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第3章 少年期 学園編

64話 あれ?夏をエンジョイしている⁉︎

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 はい!どうも!僕、ですっ!! 今、海に来ていまーす!!ドンドンッぱふーー!!(((o(*゚▽゚*)o)))♡

 コンテ領の街を堪能した翌日から、順調に領地のお屋敷に帰りつき、のんびりする間もなく2日後には、またもや馬車に揺られて領地内にある大河沿いの少し大きめの村に行き、川降ってライヒスル帝国の国境に面するマルキシオス領に入り、領内を川から海側へと横断しマルキシオス領の領都に到着した、何を隠そうここは母様の実家があるのだ!母様はマルキシオス侯爵家前当主の次女で、現マルキシオス侯爵当主の妹だったりするのだ!

 要はここには母方の叔父夫婦と祖父母が暮らしているのである、まぁ、ここに来るのは初めてではなく2回目だったりするんだけどね・・・

 川を下っている間はほとんど村や街には寄ってないので、領都まで6日しか掛かってない、マルキシオス領に入るまでの川下り途中に、ズローバ領にある村で食糧を補充したぐらいで、後は領都に急ぐために宿泊した街は2つだけで、特に面白い事があったわけではないので、移動中の話は割愛させて頂きます。m(_ _)m

 さてはともあれ、久しぶりにマルキシオス領に来て、母方の叔父夫婦と祖父母に顔を見せるので少し緊張したが、まぁ、出会い頭に母方の祖母、プラセルお祖母様にダイレクトアタックを喰らわされ、がっちりホールドされてしまったのだ・・・

プラセルお祖母様「きゃー!アトリー君ったら、また一段と可愛くなっちゃって!どうしてこんなに可愛いのかしら!」

ギューッ!「おふっ」

(おぉー!久しぶりにきたーっ!くっ、首が・・・)

 僕の首周りに腕がいい感じに嵌り、締め上げられているように見えるが、プラセルお祖母様の力はそれほど強くはない、でもある程度苦しいので早く離してもらいたい。

(締め上げられているって、言うより、ぶら下がっているって、感じだから首の後ろが痛いんだよね、プラセルお祖母様身長が低いから、いつもの感じでぶら下がってくるんだよね・・・)

 プラセルお祖母様は小人族の血が混じっている、人族の女性の平均身長より少し低いので、背の高い旦那、前侯爵家当主のモンドお祖父様に抱き付くとぶら下がる格好になる、その癖で人に抱き付くときは相手にぶら下がってしまうのだ、特に身内には加減というものを忘れがちだ・・・

モンドお祖父様「こらこら、プラセル、アトリーが苦しそうだぞ、離して上げなさい」

プラセルお祖母様「あ、ごめんなさいね、久しぶりに見たアトリー君が可愛くて、つい抱きついてしまっちゃったわ、ほほほっ」

「ふぅ」

 モンドお祖父様に注意されてやっと僕から離れたプラセルお祖母様、2人が並ぶと見事に凸凹でかなり身長の差がわかる。

モンドお祖父様「すまないね、初めて会う子達もいると言うのに、うちの妻が挨拶を飛ばしてしまって申し訳ない、私はイエロモンド・ノブル・マルキシオスと言う、簡単に言うとの公爵夫人のシトリスの父だ、以前はマルキシオス侯爵をしていたが、今はただの孫好きのジジイなので気安く、“モンドさん“とでも呼んでおくれ、皆んな疲れただろうゆっくりして行きなさい」

 と、親しみやすい自己紹介をしたモンドお祖父様は、先祖にジャイアント族、巨人族がいたようで覚醒遺伝のせいか、とても身長が高い2メートル弱はありそう、でも巨人族の人みたいに筋肉がモリモリした感じのゴリマッチョではなく、スラッとした細マッチョさんだ、顔もイカつい感じはなくほっそりとしたチョイ垂れ目の爽やかイケメンを、少しふけさせただけで、お祖父様と呼ぶには外見が若すぎる、瞳の色は鮮やかな黄色の“イエローダイヤモンド“のように透明度が高く、キラキラしている、髪の色は暗めの銀髪で肩まである髪を後ろで一纏めに結んである。

 優しい笑顔で挨拶をされて、プラセルお祖母様とのギャップに戸惑いながら、「ど、どうも・・・」「よ、よろしくお願いします」「お、お世話になります」と、挨拶を交わす仁達、背が高いモンドお祖父様を見上げていると。

プラセルお祖母様「驚かせてごめんね、私はプラセル・ノービレ・マルキシオスだよ、気軽にプラちゃんって呼んでね♪」

 凄く軽い感じに自己紹介したプラセルお祖母様、身長は僕よりやや高くて143センチほどの小柄な体型で、顔はぱっと見、子供にも見えるぐらいの小人族特有の童顔、目がパッチリしていて大きく、瞳の色は発色の良い鮮やかな赤色で“レッドアンバー“のようだ、白に近い水色の長い髪は身長を優に超えているが、綺麗にまとめてヘアセットされている、色黒で元気いっぱいの明るい雰囲気で人なっこい性格のお祖母様だ、こちらも小人族の特性か年齢不詳で10人の孫もちには全く見えない、僕の母様もそのせいか30過ぎで40間近なはずなのにいつも20代前半に見える、ついでに言うとプラセルお祖母様はボンッキュッボンッのナイスバディだ。

ニモス叔父様「すまないね、母の呼び方はプラ叔母さんやプラさんでも好きに呼んでいいよ、それこそプラおばあちゃんでも構わないからね、あ、紹介が遅れたが私はマルキシオス侯爵家当主のプロニモス・ノブル・マルキシオスだ、シトリスの兄だ、気軽にプロニモスと呼んでくれ、それと今ここにはいないが妻と子供が3人いるので後で紹介するよ」

 優しく微笑むこの人は、高身長で顔はモンドお祖父様似でチョイ垂れ目の爽やかなイケメン、髪色はプラセルお祖母様と同じで白に近い水色、瞳の色は茶色に近い赤色をしている、そんな全体的に優しい印象の人の良さが滲み出ているニモス叔父様だが、一度剣を持って戦い出すとそれはもう豪快な剣裁きで、敵をバッサバッサと斬り倒す剣豪なのだとか、繊細な魔法が得意な母様とは正反対の特技を持っている叔父様、でも家族思いで優しく領民にも大人気な自慢の叔父様だ。

 そうして、プラセルお祖母様の自己紹介が終わった後、とても反応に困っていた仁達を見て、マルキシオス侯爵家の現当主であるニモス叔父様が自己紹介し、仁達も自己紹介を済ませ、うちの大人達との挨拶も交わし終わると、やっとお屋敷内に入る事ができた。

 今回の母様の実家帰省するに当たって、うちの兄弟全員が揃ってついて来ていた、そこにソルのお母さんのセラスさんも強制参加させられている、なのでかなりの人数が寝泊まりするのだが、それをモノともしない大きなお屋敷は、うちの領地の公爵家の屋敷と同等の広さをしている、使用人さんも多くテキパキと荷物を馬車から下ろし、僕達が寝泊まりする部屋に運んで行っている、そして他にも一緒に滞在する予定の人達がいる、遅れて合流する予定なので早く来ないかなぁ、と今からワクワクなのだ♪

ニモス叔父様「あぁ、そうだ、アトリー、君の友人達はもう到着しているよ、荷物を置いたらサロンで皆んなで集まろう、お茶をしながらゆっくりすると良い」

「え!本当ですか⁉︎ニモス叔父様!予定では明後日に到着予定だったのでは⁉︎」

 ニモス叔父様の口から楽しみにしていた待ち人の到着の知らせを聞き驚いた、その待ち人は前回ここに来た時も一緒に来ていたイネオス達の事だ、前回はイネオス達子供だけで来ていたが、今回はイネオス達のご両親と他のご兄弟達も一緒に滞在する事になっている。

ニモス叔父様「あぁ、それがどうやら、用事が早く済んだみたいでね、船旅も順調だったようで君達のくる少し前に到着したよ」

「わぁ♪そうなんですね、良かった!教えて頂き有り難う御座います!」

(おぉ!すでに着いていたとは!!早速明日、朝から一緒に遊べる♪(≧∇≦)ヒャッホーイッ!)

ニモス叔父様「ふふっ、どういたしまして、うちの子達も皆んなに会いたがっていたよ、良ければ一緒に遊んであげてくれ」

 と、うちの兄弟とソルや仁達に優しく笑いかけて、中に案内してくれた、その後は各自部屋へ案内されて荷物を下ろしサロンに集まった、今回は滞在する人数が人数なので、各家庭の両親の部屋に10歳以下の子供達が一緒に寝泊まりすることになり、兄様や姉様達は男女に分かれて2人ペアになって泊まるみたいだ、イネオス達のご兄弟達は皆んな年齢が近い幼馴染どうしで2人から3人一緒に泊まる事に、でもそこは皆んな慣れた様子でサクサクッと部屋割りが終了したらしい。(そう言えば、イネオス達のお兄さんとかお姉さん達とはあまり喋った事ないなぁ、ちょい避けられてるっぽい・・・)

 そして荷物を部屋に下ろして着替えてサロンに向かうと、そこには先に到着していたイネオス達とそのご家族皆んなが、ニモス叔父様の奥さんとその子供達と楽しそうに談笑していた。

ネニュス叔母様「まぁ、皆さんお久しぶりです、お待ちしておりましたわ」

 と、ほわわんっとした優しく柔らかい笑顔で僕達に挨拶をしてきたのは、“ネニュス・ノービレ・マルキシオス夫人“、ニモス叔父様の奥さんで僕の叔母に当たる女性だ、少し垂れ目で泣きぼくろのある瞳は、薄いオレンジ色で“マンダリンガーネット“のように透き通った色をしていて、髪色は濃い青色をしている色白で楚々とした立ち振る舞いでとても品のある人だ、“清楚“と言った言葉がピッタリハマる美人さん。
 でもこの人、実は“王家の影“の一族の出身でカイルさんのお姉さん、諜報能力は一族の中で2番目の実力を持った人なんだとか、ニモス叔父様に惚れて一族の反対を押し切り嫁入りした豪胆な人で、旦那一筋らしい・・・・、人って見かけに寄らないよねって話がよく分かる、似たもの夫婦なマルキシオス侯爵家夫婦だ。

 出迎えてくれたネニュス叔母様に大人達と一緒に挨拶を交わし、仁達も自己紹介をして挨拶を交わし終えイネオス達とも挨拶を交わす。

「イネオス達が先に来てたなんて驚いたよ、でも良かったよ早く皆んなに会いたかったからね」

イネオス「僕達も思った以上に早く到着できて驚きました」

 どうやら、お父さん達のお仕事の件は早く用事が済んだようで、事前に領地から王都に呼び出していた他のご兄弟と一緒に、これと言って問題もなくスムーズにここまで来れたとか。
 今回ご両親やご兄弟も一緒に来る事になったのは、以前イネオス達が子供だけ来ていて肩身が狭そうにしていた事と、ご両親がいなくて寂しそうにしていた所を見ていたニモス叔父様の粋な計らいで、家族全員を招待してくれた、仁達も来るし人数が多い方が賑やかで楽しいだろうと、叔父様の鶴の一声で今回の旅行が決まったのだ、実際、仁達はこの世界に来て話したりする同世代の人達は、うちの兄弟とあのお姫様以外ほとんどいなかったので、イナオス達のご兄弟がいると色々と楽しめるだろうと思う僕だった。(うんうん、同じ歳の人の方が気兼ねなく色々と話が盛り上がるだろうね)*完全に親戚のおばちゃん化した僕。

 そして、今回の訪問で1番楽しみにしていたのは、この家のアイドル“マディラ・マルキシオス“に会うことだ、“マディラ“は前回訪れていた時に生まれた今年2歳になる女の子で、この家、マルキシオス侯爵家の次女になる、今まで僕より年下の親戚はいなくてちょっと寂しかったが、この子が生まれた時はとても喜んだ、それに僕は久しぶりの赤ちゃんとの触れ合いにウキウキしっぱなしだった。

(はぁ~、なんで赤ちゃんってあんなに可愛良いんだろう?お手手は小さくてぷっくりして可愛くて、ほっぺはサラサラしてプニプニしてて食べちゃいたい!)

 前世で甥っ子、姪っ子の面倒を見ていた時からの子供好きで、特に1、2歳の赤ちゃんを見ているのが好きだった、赤ちゃんの最初は自分自身1人では何もできないのに、ほんの数カ月会わなかっただけでハイハイしたり、立ったり、して一生懸命成長していく姿がとても嬉しくて愛おしいと思っている、そして喋り始めた時に僕の事を呼んでくれた時の嬉しさと言ったら、言葉で言い表せない喜びで溢れるのだ。

(あの、“おぉばぁ~まぁ“って、言えてるのか言えてないのか分からないけど、笑顔で手を広げながらおぼつかない足取りで向かってくる姿はマジ可愛すぎた!!)

ジュール『?ねぇ、アトリー、その“おぉばぁ~まぁ“って何?』

(うん?あぁ、それはね、前世で僕の事を“おばま“って言わせてたんだよ)

ジュール『??“おばちゃん“じゃなくて?』

(そう、前世での姉さんが仁が生まれて喋り出した頃に、皆んなの呼び方を教えてる時にふざけて「そうね、咲子は仁の叔母さんで第2の母だから“叔母ママ“で“おばま“ね!」って、言い出して、自分も(良く預かって面倒見ているし、あながち間違ってないから)、もうそれで良いかって思って、それがそのまま定着しちゃったの、その後生まれてきた甥っ子姪っ子達にも、その親達が教え込んじゃって訂正するのも面倒になって、甥っ子姪っ子全員からそのまま“おばま“って呼ばれてたね、でも僕が死ぬ前で1番下だった姪っ子の“こと“と甥っ子の“聡太《そうた》は、まだ2歳半ぐらいだったから“おばぁ“止まりだったけどね)

 ついでに言うと、母、祖母の事は“ばぁば“って呼ばせてた。

ジュール『へぇ、面白いね!』

(でしょ?あの頃、“こと“が1番僕に懐いていたから、もうギュン可愛いくて、ほっぺたすりすりしちゃっても喜んでいたのが、今でも忘れられないよ)

 ジュールとそんな話をしている内に、ネニュス叔母様が“マディラ“を抱いて連れてきてくれた、最初は沢山の人達がいて人見知りしていたけど、しばらく一緒に遊んでいると、笑顔で抱っこをねだられるまで仲良くなった。

マディラ「あ~、ぁっこ!」

(初めて会った時はまだ目も見えてない時だったから、仕方ないけど、こうして遊んでるうちに打ち解けてくれて良かった♪赤ちゃんは本当すぐ大きくなるね、可愛い!)

「ふふっ可愛いマディラ、抱っこ、ぎゅーだね♪」

マディラ「あ~、ぁっこー、ぐぅー♪」

「そう、ぎゅーっ♪」

 ふくふくとした小さくて紅葉のような可愛い手を一生懸命開いて、抱きついてくる姿が可愛くてしょうがない、母親に似たのか少し垂れ目の目に名前の通り“マディラ“のオレンジがかった赤い綺麗な瞳に、濃い青色の短い髪を頭のてっぺんで小さくちょんまげ風に結んであり、そこにリボンが着いていた、それで可愛さ割り増し効果が発動し僕が鼻血を吹きそうになった。

天華『アトリー、顔が緩み切ってますよ、それにまだ夏の海も堪能してないのに、鼻血を出して倒れないで下さいね?』

 マディラの可愛い仕草にやられて、ゆるゆるの顔で抱っこする僕に、天華が呆れた声でツッコミを入れてくる。

(はっ!まだ、夏の海をエンジョイしていない!)

 今更ながらに今回きた目的の一つを思い出した僕なのであった・・・













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