【白銀の黒帝:7】女神の使い魔と無職の少年

八木恵

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外伝:魔王誕生

魔王就任式

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シリルが魔族年齢15歳になり、魔王に就任する日。


前魔王ルファーから新たな魔王の就任式は、魔界でも約7,000年ぶりである。
滅多にない魔王就任式は、本来なら、豪華な式典やら、魔族の長達や集落の長も魔王城に登城だが、シリルが逃げると判断した大魔王の助言により、簡素化した就任式となる。 

簡素化した就任式は、なんとシリルが謁見の間で集まる四天王や職員達の前で、「今日から魔王になるシリルだぞ。 よろしくだぞ」とニコニコして、「じゃぁ、まただぞ」って言って転移してしまったのであった。

唖然となるが、その可愛らしい魔王に微笑む魔族達。
そして、その日が引退となる前魔王ルファーもそそくさと転移して自身の隠居のために建てた家に転移してしまうのであった。

ただ、困ったのが現四天王達である。
本来、魔王になったシリルが、魔王城にいないのである。
就任式の翌日、もしかしてと思い、執務室に行く四天王達4人。 
だが、肝心のシリルはいない。
ただ、1つの袋がおいてあり、メモにはシリルの字で”この袋に書類とかいれれば、対の袋に届くぞ。 じゃぁ、たまに遊びにくるぞ”と書いてある。

そんなメモに四天王達はみな頭を抱えるも、試しにいれると、数時間後には対応済み書類の束が届き、魔王が魔王城にいなくても政務が滞る事がないのである。 
面倒な時は、シリルがあらわれて、四天王達にお願いするとみな対応するのである。

数か月に1度は、遊びという名目で、四天王たちと模擬戦をしつつ鍛えていき、ダンジョンの間引きも対応するようになるのだった。 
こうして、不定期の通い魔王が誕生するのである。


そう、シリルが魔王になると決断したあの日、大魔王から念話はこうだった。
大魔王:「別に、魔王城に住まなくても政務さえすればよいのだ。 ほれ、シュンに頼んで、対の次元袋を用意してもらっておる」
シリル:「お! そうなのか。 じゃぁ、住まなくてもいいのかだぞ。 政務って何するんだ?」
大魔王:「たまに書類とか魔術の論文とかあっただろ、あれだ」
シリル:「それでいいのかだぞ。 ってことはだぞ、今まで通り自由にしていていいってことかだぞ?」
大魔王:「ああ、そうだ。 魔王っていても名前だけだ」
シリル:「お! ならいいぞ。 魔王やっても」

とういう会話であった。 すべて、大魔王が仕組んだのであるのだが、抜けていたシリルは気づかないのであった。
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