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2章:王都編

開かずの扉

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王都にヴィンスとカイルが滞在して5か月が経過していた。 
ヴィンスは、カイルには相変わらず強くあたるが、それ以外の人には普通でかつ寮にいた女子やギルドの受付嬢とも仲良くなっていた。 
ヴィンスとカイルは、2日1回は討伐任務をうけたり、その間、帝として貴族のパーティの護衛などにも参加したりと帝の任務としては徐々に慣れてきていた。

ヴィンスは、秘書であるアリアとも仲良くなっていた。
そんなある日、アリアの誘いで夕食にちょっと高めなレストランに2人だけで来ているヴィンス。

「アリアさん、ねぇ教えてよ。 開かずの扉ってどこにあるか?」
「本当、ヴィンス君たら、開かずの扉が気になるのね。」と微笑みながらワインを飲む。

「だって、みんな教えてくれないっていうか知らないっていうし。 アリアさんしか聞けないんだ お願い」と手を合わせて頼むのだった。 その姿は可愛らしい。
「もし、誰かに見つかっても私が教えたっていわないでよ。 クビになっちゃうんだから。」と、ヴィンスの唇に自分の指をあてていうアリア。 甘い空間が広がっている。

ヴィンスは、そのアリアの手を握り「絶対、いわない!」というのだった。 
アリアは自分の顔をヴィンスの耳元に近づけて「もう、ヴィンス君ったら、可愛いんだから。」といいながら、「マスター室の前の廊下を奥へ進んだ突き当りにある部屋のと・び・ら」と小さく甘い声でいう。

それを聞いたヴィンスは、嬉しくなり満面な笑顔で、「ありがとう、アリアさん」といってアリアに抱き着きくのだった。 
そんなアリアの顔は真っ赤になり「はぁう」と声がこぼれる。 アリアから離れたヴィンスは、アリアの顔をみて「アリアさん、熱? アリアさん、お礼にここ俺が支払うね。 帰って寝たほうがいいよ。」といい、アリアの返事も聞かずに、ヴィンスは会計を済ませ、共にギルドに帰るのだった。

◇◇◇
その日の深夜、ヴィンスの姿は、マスター室の扉の前にあった。

マスター室へ向かう通路の入口は施錠してあり、マスターが許可したものしか通れない。 
入退出記録が残るため、ヴィンスは直接マスター室の扉の前まで転移を試みて、無事成功しきていたのであった。

そして、マスター室にの扉の前で、中の気配を探り、ジョンが居ない事を確認したヴィンス。
「よし、この先か」と独り言をいい、マスター室の前の廊下の奥へ進む。 
そして、突き当りには、アリアが言ったように部屋の扉がある。 
レトロな造りではあるが、いたって普通の扉だった。

「開かずの扉ってわりには普通じゃねー」といいながら、ドアノブを掴み、回そうとするがびくともしない。 
鍵か掛かっているとかそういう問題ではなく、鍵穴もなく、ドアノブ事態がびくともしないのだ。 
力づくで、ドアノブを掴み引っこ抜こうとするが、まったく動く気配もなく無理だった。
徐々にイラだったヴィンスは、その扉を破壊しようと身体強化をして蹴り飛ばす。 
しかし、扉は壊れないし、傷もつかない。

「なんだ、この扉!ふざけんじゃねー!」と大声をだし、「これでもくらえ!」と扉にむかっていう。
扉に文句を言っているヴィンスの姿は、もし第三者がみたら滑稽で笑えるが、幸い周りには誰もいない。

「≪我求む、最大合成、貫け≪グレートサンダーボルド≫≫」と演唱し、最大級の雷魔法を放つ。 
しかし、扉は、破壊される事もなく、また傷ひとつもつかない。
さらに癇癪をあげたヴィンス。
「≪我求む、 業火なる槍の炎よ 貫け ≪スペシャルグレートファイヤアロー≫≫」と演唱し、最大級の炎で燃やそうとする。 しかし、扉は傷つくこともしない。

何度か、最大級魔法を浴びせるがまったく傷ひとつもつかない扉。 
かなりの魔力を使い、息切れしたヴィンスはその日はあきらめ、転移で寮に戻るのだった。 
怒りの収まらないヴィンスは、部屋の家具に八つ当たりをして破壊し、ふて寝をするのだった。

その様子をこっそり見ていたジョン。
「あはは可笑しい。 って、やっぱり、あの方の結界です。 無理でしたね。 
 少しは、自分の力量をわかるといいのですが。。 結界に弾かれている事に気付かないとは。。」とぼそっとつぶやく。

しかし、ヴィンスはあきらめが悪いのか、それから何度か忍びこみ、扉をあけようと最上級の攻撃魔法や、武器で攻撃し逆に武器が壊れたりと、結局、開かないまま学園へ行く日がくる。
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