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第3章 少年期 学園編

82話 ドロップアイテムはなぁ〜んだ♪

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ギギィッ!! ザッ! シュワ~ッ ポトッ 

「しかし、出て来る魔物の種類って1階層ごとに結構変わるのかな?」

春雷『そうですね、この最初のフロアの魔物を基準に、フロアごとの特性が出てくる仕組みではありますね』

ギャギャッ! ビュッ! ザシュッ!! シュワ~ッ ボトッ

「あぁ、そんな感じか、まぁ、そんな急にマルッと変わるもんじゃ無いか」

春雷『たまにフロアによっては、出現する魔物の種類がガラッと変わるフロアもありますよ』

バサッバサッ!!

「へぇ、それはそれで楽しみだね、それにしても、さっきから“1階層“じゃなくて“フロア“ってわざわざ言ってるけど、このダンジョンって階層式じゃなかったの?」

キェーッ!! シュッ! ドスッ!! シュワ~ッ ヒュ~ッ ボトッ!

雪花『あ、それはですね、ここのダンジョンの“フロア“は上か下にあるのではなくて、横に広がっているからなんです、なので階層と、言うのでなはくフロア1、フロア2、と言った方が正しいです』

「へ?そうなんだ、じゃあ、1つのフロアごとがかなり広いんじゃ…、次のフロアに行く入り口は見つけるのに苦労しそうだね…、あっ、森の切れ目にココヤシの木が2つ並んで生えてる、でも、片方だけ円形に草木が生えてない、それに魔力も感じる…、片方は“レプリカプラント“か・・・紛らわしいなぁ」

 毒耐性を獲得してから海辺方面に戻る最中に、ダンジョン入り口方面とは反対の方向を斜めに森を移動していると、色々な種類の魔物に遭遇している。

 最初に僕を襲ってきた“フラワーモンキー“を初め、定番の“ゴブリン“に、空からは“フルーツオウム“が襲ってきた、後、遠目に“スライム“も見た、皆んなと会話しながら歩いて、襲われては瞬殺し、前に進む、ドロップアイテムの回収を天華達が請け負ってくれているので、気兼ねなく魔物の相手をしていた、すると、森の境目が見えてきて砂浜が姿を現した、その手前に“レプリカプラントのココヤシ“がいることに気づき立ち止まった。

「うーん、どうしよう、あの“レプリカプラント“一応、倒しておくか?隣にあるココヤシの実はとっておきたいし…」

雪花『アトリー様、“レプリカプラント“の落とすココヤシの実…、ココナッツは普通に生えているココヤシのココナッツとは、少し違いますよ、なので倒してその実を手に取ってみて下さい♪』

「おや?雪花のオススメ?…、なら、そのオススメに乗らないとね♪」

 雪花にオススメされて“レプリカプラント・ココヤシ“の感知圏内に侵入し、飛んでくるココヤシの葉を交わしながら進み、根元までたどり着くと太刀を抜刀し、一刀で斬り倒した。

 ザンッ!! ズルッ シュワ~ッ ボトボトッ!

 ドロップした“ココナッツ“を1つ拾い、マジマジ見つめる。

「う~ん?外見は知ってる“ココナッツ“と大して変わらないけど、何が違うのかな?う~ん、分かんない、一応、隣の“ココナッツ“も取ってみるか」

 サシュッ! ボトボトボトッ!

 そう言って、隣にあるココヤシになっている“ココナッツ“を見て、風魔法で“ココナッツ“だけを狙い切り落とした。

「やっぱり、外見はそう大して変わんないね、“見てみれば“解るかな?」

 どうぞどうぞ、と手を差し出す春雷と雪花、ジュール達も心なしかニヤニヤしていた。

「?、まぁいいか、“情報開示“・・・ふむ、・・・・・はぁ⁉︎」

 手に取った2つの“ココナッツ“を見比べてみると、普通の“ココナッツ“の情報は、前世での“ココナッツ“と大差ない説明文が書かれているだけであったのに対し、“レプリカプラント“が落とした“ココナッツ“にはこう書いてあった。

====================

 +レプリカプラント・ココナッツ+

詳細:このココナッツは、ダンジョン生まれの“レプリカプラント“が擬態した“ココヤシ“が、倒される事で落とすドロップアイテム、通常の“ココナッツ“とは違い、中身の果肉が“ナタデココ“に変わっている、食用可能でとても珍しい品種。
 そのまま食べれて非常に美味。

価値:不明

====================

「ま、マジか!“ナタデココ!って加工食品だったよね⁉︎それが“ココナッツ“から直接出て来るんなんて!信じられない!!・:*+.\(( °ω° ))/.:+」

 手に持った“レプリカプラント・ココナッツ“を凝視して、驚いた。

天華『ふふっ、アトリーが前世でよく食べていたでしょう?主神様はそれを再現するために中々努力されたそうですよ』

「ティーナちゃんが?…そっか…、ふふっ、ちゃんと見ていてくれたんだ、嬉しいっ♪ふふっ」

天華『このダンジョンはアトリーの嗜好、好みに合わせたダンジョンですからね、コレからも他にもたくさんアトリーの好きな物が出てきますよ、ふふっ』

「ふふっ、そうだったね、楽しみ!この“レプリカプラント・ココナッツ“は、見つけ次第、率先して倒していこう!」

(これで大量の“ナタデココ“ゲットだぜ!)

 好物の“ナタデココ“の登場に浮かれて、スキップもしながら、砂浜を波打ち際に向かいながら進んでいると・・・

 ザザザザッーザバァン!!

「え⁉︎何あれ⁉︎カニ⁉︎大きさがデカ過ぎじゃない⁉︎」

 僕の知ってるカニの大きさの範疇を超えた、体高1、5メートルもある大きなカニが砂浜から出てきた、そのカニは僕達を見つけると、大きなハサミがある方の腕を振り上げ、僕達めがけ振り下ろしてきた。

 ブゥンッ! ドカッ!!

「おっと!ほっ!」

 ドカァンッ!!! シュワ~ッ ボトッ!

 その攻撃を皆んなでヒョイっと避けて、少し距離を取りカニに向けて雷魔法の“ライトニングスピアー“を放ち、一撃で仕留めたすると砂浜に大きな黒い跡が残った。

「あ、やべっ、オーバーキルだ…、あ、ガラスができてら・・・そして、カニっ!しかも脚だけ⁉︎」

 ドロップアイテムとして落ちていたのは、カニ脚(食用可能)、形状からして“ズワイガニ“っぽい、襲って来たカニの形状は“シオマネキ“っぽいカニだったのに…、そして名前は“ベニガニ(“脚“)“…(惜しい)、そう、出て来たのは何故か脚の部分だけ・・・

「何故、脚だけ?・・・・・え、もしかして、僕が蟹味噌、嫌いだから?」

 思い当たる節があるので聞いてみると。

天華『でしょうね』

「そっか~、確かに、蟹味噌は嫌いだけど、可食部分は体の方が多いんだよなぁ、それにカニ本体から良い出汁が取れるから、カニ全体が欲しかった・・・」ザザザザッーザバァン!!

 そう呟くと、また砂浜から先程と同じカニの魔物が突然出てきて、僕達を襲った、驚いたがすぐにさっきと同様に雷魔法で倒すと、落ちて来たドロップアイテムにさらに驚かされた。

「え、今度は丸ままのカニが出てきた!」ザザザザッーザバァン!!

 そう叫ぶと、同時にまたカニの魔物が出てきて、また同じように倒す、次に出て来たドロップアイテムは何故か500mlサイズの陶器の瓶だった。

「え?次は瓶が出てきた?何これ?何か入ってる?・・・・・へ⁉︎“カニ出汁“⁉︎なんで⁉︎Σ('◉⌓◉’)」

 出てきた瓶を手に取り“情報開示“で見てみると、今度は何故か“カニ出汁“と書いてあった。

「こ、これは、今僕が言った事が反映されてる?」

春雷『そうです、ここはアトリー様の好きな物を出すのが目的のダンジョンなので』

 当たり前でしょう?と言った雰囲気の皆んなにちょっと気圧されていると。

「そ、そっか~…、・・・ん?・・・・・今思ったけど、さっきから連続でドロップアイテムが出てきているけど、ここのドロップ率は高いの?」

夜月『あぁ、それはアトリーの加護が関係している、本来ならそう簡単には出てこない、出てきても魔石、もしくはリトス硬貨が出て来るだろう』

「んん?僕の加護?」

 なんともあっさり答えてくれて、ちょっと混乱しそうだ。

ジュール『うん、主神リトスティーナ様の加護の効果だよ!』

「え?あ?ん?ティーナちゃんの加護の効果って、身体能力の向上とかスキルレベルの上がりやすさ、とかじゃなかったっけ⁉︎」

ジュール『うん、それもだけど、他にも色々効果があるよ!スキル習得の補助とか、幸運になったり、病気しなくなるとか、色々!』

天華『今回はその中の“幸運“の部分が、大いに効果を発揮しているんでしょう、それに精霊王の加護も影響して、アトリーの欲しい物がドロップしやすくなっているんですよ』

「あぁ~…、そんなに色々効果があっただなんて・・・、うん!まぁ、いいか!好きな物が出て来るなんていい事だし!気にしてもしょうがないからね!」

 いつも通りのポジティブ思考に切り替え、先に進む事にした、海に向かって歩いて行くと、今度は少し大きめのヤドカリの魔物が出てきた、すぐさま倒して出てきたドロップ品を見て遠い目をした僕。

「うん、知ってた、名前みた時から知ってた・・・・」

 出てきたのは脚が太くてトゲトゲした“タラバガニ“、倒した魔物の名前が“タラバヤドカリ“・・・、そして、さっきの大きいカニの魔物の名前は“ビックラブ“…、「ダジャレか!!」と、大いに叫んだ。

 次々出てくる、カニやヤドカリを倒していると、今までとは少し違ったカニが少し遠くに見えた、大きさはそれほど大きくないが背中にキラキラ輝く石を背負っている。

「わっ、綺麗な石を背負ってる!何なに?・・・・・“ジュエルクラブ“?、背中のあの石、“ジュエリーコーラル“なの⁉︎凄い!ふむふむ?」

 見つけたカニを“情報開示“で見ていると、どうやらあのカニはこのダンジョン特有の魔物ではなく、この世界既存のカニの魔物らしい、なのでこのダンジョン以外でも生息しているらしいが、生息域がウェルセメンテ王国の近くにある海底にあるため、通常では滅多にお目にかかれないようだ。

「へぇ~、そうなんだ、珍しいんだ、アレ倒したら“ジュエリーコーラル“がドロップするのかな?そしたらココにたくさんの冒険者が一攫千金狙って詰めかけるね♪これで、ニモス叔父様達にも利益が出るね!」

春雷『そうですね、ですがこのカニ、フロア1では滅多にお目にかかりませんよ、よく出てくるフロアはまだ先の方ですね、今回はアトリー様の神の加護の影響で出てきているみたいです』

「あ、そうなのね?でも、アレが出て来ることが分かってれば、皆んなあのカニを目当てにいっぱいきて来れるよ!それに海の精霊達が僕だけじゃなくて叔父様達のことも考えてくれて、とても嬉しい♪」

 そう言うと、周りに色々な光の球が現れてキラキラと光った。

「わぁっ♪キラキラ♪」

雪花『アトリー様に喜んで頂けて、皆もとても喜んでいます、それと、海の方にも人間が喜びそうな物をドロップする魔物がいるので、ぜひ、見つけて倒してみて下さい、と』

「ふふっ、皆んな有り難う♪じゃあ、あのカニ、倒して海の方を探索しようか♪」

 そうお礼を言って見つけた“ジュエルクラブ“に雷魔法を叩き込む、すると出てきたのは綺麗な紫色した“ジュエリーコーラル“だった。

「あ、“アメジストコーラル“って出てる♪これで一昨日ビーチで拾った?貰った?が正しのかな?その“シトリンコーラル“と合わせると、僕の瞳の色が揃ったよ!綺麗だね!」

ジュール『あ、本当だぁー』天華『いい色ですね』夜月『そうだな、綺麗だな』

 ほらっと言って、“無限収納“から出した“シトリンコーラル“と、今ドロップした“アメジストコーラル“を出してみせた後、それをくっつけてダンジョン内の“擬似太陽“にかざし光を通しながら見つめた。

「ふふっ、紫色と黄色のコントラストがキラキラして綺麗、僕の瞳もこんな色してるのかな?」

春雷『そうですね、とてもお綺麗ですよ』雪花『アトリー様の瞳の色合いの方が綺麗です』

「ふふっ、有り難う…」

 しばし、海風に頬を撫でられ、手に持ったキラキラ光る“ジュエリーコーラル“の角度を変えながら、うっとり眺めたあと、丁寧にハンカチに包み“無限収納“になおした。

「ふふっ、よし!次は海!行くぞぉ~!」

 と元気に歩き出し、出て来た魔物を倒しながら海の波際までたどり着くと、波際の所々にポツポツと小指が入る大きさの穴が空いていた。

「うん?貝でも潜り込んでるのかな?」

 ツンツンッと、突いていると。

天華『アトリー!無防備に素手で突かないで下さい!危ないですよ!』

 と、叱られた。

「むぅ、分かったよ~、でも、何も出てこないね?」

雪花『あ、このダンジョンにはそこそこ外界の野生生物を取り込んでいるので、その中の1つに、ここら辺に潜っている貝が入ってますね、なので今アトリー様が突いていた穴は魔物の貝では無い、普通の貝の巣穴?って事です、ですがこのフロアにも魔物の貝はいますので気をつけ下さいね?』

「ほう、そうなんだ!じゃあココ掘り返したら貝がいるってこと?食べられるかな?掘り返してみよう!アサリとかだったら嬉しいかも、あ、ハマグリとか?珍しいのでマテ貝とか!後、ホタテとか!色々あるよね!あ!でもホタテは北の寒い地域しか取れないっだっけ?」

夜月『落ち着け、アトリー、そんなこと言ってないで砂を掘ってみて、確かめたらいいじゃないか』

「あ、そうだね!」

 夜月に宥められて、素手で砂を掘り起こした、すると出て来たのは、そこそこ大きく扇状の独特な形をしている二枚貝が出て来た。

「あ、“カラーシェル“だ!この貝、良くみるとホタテ?似てる、それにしてはフォルムが丸っこい、漫画やアニメに出てくるデフォルトされた貝とそっくり、色はピンク?それにしては色が薄い、白に見えるね、あ、でも桜色にも見える♪」

雪花『アトリー様、はい、そうですね、一応ピンクですね、これだけ薄いのは珍しいですけど』

「ふーん、じゃあ、この中にこの色の“カラーパール“が入っているんだね?あ、でも入ってるかどうかは分かんないか…、ん?そう言えば、これって食べれるんだったね・・・美味しいのかな?ジュルッ…」

ジュール『アトリー、よだれっよだれっ!』

「おっと」グイッ「お腹空いてきたな、そろそろお昼ご飯の時間になるか、よし、海辺の調査が終わったら父様達の所に一旦戻ろうか」

 一応、お昼ご飯をお弁当にして持って来てはいるが、思ったより早く見学が終わりそうなので、父様達とお昼を取るのもいいかと思っていた。

(それに、皆んなを早くこのダンジョンに案内してあげたいしね)

 騎士達による調査と、兄弟達のダンジョン入りを一度に済ませる方法を考えていた僕、一応、解決策を用意しているので早めに海辺の探索をしようと、波打ち際をよく観察しながら歩き出した。

「あ、魚!あれはアジ?ん?あっちはクマノミ?ヒトデもいる!」

 海の中にいる生物に心躍らせながら、ダンジョンの入り口方面に向かって歩き、海から飛び出てくる魔物を倒し、出て来るドロップアイテムに大喜びする僕、海沿いの探索はこれと言った怪我もなく(むしろ無傷)、終了し、ダンジョンのフィールドから神殿へ戻った、そして父様達の下に戻る前に試してみたかった事をして、父様達を大いに驚かせるのだった。














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