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第3章 少年期 学園編
34話 冒険初日!11 打ち上げ
しおりを挟むアンテレさん「はい、では皆さんこれで全ての手続きが終わりました、初の依頼達成おめでとう御座います!お疲れ様でした!」
「「「「「有り難う御座います!」」」」」
わぁーい パチンッ
(うふふっ、これで将来の冒険者ライフの第一歩を踏み出したぜっ!)
初の依頼達成に皆んなでタッチして喜び合いキャッキャウフフしていると、アンテレさんがジル叔父様が残して行ったお金の事を思い出させてくれて、それからそのまま打ち上げをしようと言う話になり隣にある食堂に移動した。
アンテレさん「では、皆さんお好きな物をこちらでご注文下さい、メニューはあちらの方に書いてあります」
先程見学で見た注文カウンターまで来るとアンテレさんがメニューが書いてある場所を教えてくれた。
(メニュー遠っ、なんであんな所に?それに字が消え掛かってる、うーん、適当にジュースとウィンナーの盛り合わせていいか?)
カウンターの上の方に看板みたいにぶら下がっていたメニュー、自分の身長が低いのは仕方ないが文字が掠れている事もありとても見にくい。
「あの、腸詰の盛り合わせってどれぐらいの量なんでしょうか?」
アンテレさん「えーっと、そうですね、あぁ、丁度出ましたね、これがその腸詰の盛り合わせです」
と、言われ出てきた量を見ると。
「わぁ~」
(・・・多いっ!なんだあの量は!)
料理の皿の大きさもさる事ながらウィンナーの量が半端なかった。
(皿ってか、お盆だよねそれって感じだし、その上にあんな大きなウィンナーとあれはフライドポテトかな?が こんもり山盛りに載ってるよ…20本以上ありそう、僕1人じゃとても食べきれない、やめとくか)
ベイサン「わぁ~美味しそう!アトリー様アレを皆んなで食べませんか?」
「え、ベイサンも食べたいの?」
ベイサン「はい♪」
「そうか、皆んなもどうかな、僕とベイサンだけじゃ多いと思うだよね」
イネオス「僕も食べたいですっ」
ヘティ「私も少しだけいただけますか?」
ソル「僕も良いでしょうか?」
「うん、じゃあみんなで食べようか♪」
ちょっと食い気味にイネオスが提案に乗ってきた、それに続いてへティもおずおずと参戦しソルも提案に乗ってくれたので“腸詰の盛り合わせ“は注文が決定された、後はそれぞれ気になった料理を1つ注文してシェアして食べる事に最後に飲み物を頼むと空いている席に座った、代金はアンテレさんがジル叔父様から預かったお金で支払いを済ませてくれた
(ジル叔父様ったら金貨一枚(10万リトス)を置いて行くなんて、太っ腹だよ)
料理の値段が1品500リトス~800リトス前後なのに対してあまりにも多かった、一般市民向けの家庭料理なので値段の割に量も半端無い、なので僕達5人と聖獣3匹が注文してもお釣りはたんまり出た。
「ふふっ、料理楽しみだね♪」
ヘティ「そうですね♪」
ベイサン「頼みすぎた気もしますが大丈夫でしょうか?」
イネオス「今日の夕飯はいらなさそうだね、家でも夕飯も作ってあるんだろな、そう思うと申し訳ない感じがするよ」
ソル「そうですね、まぁ、ここで食べて行くことは予想はされていると思いますので多分 大丈夫ですよ」
「あー、そうだといいな、僕も今日 外で食べるって言ってなかったし・・・」
ソル「そうですね、予定はしていませんでしたし、でも、帰り際に出店には寄るつもりでしたでしょう?」
「まぁ、それは寄れたら良いなぁってぐらいだったよ、思いがけない事故で行きが途中から歩きになったお陰で出店を堪能できたから満足はしてたんだけどね、でもまぁ、今回はジル叔父様のご厚意をありがたく受け取っとこう、次からは冒険者活動の前の日に夕飯を外で食べるか相談してから来ようね」
イネオス「そうですね、その方が事前に夕飯を断ったりできますからね」
そう話していると、注文した料理が次から次へとやってきて、テーブルが料理や取り分け用の食器などで一杯になった。
ベイサン「わぁ~、美味しそうっ!」
ヘティ「良い香りですね」
「料理も全部届いたようだし、もう食べようかっ!」
「「「「はいっ!」」」」
「では、頂きます」
「「「「頂きます」」」」
それから それぞれ気になった料理を自分の取り分け用の皿に少しづつ取って色んな家庭料理を楽しんだ、ジュール達はシンプルに(多分、牛肉)のステーキを細かく切って貰った物を嬉しそうに食べていた。
「んっ、この腸詰 ちょっと味濃ゆいけど肉肉しくておいしっ」
(うん、ザ・肉っ!って感じだな、これに色々ハーブとか入れたら、また味が変わってくるんだろうな、ウィンナーの皮の腸もパリッといい張りしてるのに勿体無い)
脳内でウィンナーの評価をしている間に食べ盛りの男子3人、イネオス、ベイサン、ソル、がモリモリ料理を食べていた。
(早っ!、さすが食べ盛り・・・、あ、ちゃんと僕の分は避けてあるんだね)
3人の圧倒的食欲に少し引きつつ、ソルがわざわざ僕の皿に取り分けてくれている物をのんびり食べる事にした。
「ふふっ」
ヘティ「どうしました?アトリー様?」
「ふふっ、楽しいなぁーって思って」
ヘティ「ふふっ、そうですね、楽しいです♪」
「だよね、また一緒に冒険しようね♪」
ヘティ「はい♪」
隣に座っていたヘティと僕は今この光景を心に留め置き、次の冒険に想いを馳せた。
?1「おぉ?ガキンチョ達が打ち上げしてんのかぁ?」
?2「あーっ、さっき俺らの訓練を覗き見してたガキどもだ」
?3「あぁ、さっきの可愛い子達ねぇ、間近で見るともっと可愛いわ~っ!」
?4「・・・・ちっ、ガキは嫌いだ・・・」
?5「へぇ~、良いとこの坊ちゃん なんじゃない?装備も良さそうだし~」
ガヤガヤと訓練場の方から大人数の冒険者達が食堂に入ってきた。
(さっき見かけた人達だ、しかし、柄悪いなぁ~、人数も多いからどこかのクランメンバーかな?気になるけど絡まれるのは嫌だからお祖母様が言ってた通り無視しとこう)
イネオス達も入って来た冒険者を見ていたけど僕が首を振ったので関わらないように目を逸らした。
ドスドスドスドスッ!
?1「あぁっ?このガキ!一丁前に俺らを無視してんじゃなねぇよっ!」
最初に僕達をガキンチョ呼びしたソフトモヒカン頭の大男が大きな足音を立てながら近づいてくる。
?6「やめなよっ!この間も注意されたでしょっ!」
ガシッ
ソフトモヒカン「あぁんっ⁉︎うるせぇーよっ!どこのガキか知らねぇーが、俺はお高くとまった貴族のガキが大きれぇなんだよっ!」
バッ!
ショートカットの優しそうなお姉さんがソフトモヒカンの男の肩を掴み止めに入ったが男はそれを振り払いお姉さんに怒鳴り散らした。
「おいおい、アイツら あの子供の事 知らねぇのか?良いのか?止めなくて?」
「そう思うんならお前が止めてこいよ」
「でもよ、アイツら人の言うこと聞かねぇじゃんよ」
「まぁ、確かに、いつも俺らのこと馬鹿にしたような態度とるもんな~」
どうやら、僕達に絡んできた冒険者グループは日頃から態度が良く無いようだ。
(うーん、人の話を聞かないのはいけないよね、しかし、無視しても絡まれるのはどうしたもんか・・・)
夜月『外に叩き出すか?』「グルルルルッ!」
(どうしたの?夜月、今日はやけに好戦的だね?)
いつもなら 絡まれた僕の横に来て相手を牽制するだけで、なるべく手を出さない夜月が積極的に相手を排除しようと進言してくる。
ジュール『あの男の人から変で嫌な匂いがする~、だから外に出そうっ!』「ガウッ!」
(あらら、そうなの?んーでもなぁ、それだけの理由で外に出しちゃうのは駄目だと思うんだ、まだ手を出された訳じゃないからね)
天華『確かにそうですが…』
夜月『だがアトリー、あの男は多分、薬物を使用しているぞ』
(えっ、薬物?薬?どんな?やばいやつ?)
夜月『落ち着け、前世でも似た様な薬物犯罪があっただろう?この国で見たのはこれが初めてだから、多分この男達は他国の人間だろう』
天華『確かに、それにアトリーの事を知らない様ですしね…』
(薬物犯罪、麻薬?大麻のこと?それとも覚醒剤?)
夜月『独特な匂いと症状からして覚醒剤の類いだろう、薬の効果が切れかかってやたら苛立っている様だしな』
(あー、そんな感じだね、それにしてもその薬物をどこから持って来たんだろう、他国からわざわざ持って来たのかな?この国で無ければ良いけど・・・)
ドンッ 言い争いしていた、ソフトモヒカンの男とショートカットのお姉さん、ついに男の方がお姉さんに手を出し突き飛ばしてしまった。
(あらー、これはやばいんじゃ…)
?3「ちょっと!何してるのよっ!やり過ぎだわ!」
?5「そうだよっ!ちょっと注意されただけで突き飛ばすなんて酷いじゃないか!」
「「そうよ、そうよ!」」
同じメンバー内の女性陣から非難の声が多数上がり男は苛立ちで今にも切れそうな状態だ。
ソフトモヒカン「あんだとぉ!!俺に喧嘩売ってんのかぁ!」
?2「おいっ!良い加減にしとけっ!仲間内で喧嘩すんじゃねぇ!ザイン!これはリーダー命令だ、大人しくしろ!これ以上クランの恥を晒すなっ‼︎」
とうとう、パーティーのリーダーに忠告を受け、今にも女性陣に殴りかかろうとしていたソフトモヒカン・ザインは振り上げていた腕を渋々下ろした。
ソフトモヒカン・ザイン「ぐっ!・・・ちっ!分かったよっ!ふんっ!・・・・・大体このガキどもが俺を無視しやがるから・・・」
ギロッとこちらを睨みつけてきた男はニヤリっと嫌な笑いをしながら僕達に近づいてきた。
ソフトモヒカン・ザイン「おう、ガキンチョ!一丁前に使役獣なんて飼いやがって」
夜月『アトリーに近づくなっ!』「ガウッ!グルルルルゥ~ッ!」
ジュール『くさい!どっか行けっ!』「ガヴッ!ヴゥゥ~~ッ!」
ソフトモヒカン・ザイン「良いのかぁ、使役獣が何もしていない俺に飛び掛かったりしたら、躾が出来ていない使役獣は殺処分だぞっ」
最初から男に敵意を露わにしていた夜月達にニヤニヤ笑いながらそう言ってくる男、僕はずっと無視して振り返らない、イネオス達も呆れた顔で男を見てため息を吐いた。
ソフトモヒカン・ザイン「なんだお前ら、その態度はっ!おい、この使役獣の飼い主は誰だっ!お前か⁉︎無視すんなっ!このメスガキッ!」
ダンダンダンダンッ!
リーダー「おいっ!良い加減にしろっ!」
(メスガキねぇ、髪型で判断したのかな?)
リーダーの静止も聞かずに僕を掴もうとした男の前にいたのは夜月とルージュ、
ジュール『アトリーに触れるなっ!』「ガヴゥゥ~‼︎」
ドコッ‼︎
夜月『容赦はせんぞっ!』「ガヴッ‼︎」
ダンッ‼︎
天華『お馬鹿さんですね…』「きゅ~ぅ」
(本当にね・・・)
一瞬にして男に飛びかかった夜月達、ジュールは腹に体当たりして男を吹き飛ばした後また僕のそばまで戻って来た、夜月は高くジャンプして顔を蹴ってそのまま踏みつけたまま着地、天華は僕の肩でその光景を見守っていた。
男は思いっきり腹を強打され飛ばされたあげく顔を踏みつけられて行き良いよく後頭部を打ち付けた、横に来ていたジュールを優しく撫でながら見た所 骨折はしているみたいだが死んではいない・・・多分・・・
(肋骨が数本逝ったかな?まぁ頭の上に夜月が乗っているので大丈夫かと言われるとちょっと分からないけどね)
夜月『ふん、愚か者めっ』
一瞬の事で理解が追いついてない男のメンバー達、周りの関係無い冒険者達も驚きで固まっていた、夜月は今だに男の顔の上に乗り頭頂部をタシタシッと前足で叩いていた。
「夜月、その人生きてる?」
夜月『あぁ、一応生きている、しかし、この男 臭すぎる』「がうっ」
「そう、生きてるんだね、ならいいや、満足したなら もう戻っておいで、ご飯が冷めちゃうよ?」
夜月『ふむ、それはいかんな、ご飯はあったかい内に食べるのが1番だ』「なぁうっ」
「お疲れ様、ちゃんと手加減できたね、偉い偉い」
夜月『造作もない』「ゴロゴロゴロッ」
男の顔の上から降りてトコトコと僕の側まで戻って来た夜月を褒めながら撫でた、撫でられて満足した夜月はご飯の続きを食べ始めた。
リーダー「おいっ!ガキっ、うちのメンバーに何してくれてんだっ!」
やっと現状が理解できたソフトモヒカン男ザインのパーティーリーダーらしき男が僕に向かって叫んだ、その言葉に我に帰ったメンバーの回復役の女性が慌てて男に駆け寄り回復魔法をかけ始めた。
(うーん、何してくれてんだ、は こっちのセリフなんだけど、ご飯中に絡んできたアイツが悪い、それにこの人も積極的にアイツを止めなかったし、返り討ちに遭ったからって怒るのは筋違いだと思う、それに態度の悪い人と話したく無い)
僕は無言でリーダーらしき人を睨みつけた。
リーダー「っ、・・・ガキっ俺達のパーティーはライヒスル帝国 最大のクラン“赤竜の咆哮“(せきりゅうのほうこう)のメンバーなんだぞ、そんな態度でタダで済むと思うなよっ!」
僕の睨みに少し怯んだリーダーは先程ソフトモヒカン男がどうなったか分かっているので僕には近づかないが負け惜しみの様に自分達の所属しているクランの名前を引き合いに出してきた。
アンテレさん「これは なんの騒ぎですかっ!」
リーダー「ギルドの職員は関係ねぇ話だっ!引っ込んでろっ!」
アンテレさん「!、関係無いかはこちらが決める事ですっ!それにギルド内での喧嘩は規定違反ですよっ!」
騒ぎに気づきこちらにやって来た僕達の専属受付嬢のアンテレさんがリーダーに強めに抗議した。
「アンテレさん、お騒がせしてすみません」
アンテレさん「っ!デューキス様!お怪我はありませんか⁉︎」
「はい、僕達はどこも怪我はしていません」
この騒動に僕が関わっていると分かるとすぐに心配してくれて、騒ぎの相手を睨みつけた。
リーダー「おい!ガキっ!ギルド職員が来たら急に喋り始めたじゃねぇか、それでその職員が味方になったからって安心するのは早いぞ、お前の使役獣が何もしていない俺のパーティーメンバーに襲い掛かったのは事実なんだからなぁっ!」
アンテレさん「それは、本当ですか?デューキス様?」
「うん、そうだよ」
リーダーの男の言葉の真実を確かめてくるアンテレさんに素直に答えた。
リーダー「認めたな?じゃあ後は分かるな?お前はその使役獣を取り上げられ殺処分されるんだ、だが、俺は寛大にもその使役獣を殺さないでやるよっ、その代わりその使役獣を俺達“赤竜の咆哮“が引き取ってやる、ついでに賠償金がわりにその肩の上にいる赤竜の子供も貰ってやるよ!どうだ、良い提案だろ?」
(うーん、積極的にあの男を止めなかったのは天華達 目当てだったか、だがこの人馬鹿だな、いくら所属しているクランが大きいからって ここは他国、国が違えば法律も変わるって知らないのかな?特に天華達はどの国でも法律には縛られないんだけどなぁ)
得意げに夜月達の処遇を話すリーダーの男にアンテレさんや周りの野次馬の冒険者達が凄く微妙な顔をしていた、その顔を見てつい。
「ふっ」
(前にも似たような事があったな、あの時も帝国の冒険者が関わっていたなぁ~、馬鹿な事言い出したのは貴族の方だったけど)
アンテレさんや周りの野次馬の地元冒険者達は夜月達の正体を知っている、だからリーダーの男が言っている様な事が出来ないと分かっているから「何言ってんだコイツ?」的な微妙な表情をしているのだった。
リーダー「このガキっ俺を鼻で笑ったなっ!俺を舐めるのも大概にしろよっ!その可愛いツラがどうなっても良いんだなっ⁉︎いくら貴族のガキだからって容赦はしねぇぞ‼︎」
リーダーの男は手を僕の方に突き出し魔力を手の平に込め始めた。
アンテレさん「‼︎、やめ「容赦しないのはこちらの方だ」ッ!王弟殿下っ!」
「あ、ジル叔父様」
応援ありがとうございます!
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