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第1章 幼少期
6話 姉様のために
しおりを挟むどうも、私です、私は今 少し困ってます。
遡る事、数ヶ月前…
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その日も私はいつも通りの赤ちゃんライフを堪能して過ごしてました。
バタンッ!、タタタタ、ダダダダダッ、ダンッ、コンコンッ
物凄い物音の後に何かが凄い勢いで近寄ってくる音が聞こえたと思ったら扉をノックする音がした。
母が「どうぞ~」といつものように返事をすると。
ガチャ、バタンッと強めに扉の開閉音がして泣きそうな顔のカミィ姉様が入って来た。
姉様の様子を見て「こちらにいらっしゃい、カミィ」母が優しくうながす。
姉様は母が座っているソファーの隣に力無く座った、母は隣に座った姉様の頭を優しく撫で始めた、そしたらポロポロと涙を流し始めた姉様。
「うっく、ひっく、お、母様、先程うっ、お父、様に、うぅ~っ、王、都に、行、くぅ、日が、決まった、てっ、うっっ」
「そうなの、王都にはいつ行くことが決まったの?」母は優しく聞く
「ひっく、3月の、1日、うぅぅ~~っ」
とうとう本格的に姉様が泣き始めた、母の膝の上に顔を伏せてしまった、私はと言うとベビーベッドの上で寝かされている。
「あらあら」と少し困った様子で姉様の背中を「ヨシヨシ」と撫でている。
コン、コン、ガチャ
遠慮がちのノックの後に扉が開く。
「シリー…」情けないような困った顔で父が顔を出す。
「ラト…」母も困った顔で父を見た後で膝の上で泣いている姉様を見る。
「カミィ、泣かないでほらアトリーが貴方を不思議そうに見てるわ」
ピクッと姉様の肩が動いた。
(おぅ 母 その作戦ですか、ではそれに乗りますか)
「貴方が泣いてるとアトリーが不安になって泣き出しちゃうかも」
と心配そうな声で母が言う、また肩が動いた。
(よし、準備万端ですよ母!)私は目に涙を溜め出した。
「あらあら、本当に泣きそうだわ」
姉様の泣き声が止まった。
(行きますよ~)「ぅ、ぅ、ふぇ、ふぅぇ」
私が泣こうとしたら「ガバッ」と音がしそうな勢いで姉様が起き上がってこちらを見た。
「アトリ~、泣かないで~、お姉さまも泣いてないわ~」
目を赤くしながらニッコリ笑う。
(おぉしっかり涙を拭いてえらいね~)
「ふぅ、うぅ?あぁうぅ~あぁぶ」
私は泣くのをやめて 両手を動かし姉様を呼んでみる。
「あら、カミィを呼んでるのかしら?ほらカミィ」
母が姉様の手を取って連れてくるその後ろを父が静かについてくる。
「あぁぶ~うあー」姉様に手を伸ばしてみる、姉様も手を出してくれた。
姉様の手が私の手に触れた(今だ!)「ガシッ」と姉様の手を握り両手に抱え込んだ。
「わっ、アトリー?」
ビックリした姉様を放置して躊躇なく口に入れる!
「えっわっ、駄目よアトリー!」
(惜しい!後少しだったのに!)手を引っ込められてしまった。
「ふふっ、アトリーお姉様の手を食べては駄目よ~」母が可笑そうに言う。
「ぶぅ~あぁぶぅ~」抗議の声を出してみた。
(最近何か噛みたい衝動に駆られるんだよね歯が生えてくるのかしら?)
「ははっ不満そうだね、歯が生えそうなのかな?成長しているあかしだね」
(父よ何か噛める物を下さいな)
母が私に木の輪っかのおもちゃを渡してくれた。
「あう、あうぅ~」(ありがとう母、カミカミ、うんいい感じ)
「そうね、赤ちゃんの成長は早いわね」母の言葉に姉様の顔が曇るその顔を見た母が…
「でも貴方の成長はどうかしらカミィ?いつまでも泣いてはいられないのよ?
お姉様の貴方がいつまでも泣いてたら下の弟妹達はどう思うかしら?」
母に言われた言葉に姉様が考え込んでいる、父と母はその様子を静かに見守っている。
最近、姉様の情緒が不安定だったのだが多分、今回の王都行きの日程が確定しそうだったから、そんな姉様に私、頑張って“寝返り“も“ハイハイ“も普通の赤ちゃんより早く習得したのですよ、姉様に見せるために!
ちょっと頑張り過ぎて筋肉痛で お熱も出ちゃったけれど 姉様が喜んでくれるから頑張りました!
なら!今度は“つかまり立ち“に挑戦しようではないか!
何、早すぎる事はありません私は知っているんです。
従兄弟の子共が 凶暴な3歳の姉から逃れるために 生後7ヶ月の赤ちゃんがつかまり立ちをしたのを‼︎
あの時は「「「早くない⁉︎」」」とみんな驚愕したのが懐かしい思い出だ。
なので今は10月、私は4月生まれなのでちょうど生後6ヶ月ぐらい、姉様が王都に行くのが来年3月なので 後5ヶ月で“つかまり立ち“を習得できれば良いわけだ!
(やればできない事なんてない‼︎頑張るぞ!おー!)
「あうぅー!」おもちゃを持ったまま手を突き上げた。
そして手からおもちゃが落下、
ゴツン!頭に直撃「・・・・・っ」
えぇ泣きます痛かったですもん、「うぅ、ふえぇ、ふえぇ~っぶえぇぇ~~~!」
めちゃ痛かったですもん…
「あらら、アトリー大丈夫?痛かったわね~、よしよし、ちょっと待ってね~、キュア」
母が素早く抱っこする。
ふぁ~っ
優しく心地よい光に包まれると痛みが和らだ。(魔法万歳‼︎)
「ほぉら、もう痛くないわよ~よしよ~し」背中を「ポンポン」される。
「うぅ~っひっく、ひっく、う~」(ポンポンされると~眠気が~今日はもう無理だ明日から頑張ろう…お休みなさい……Zzz)
ちなみに私が泣いてる間、父と姉様はワタワタていた、母は強しWW
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第三者 視点
「アトリー寝ちゃった?お母様」母の腕の中を覗き込んだ
母はカシミール見えるよに屈んで見せた後、静かにアトリーをベビーベッドに下ろしてブランケットをかける。
「えぇ泣いて疲れたのね」
「そうか、額は大丈夫だね」
アトリーの前髪を優しく横に流して額に傷が無いのを確認して安心したようだ。
「お母様、お父様」
カシミールが何か決意したよな顔で両親を呼んだので、両親は我が子の変化を感じ静かに振り返り目を見て続きをうながす。
「私、このままじゃいけないとと思ったの、だから、妹や弟達のお手本になれるようにちゃんと学園に行くの頑張ります‼︎」
と、真剣に告げた、両親は少し驚いた後、優しく誇らしげに笑った。
「素晴らしい目標だねカミィ」父は娘の頭を撫でて褒めた。
「でも無理し過ぎないでねカミィ」母は娘の頬に手を添え心配する。
この日からカシミールは より一層勉学に力を入れて兄妹の手本になる様に意識し始めた。
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翌日、私は宣言通り“つかまり立ち“習得のため動き出した、
作戦名《姉様につかまり立ちを見せて励ます作戦》(作戦名がそのまんまだって?気にしたら負けだよ‼︎)
まず、寝ながら足を持ち上げ筋力を上げる訓練。
次に、寝返りをしてスムーズに起きれる訓練。
後は、ハイハイをして素早く移動する訓練。
最後に、母や他の大人に縦抱っこされた時に足を伸ばし突っ張る訓練。
この四つの訓練をこなしつつ ハイハイをさせてもらう時に 椅子の足や棚に手を掛け握力を上げる訓練もした結果。
ついに“つかまり立ち“に成功したのだ‼︎
その時、運よく誰も見ておらず、初お披露目をいつもみんなが集まる昼食前の時間に決行することにした。
ここまで来るのに4ヶ月、かなり時間は掛かったが姉様が 王都に行く前に間に合ってよかった、ちょいちょいお熱も出したけど、おおむね予定通りなので問題ない。
そう言えばこの間 ハイハイしてたら廊下とは違う別の部屋の扉が開いてたので 探検しに入ったら、部屋の中は衣装部屋?だったらしく沢山の洋服があって壁には大きな姿見用の鏡を見つけて初めて現世の自分の姿を見てビックリしたよ‼︎
まず、パッと見ただけだと100%女の子に見える顔!それにサラサラの白っぽい銀髪!
そして 大きくパッチリとした二重の目に瞳はオッドアイに見える色合いだった、右目(人から見たら左)が濃い紫をベースに所々に 濃い黄色に染まった 祖母と同じアメトリンの瞳で、左目(人から見たら右)が色合いが逆で 濃い黄色がベースで所々に濃い紫に染まっていた。
左右の瞳の色が違うのは この世界でも もの凄く珍しい事なんだって その時 私を捕まえにきた母が言ってた。
こりゃ、みんなが可愛い、可愛い、って言うのも分かるわ、どう見たって前世の有名な教会の壁画に描かれていそうな天使だもん、うん、納得した。
コンコン
(おっと色々考えてたらいつもの時間が来たようだみんなが集まるまで少し待つか)
・・・・・・・・・・・数分後
(皆んな揃って良い感じの時間だね、そろそろやりますか)
私は寝かされているベビーベッドの中で寝返りをしてハイハイで柵の前まで行く。
(準備万端!行きますよ~!)「あうぅ~!」
皆んなこちらを見たのを確認すると柵に右手を伸ばししっかり掴んで左手も柵をしっかり掴む。
そして、ゆっくり腕を曲げ足に力を入れて突っ張る様にしてお尻を上げる!
脚がピンと伸び柵のほうに重心を預けたら“つかまり立ち“の成功だ‼︎
(“つかまり立ち“成功したよ~!)「あうぁあ~!」渾身のドヤ顔と共に成功を告げた。
「「「「「「「「「・・・・・・・アトリー(様)が立った!!!」」」」」」」」」
ビクッ「あぅ」
(皆んないつも凄い声揃えるけど練習でもしてるの?ちょっとビックリするんだよねって、あ・・・)
身体が反射的にビックリして手が柵から離れた。
「「「「「「「「「アトリー(様)!!!!」」」」」」」」」
皆んなの焦った顔を見ながら頭を打つ覚悟をした。
(痛いんだろうなぁ~)
応援ありがとうございます!
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