっしゃっていた、風魔法で魚の頭などを落とすのだって、良く切れる包丁で切ったほうが、普通の方は早いはずです、風を的確に操るのは難しすぎます、大体、真横から一直線に一刀両断するならまだしも、魚のえらをちゃんと避けながら頭だけ切り落とすのは僕でも難しいです」

(う、ソルでも難しい事を要求したって事は、僕、コッヘンさんに無理難題を押し付けちゃった⁉︎うわぁ、またやっちゃった・・・でも、そうなると教える事は無くなっちゃうんだけど・・・)

 自分の常識が他人にとっての非常識になることが多々ある僕は、良くソルやイネオス達に指摘されるのだが、いまだに平均的な常識を図りかねている。

「そっかぁ、コッヘンさんごめんなさい、教えてあげるって言ったのに・・・」

コッヘンさん「あっ、い、いいえ、お気になさらないで下さい・・・・、あ、マグロの解体はお任せ頂ければすぐ取り掛かりますのでお申し付け下さい」

(マジ、さぁーせん!!したっ!!)

「有り難う、じゃあ、マグロの解体はコッヘンさん達にお願いしますね…、その間僕達は他の食材を探しますか」

「「「「「はい」」」」」

 心の中でも謝罪し、気を取り直して食材探しの続きを始めた。

「よし、これで大体の食材は用意できましたけど、調理の方は仁さん達にお任せして良いでしょうか?」

 細々した調味料以外の食材を揃えて並べ、見渡す、今回は仁達が自ら調理するとの事だったので、確認してみると夢ちゃん以外は微妙な表情をしていた。

(何だ、その表情は・・・、さっきはそれなりに出来るって言ってたじゃん!)

「えっと、大丈夫ですよね・・・?」

仁「多分、大丈夫です・・・」

(ふ、不安だ・・・)










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